消える職業としての税理士、消えない仕事としての税理士

税理士合格証書

税理士は消える職業なの?税理士はなくなる仕事なの?

AI(人工知能)の活躍により、近い将来になくなると言われている「税理士」。それでも税理士を続けるか。それでも税理士を目指すのか。

現役税理士のひとりとして、「これからの税理士」について考えていることをお話しします。

税理士であり続けるために、従来の税理士をやめる

「消える、なくなる」と言われているものにこだわっているわけにはいきません。それでもカンタンに税理士をやめる、というわけにもいきません。

それならば。「消える、なくなる税理士」をやめ、「消えない、なくならない税理士」になるしかありません。

「作業」から離れれば、消えたりしない

少し前の話ですが、「10年後に消える職業・なくなる仕事」として、英国オックスフォード大学の論文が話題になりました。

そこには、「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」という職業・仕事が挙がっています。このあたりが「税理士が消える・なくなる」と解釈をされた理由です。

その「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」の特徴として。「作業的要素が強く機械化しやすい」ということが言えます。実際、経理の自動化を謳うクラウド会計が急速に普及しています。今後、自動化の波は税金計算にまで及ぶでしょう。

ところが、「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」というのは、税理士の仕事の一部ではあっても、全部ではありません。ですから、「税理士が消える・なくなる」というのは少々拡大解釈であり、おもしろおかしく扱われた面があります。

「消える・なくなる」職業・仕事があるのならば、そこから離れればいいことです。

消えない税理士があらたにやっていること

「税務申告書代行者」「簿記、会計、監査の事務員」に関する税理士業務は、価格競争も厳しいものがあります。いずれ消えゆく命運にあるのですから当然です。

そこで、生き残りをかけて取り組まれている税理士業務としては大きく2つあります。

  • 人対人の相談業務
  • 専門性の高い分野の税務

「人対人の相談業務」は、コンサルティング、アドバイジング、コーチングなどの業務です。相談の内容、手段は多岐にわたりますが、人間と人間が深くかかわる点では共通です。人間の繊細で複雑な「気持ち」というものを扱う「相談」については、機械化までまだもうしばらくかかることでしょう。

もうひとつの「専門性の高い分野の税務」とは、いま現在で言えば「国際税務」や「相続」です。機械化が進むほど業務に汎用性がないうえに、課税当局との争いも多く、まだまだ「人手」が必要な業務と言えます。

「人対人の相談業務」「専門性の高い分野の税務」いずれの業務も、税理士の「あらたな仕事」として取り組まれているものです。

消えない税理士があえてやる「消す仕事」

お話しした「あらたな仕事」とは別に。「消える仕事をあえて消す」という仕事もあります。わたしがいまやっているのが、「記帳代行・経理代行をなくす」という仕事です。

さきほど触れたとおり、経理は急速に自動化が進んでいます。かつて税理士業務の中心だった「記帳代行・経理代行」は、機械にとって代わられつつあります。

とはいえ、経理のしくみをきちんと自動化・機械化するには「考え方」が必要です。クラウド会計を使ったからといって急に自動化するわけではありません。確実にただしく自動化・機械化するにあたっては、そこをサポートする専門的なチカラが必要になります。

いずれ「消える仕事」を、そこに携わってきた者として「しっかり消す」という仕事もまた税理士の仕事です。

それから、経理が機械化できるのは「作業」までです。そのあとの経理の結果をどう活かすのかは人間の仕事。経理を「作業」で終わらせない、ということも税理士が伝えるべきことだと考えています。

機械化が進んで税理士が関わらない経理の未来に、お客さま自身が自活できる経理であってほしいと考えています。

そういう思いからわたしは「税理士要らずの経理」に関するセミナーやコンサルティングという業務に取り組んでいます。

さいごに~フリーランス型税理士を名乗るワケ

わたしは独立開業してから、自称「フリーランス型税理士」を名乗っています。フリーランスという言葉については、次のようの意味合いがあります。

単発の仕事として様々な仕事はするものの、その仕事を引き受ける都度契約を結ぶという形態をとる、請負である。 (Wikipediaより抜粋)

ですから、一般に、「特定のお客さまと継続的な顧問契約」を結ぶ税理士業は、「フリーランス」とは違うのではないかという向きがあるでしょう。

わたしは少し違って、できる限り多くのお客さまに「税理士要らずの経理」のお手伝いをしていきたいと考えています。それは、契約上は「単発」の仕事になります。

もちろん、一度縁あって仕事をしたお客さまとの関係までもが「単発」だとは思いませんが、カタチのうえでは「単発」。自分の信念の表現として、「フリーランス型税理士」と名乗っています。

「税理士は消える職業、なくなる仕事」などと言われても。わたしが気になるのは資格や職業としての税理士ではなく、関わる仕事としての税理士についてだけ。

「税理士であること」にこだわりはありません、あるのは「税理士がすべき仕事」に対する矜持だけです。

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  きょうの執筆後記
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火曜日から今週いっぱい夏休み。ですが、本日は当初からの予定通り仕事です。
おそらく世間はお休みモード。移動がラクであることを祈ります。

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