「組織のチカラ」にみる、税理士事務所の選びかた

チーム

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税理士事務所の王道スタイルは、顧問先1件に税理士事務所担当者1名が就く「担当者制」。
担当者個人の力量だけに依らないよう、担当者制と併せて「組織対応」をうたう税理士事務所は少なくありません。
でもその組織のチカラ、ホンモノですか?税理士事務所選びの参考に。

税理士事務所の「組織のチカラ」を見抜く3つのポイント

2人以上の税理士事務所の強みは「人員」があること。
いろいろな能力をもつ人がいたり、他人同士でチェックをしたりすることができます。

あたりまえですが、「税理士ひとり」の事務所にはやりたくてもできないことです。
「人員規模」は税理士事務所選びのひとつの基準といえるでしょう。
それはすなわち、税理士事務所の「組織力」を買うということでもあります。

「そういえばウチの顧問税理士事務所は ”組織対応” 言ってたな」というのであれば、買ったはずのその「組織力」の真偽は確認したいところ。
税理士事務所の「組織のチカラ」はどこにあらわれるのか。
それは次の3つにあらわれます。

1.担当者以外がチェックする「しくみ」はあるか
2.組織(担当者以外)が顧客を知っているか
3.所長(担当者の上司)と顧客が顔を合わせるのはいつか

1.担当者以外がチェックする「しくみ」はあるか

2人以上の税理士事務所で、税務申告書を担当者以外のひとがチェックしていないということはまずないでしょう。
顧客と税務署に対する最終成果物に位置する税務申告書は、最優先でチェックされるものであるはずです。

それは当然のこととして。
ここで確認をしたいのは税務申告以外にも、そのチェックの眼はあるのかということです。

ひとつは、定期監査について。
税理士事務所は顧問契約にもとづいて、定期的に会計・税務監査をします。
その「定期」を毎月としている場合には、毎月、担当者が監査をしています。

その監査の結果について、組織としてチェックはできているかということ。
これは税理士事務所としては意外とハードルが高いです。
ハードルが高くなる理由は、税理士事務所ごとに多少異なるところはあるにせよ。

この定期チェックができていない場合に起きる、顧客にとっての最大の困りごとはなにか。
決算の時に数字が「大きく変わる」ことです。

さきほどお話ししたように、税務申告時、つまり決算のときにはさすがにチェックが入ります。
定期的にはチェックが不十分だと、決算のときにまとめて「チェック事項」が噴き出す可能性があります。

決算の時になって担当者から、ずいぶんと前のことをあらためてたずねられる。
それまで聞いていた、最終利益見込、最終税額見込が決算を迎えてかなり変わる。
そのようなことが起きる場合には、定期チェックは機能していないとみてよいでしょう。

税理士事務所に「定期チェックはしてますか?」と聞いてはいけません。
実際の現場をみることはできませんし、聞けば「してます」と答えます。
起きている現象から判断するようにしましょう。

税務申告以外のチェックの眼のもうひとつは、質問をしたとき。
担当者だけでは判断に迷うような質問を顧客がしたときの「回答スピード」です。

質問が担当者の力量を超えることはしかたのないこととして。
組織対応の「意識としくみ」が備わっているか、わたしは「翌日回答」が目安だと考えています。
しくみがあれば、翌日までには組織内での相談ができるはずです。

ちなみに、その回答には「もうすこし時間をください」も含めます。
複雑な案件であれば、時間が必要なこともあります。
けれどもその断りもなく、ただ回答に時間がかかるというのは「意識」に欠けていると言わざるをえません。

意識を言うのであれば、担当者自身がその場で回答を済ませようとしている場合にも注意が必要です。
たとえば「~だと思います」など、自分の意見をもってその場で済ませようとする場合です。

担当者の意識がもともと欠けているか、組織に「組織対応」のしくみがないからなのかはわかりませんが、あいまいな回答はいけません。
あとで迷惑を被るのは結局は顧客のほうです。

2.組織(担当者以外)が顧客を知っているか

組織対応をうたいながら、顧客のことは担当者以外のひとはよくわかっていない。
あると思います、かなり。

担当者が顧客のことを一番知っている、というのはよいこととして。
組織としては顧客のことをわからなすぎる、わかろうとしない、というのは組織対応に反します。

そのような場合に起きる極端な現象としては、税理士事務所に質問の電話をしたとき。
担当者が不在だと、いつも「担当者から折り返し」になってしまう場合です。

電話を受けたひとは顧客名だけを聞いて、折り返しにしてしまうようなケースは典型です。
税理士事務所に18年勤務したわたしの肌感覚ですが、すくなくとも5割くらいは在席している他の社員で対応できる一般的な質問内容のはず。
質問内容すら聞いてもらえないような雰囲気があるのなら、残念ながら「組織対応」を疑わざるを得ません。

一方で、担当者以外でも答えることができるような一般的な質問ではない場合。
顧客の独自性が強い質問にまで、担当者不在時に対応できる税理士事務所はホンモノといえます。

担当者不在時でも、電話を受けたひとがまずは質問内容を確認し、わかりそうな在席メンバーにつなぐかどうか。
この姿勢の有無は、組織のチカラをはかるひとつの目安になります。
さらに在席メンバーで実際に解決できることが多いのであれば言うことはありません。

「さぁ、担当者不在時を狙って、いますぐ込み入った質問のお電話を」なんてことは言いません。

3.所長(担当者の上司)と顧客が顔を合わせるのはいつか

上述した1.と2.と関係が深いことでもあります。
組織対応できているか、という点で担当者以外のひとと顔を合わせる機会があるかどうか。

顧客の側になんらかの緊急事態があったとき、担当者の上司や所長などがすぐに来てくれる。
これは、ひとつの組織対応の姿でしょう。
上司や所長が顧客のために、そういう時間を優先的にとることができるのは「意識としくみ」があるからです。

ところで、顧客にとっては緊急事態なのに、担当者が気づいていないことがあります。
顧客の発するメッセージを読み取れないことがあります。
それはそれで問題なのですが、そういうときは遠慮なく「所長(上司)を呼んで」と言いましょう。
緊急事態なのですから。

緊急事態以外にも、所長や上司が顔を出してくれるという税理士事務所。
これはかなり「組織のチカラ」のレベルが高いとみてよいでしょう。
組織ぐるみで顧客を知ろうとする姿勢、担当者教育(OJT)などに高い意識をもっているはずです。

担当者ひとりの力量だけにたよらない、と言う税理士事務所はたくさんあります
でもそれが、行動にまであらわれているかどうかとなると・・・

税理士事務所が組織として、顧客を知っていることはたいせつです。
顧客もまた、担当者以外の税理士事務所のひと、税理士事務所のことを知っているというのは同様にたいせつ。

顧客に「担当者のことしか知らないなぁ」と言わせてしまう税理士事務所なら、組織のチカラには不安があります。

ひとり税理士事務所はどうなんだ

さいごに、もともと「所長ひとり」しかいない税理士事務所はどうなんでしょう。
かくいうわたしも、その「ひとり」です。

そういう税理士事務所では、すべての顧客のすべての業務を所長が担当します。
それが、「ひとり」の最大の特徴であり、強みです。

税理士事務所の事情で、担当者が変わってしまうストレスはお客さまにありません。
経験が乏しい社員・パートに業務を担当されるという不安もありません。
いつも最終責任者である所長と、お客さまは話ができます。

そもそも「ひとり」しかいませんのであたりまえです。

ですから、ひとりには「ひとりの弱み」も当然あります。
嫌でも担当者を替えてもらうことはできません。
所長が体調を崩したりした場合には、すぐに代わりはみつかりません。
業務の量・質は所長ひとりの能力にしか頼れません。

弱みに対しては、「できる対策」を施してのぞんでいます。

ひとりだからこそ、「時間」にこだわっています。
効率化すべき時間は、積極的にあたらしい手段でとりくみます。
それはかけるべき時間を確保するための術。

必要なときにお客さまに直接かかわる時間。
提供業務の質を高めるために自分の成長にあてる時間。
ベストコンディションで業務にのぞむための十分な休息にあてる時間。

ひとりを活かすには、かけるべき時間の確保がなにより重要です。
人員規模で解決できる仕事のしかたで勝負はできません。
その時間に対する姿勢と手段は、お客さまにも役立つものと自負しています。
たとえば一人社長やフリーランスのかたなど似たような環境にある方など。

たくさんある税理士事務所。
お客さまが選ぶのもたいへんなことです。
税理士事務所のスタンスを聴き、実際の行動を観る。
今日のお話がその参考になれば幸いです。

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  きょうの執筆後記
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昨日はほぼ終日、外出でのとあるお仕事。
週末に「古傷」の腰に若干違和感があったので1日中コルセット。
暑くて苦しかったけれど、おかげで復活。
無理せず早めの対応、ひとりを生きる者のキホンです。

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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!