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税理士が考える「会計事務所のお客さま担当者に必要な3つのチカラ」

ビジネスマン

会計事務所の多くは「顧客担当制」です。
決められた担当者がお客さまを担当します。
一度決まった担当者も退職をしたり、担当替えがあったりもするでしょう。
お客さまの側からすれば、担当者を選ぶことは難しいのが現実です。

目次

担当者に求められる3つのチカラ

担当者のプロフィールも大事ではありますが、それは表面的なものでもあります。
「地力」としての「会計事務所担当者の本質的な力」はどこにあるのか。
お客さまとしては求めたいであろう「3つのチカラ」を整理しま

3つのチカラ
1.機微力
2.物語力
3.愛情力

1.機微力

お客さまの置かれた状況や胸の内を察し、それに応じた仕事ができるかどうかの力です。
言われたことしかやらない、レスポンスが悪い、などは機微力に欠けているといえます。

お客さまは「無言のメッセージ」を発することがあります。
人間誰しも、「言おうかな、どうしようかな」というときがあるものですよね。
そこを感じ取り、最良のタイミングで引き出す力を持つ人。
これはお客さまにとって、とても頼りがいがあるのではないでしょうか。
逆に、「そこは聞いちゃダメなのに・・・」ということもあります。いわゆるKYです。

レスポンスについては、反応自体が速い遅いというよりは、その重要度を理解した速さなのかどうかということです。
たとえば、お客さまが担当者になにか質問をして回答待ちとなる場合、「回答時期の目安」をその担当者は口にするでしょうか。
お客さまは「答えを知りたい」からたずねたわけです。

質問をした側としては「いつわかるんだろう?」と考えるのは自然なこと。
「回答時期の目安」がないとすれば、
担当者は自分の時間感覚で仕事をしている可能性が高いでしょう。

さすがに口にはしないでしょうが「そのうちにお答えします」的な姿勢は考えものです。
難しい質問であれば即答できないことはわかります。
ですが難しいということは、それだけお客さまの悩みが深いということでもあります。
それがわかっていれば「そのうちにお答えします」とはなりません。
自分もお客さまに「いつ教えてくれるの?」と聞かれたことがあります。
それは「話、聞いてる?」と言われているのと同じこと。それでは遅すぎるのです。

2.物語力

お客さまの状況や立場、考えや思いという背景を「引用」しながら話をする力です。
「法律で決まっているから」「~ということが多いです」のような表現が多い担当者は、物語力に欠けているといえます。

守るべき法律やルールは大事なものです。
ですが、「ルールなので」の一辺倒では言われた方は穏やかではありません。
話し手の担当者としては「ルール知らないの?」といったところですが、お客さまはほんとうに知らない場合もあれば、知っていてなお相談していることもあるでしょう。

法律・ルールを破るわけにはいきません。
そんなことはお客さまも「ほんとうのところ」ではわかっています。
それでも、法律・ルールを知るだけでは「納得がいかない」から相談をしているのです。
そこには納得がいかなかったお客さまだけの「背景」があるはず。
ただひとつの法律・ルールを持ち出す前に、たったひとつのお客さまの背景を考えること。
「ダメだからダメ」ではなく、「ダメを納得できる」ようにする。
それが担当者に必要なチカラではないでしょうか。

3.愛情力

文字通り、お客さまに愛情をもつ力です。
会計・税務の話ばかりする、話を聞いてくれない、などは愛情力に欠けているといえます。

一般に、会計事務所の担当者は、ひとり20件前後のお客さまを担当します。
その意味合いから表面的にとらえれば、お客さまそれぞれは「one of them」です。
一方で、あたりまえですがそれぞれのお客さまは唯一無二です。

仕事なのですから、担当先のお客様は「みな平等に」という担当者の感覚はあるでしょう。
ですが、それは「業務品質」や「時間管理」上の話です。
お客さまにとっては「いま、一大事」というときがあります。
そのいざというときに、きちんと気持ちを寄せることができるかどうかです。

自分は前職の経営者から教わったことですが、いま目の前に相対しているお客さまに集中する力は愛情であり、愛着です。
これは能力というよりは、人間力というべきものです。

自分の両親、夫や妻、こどもからの話をないがしろにする人はいないでしょう。
悩みごとや相談であれば、いっしょになって考えようとするでしょう。
これは、家族に対する愛情・愛着があるからです。
お客さまの「声」には、それほどまでに気持ちが傾かないというのであれば、
お客さまへの愛情・愛着が足りていないということの現れといえます。
目の前のお客さまは縁あって出会った、自分にとって特別な人のひとり。
なにも愛情・愛着は家族に限ったものではないはずです。

これは、私自身にとってもまだまだ不十分といえます。
人間力である「愛情・愛着」は、一朝一夕のものではありません。
「よし、人間力をつけるぞ!」と意気込んでトレーニングするものでもないでしょう。
絶えず自分と向き合う真摯な姿勢の中にしか、その答えはないものと理解しています。

専門家としての知識力は前提ですが

会計事務所のお客様担当者に求めるチカラについてお話ししました。
会計・税務の専門家としての知識力が前提にあるのは当然のことです。
ですが、さきにお話しした通り、担当者も新人からベテランまでさまざま。
知識力はベテランになればなるほど身に付きやすいものですが、お話をした3つのチカラはそうでもありません。
むしろ、若いとか若くないという年齢や経験とは関係ないものでしょう。

自分自身への自戒の意味も込めてお話をしましたが、会計事務所に仕事を依頼されるお客さま、そして、会計事務所で働かれるお客様担当者の方の参考となりましたら幸いです。

本投稿のいかなる記載も、特定の会計事務所およびその社員を誹謗中傷する意図はありません

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  きょうの執筆後記
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本文中でもお話しした通り、自分自身もまだまだのチカラです。
もっとも、これで完璧というレベルがあるチカラでもないでしょう。
少しでも高めるために、日々精進です。

ビジネスマン

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