現金出納帳を税理士に任せていたら、銀行融資が難しくなったハナシ

現金出納帳

スポンサードリンク

経理を税理士にすべて任せている場合でも。現金出納帳は自分(自社)で確認しましょう。

最悪、銀行融資が難しくなってしまうという事態もありえます。

税理士任せの現金出納帳でもチェックはしよう

税理士に丸投げの経理をしている場合、「現金がらみ」は要注意です。現金支払の経費の領収書にまつわる「損」については以前にお話ししました。

税理士に渡してたはずの領収書。ほんとうに経費になっているの?
領収書などは税理士に渡して経理は丸投げ。そんな楽チン経理で実は損をしているのかも。渡したはずの領収書。ほんとうに経費になっているかは確かめたことはありますか...

加えて、現金出納帳に問題が生じて、銀行融資が難しくなるという「損」も。今回はそのお話です。

「現金の動き」をチェックしましょう

税理士との業務契約の種類として、「経理代行・記帳代行」というものがあります。

経理に関する帳簿の記入、つまり記帳をお願いする記帳代行。そして、記帳代行も含めて経理丸ごとお願いする経理代行。

代行の範囲はケースバイケースでしょうが、経理に関する一切合切の書類を税理士に託して任せるということもあるでしょう。

このとき、お客さま側でも「現金出納帳の確認」はしておくべきです。事実と異なる現金の動きが記帳されている可能性がありえます。

はじめに断っておきますが、税理士側の悪意や故意が原因のすべて、というわけではありません。結果的にそういうことが起こりうる、ということ。

さて、「事実と異なる現金の動き」とは具体的に言うと、

  • 実際にはありえないほど現金の残高が多い
  • 覚えはないのにお金を貸したことになっている
  • 覚えはないのにお金を借りたことになっている

というようなことが現金出納帳に記載されている場合です。

このような記載があるとき、お客さまは「損」をするかもしれないのです。

どのような「損」になってしまうのかは後述することにし、「事実と異なる現金の動き」はどのように確認したらよいのかをお話しします。

まずはお手元に、最近の現金出納帳を用意してみてください。

お手元にない、あるいはみつからないようでしたら顧問税理士に声をかけて入手しましょう。

それではチェックをはじめましょうか。

残高が多くないか

チェックだなんて「めんどくさい」「現金出納帳なんて見方がわからないよ」、という方もいるかもしれません。

でもだいじょうぶです。時間もそんなにかかりませんし、難しくはありませんから。

そもそも。現金出納帳とは、文字通り、事業で使う現金について、日々の入出金を記録した帳簿になります。

帳簿には次のような項目が並んでいますが、ほとんど「おこづかい帳」と同じです。

経理に不慣れな方でもご覧になれば、「現金の動き」はつかむことができるでしょう。

日付欄  ・・・取引があった日の日付
勘定科目欄・・・入出金にともなう会計上の分類(交際費、旅費交通費など)
摘要欄  ・・・入出金に関するメモ書き(○○郵便局 切手代など)
入金欄  ・・・入金したときの金額
出金欄  ・・・出金したときの金額
残高欄  ・・・入出金した結果の現金残高

まず確認すべきは「残高欄」。その時点での手元現金の金額ですね。通常、残高欄は帳簿のいちばん右端にあります。

日付順に並んでいますので、この残高欄を上からさーっと見ていきましょう。

そして、「残高が多すぎるぞ」と感じる残高の箇所を探します。

「多すぎるぞ」と感じる金額はひとそれぞれなのですが、「普段こんなに現金持っていないぞ」という残高が「多すぎる」ということです。

そういう残高の箇所が特になければOKですが、「これは多いぞ」と感じるところがあれば注意です。

可能性としては、経費支払の記帳がなにか漏れているのかもしれません。

なんらかの理由で、お客さまから顧問税理士に「領収書」がわたっていなければ漏れてしまうことになります。

その「漏れ」に経営者あるいは経理担当者であれば、思い当たることもあるかもしれませんよね?

たとえば、「そのころ10万円のパソコンを現金で買ったはずだ。でも帳簿にのっていない」とか。

このようにして漏れた場合、『税理士に渡してたはずの領収書。ほんとうに経費になっているの?』でお話しした、「経費からはずされた領収書」と同じことです。

結果として、漏れた分の税金が高くなります。

残高合わせに使われる「社長貸付」というワザ

ところで、現金残高が多くなると、税理士は「ある処理」を行うことがあります。

 「社長貸付」といわれる処理です。

たとえば、現金出納帳のある日の残高が100万円になりました。

ところが顧問税理士は、お客さまからは実際の残高は「多くても50万円ぐらい」と聞いていたとします。

すると税理士は、「差額の50万円は社長が持っているのだろう」と考えるわけです。

このとき現金出納帳ではどうなるのか?

「現金50万円を社長に貸し付けた」ということで、社長への貸付金として50万円の出金で処理します。

事実がそうであればよいのですが、前述したように支払いが記帳漏れしている可能性もあるでしょう。

もし覚えのない「貸付金での出金」が現金出納帳にあるようならばこれも注意です。

反対に、「社長借入」はないのか?

今度は、先ほどまでとは逆のケースです。お金を社長から借りたことになっている場合。

現金出納帳には絶対に守らなければいけないルールがあります。それは「残高がマイナスになってはいけない」というルールです。

だから現金出納帳の現金残高が少なくなる(あるいはマイナスになってしまう)ようなことがあると、税理士は考えます。

「そうだ!社長が現金を補充したんだな」と。

このとき現金出納帳では、「現金を社長から借りた」ということで、社長からの借入として入金処理をします。

可能性でいえば。社長貸付のケースとは逆で、現金売上の記帳が漏れている、というようなことはありえます。確認しましょう。

社長貸付や社長借入の話をしてきました。なんとなく税理士が「勝手にやっている」風に書いてきましたが。

すべての税理士がお客さまに断りなく、お話ししたような処理をしているわけではありません。

さまざまな状況から結果的に、そういう処理になる可能性があるということでご理解ください。

ですからそんな可能性は避けたいというのであれば、本来、現金出納帳は自分で記帳するべきといえます。

それはちょっと、と言われるのであればせめて。ここまでお話してきたようなチェックはやりましょう。

現金出納帳が原因で、銀行融資が難しくなる

冒頭で話していた、どのような損が生じてしまうのかの話を後回しにしていました。

損が生じるのは、「覚えのない社長貸付」が積み重なったときのケースです。

社長への貸付金の残高が増えると。それは会社から見れば「返してもらえるお金の権利(債権)」です。

銀行からお金を借りたいな、というときにこの権利が大きな壁となってたちはだかることがあります。

「貸付金があるのなら返してもらえばいいじゃないですか」、そう言って銀行は融資を渋るのです。

積み重なった貸付金の金額が大きく、そんなかんたんには返せない。実はそういう光景は少なくありません。


法人の経理を前提にしています。詳述は避けますが、個人事業主の経理でこの論点はありません

このように損をするしないということはありますが。

ほんとうに大事なことは、事実と異なる帳簿による経理では経営判断の役には立たないということです。

経理の数字を信用できなければ、業績把握も業績改善の参考にもできません。

経理代行をしていたとしても、その経理自体は頼んだ会社(本人)のもの。

代行を依頼した経理であっても関心をもって、顧問税理士と一緒にまずは現金出納帳をみてみましょう。

また、1年も前のことは思い出すのもたいへんですから、「決算の時にまとめて…」などとは言わず。月に1回は確認することをおすすめします。

本投稿のいかなる記載も他の税理士を誹謗中傷するものではありません。

************
  きょうの執筆後記
************

昨日はマネーフォワード主催のMFクラウドExpo2016というイベントに行ってきました。
FinTechの波はおそろしく早く、「まだ先のもの」という私の感覚は誤りでした・・・
時代の波に取り残されないよう、つねに変化を受け入れなければ、と痛感。

スポンサードリンク

毎週月・木 配信中!
経営・お金のヒントWeekly News

経営の考え方・銀行対応・補助金・減税など役立つ情報を、無料メルマガにて定期的にお届けします。

ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!