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これは経費になる?ならない?フリーランスが迷う領収書

経費になるか?ならないか?

この領収書は経費になるのかな・・・?

経費なのかどうなのか。判断に迷う領収書、ありますよね。

手堅く行き過ぎれば税金は高くなる。甘くなり過ぎれば税務調査が怖くなる。

フリーランスが迷いやすい領収書と、その判断の仕方についてお話しします。

目次

経費かどうか迷ったときの「3つのよりどころ」

経費になるのかどうなのか、まずは判断の仕方について。そのあと、具体例にあてはめて見ていきます。

それでは早速、判断の仕方から。ポイントは3つです。

  1.  仕事に関係はあるか
  2.  フツーに考えてどうなのか
  3.  説得材料を残せるか

「なんだか、おカタい話だね」と、ここで逃げないように。手堅く、安全なものだけを経費にしよう、というのではありません。

モレなく、より確実に経費にすることができるよう、考え方を身につけようというお話です。しっかり節税するためにも、ぜひ押さえておきましょう。

仕事に関係はあるか

すべてのはじまりはココ。仕事に「関係がある」と言えるのかどうか。

「関係がある」と言えるなら、領収書の内容が何であろうと臆することはありません。逆に、関係があると言えないものは経費にはできません。脱税になるから。

とても当たり前の話をしていますが、「入り口」を間違えないようにとの老婆心。関係が「ない」ものを「ある」とすることを節税とは言いません。

カンタンに言うと。良心に恥じるところはないか、ということだったりします。

フツーに考えてどうなのか

仕事に関係がある、だからコレは経費。といくらあなたが思っても。わたしやほかの人はそうは思わないかもしれません。

たとえば。毎日のようなキャバクラ接待。仕事にそぐわぬクルマ(移動用に真っ赤なスポーツカー!)、とか。もちろん、これらが即アウトというわけではありません。

ただ。世間一般、フツーの人がどう考えるかな?という感覚は大切です。あまりフツーじゃないな、ということについては説得に手こずることを覚悟しなければいけません。

この場合、次の話が重要になります。

説得材料を残せるか

この経費はフツーではないかもな、と思えるものほど説得材料が必要になります。首をかしげる周囲を納得させるのは、あなたの役目です。

にもかかわらず、主張だけで材料がないケースがとても多い。これでは、税務調査でやられてしまうことにもなりかねません。

仕事に関係ある、と考える経費なら。説得材料もしっかり準備して、きっちり節税にまでつなげましょう。

ウラを返すと。説得材料が残せないようなら、それは経費とは言い難いということでもあります。説得材料にひときわ苦労するようなら、それは「やっぱり経費じゃない」というサインかも。

 

具体例1 喫茶代

「どこでも仕事ができる」のはフリーランスの特権です。スタバでお仕事は、フリーランスのひとつのステータスでもあります。

ではでは。スタバで一人、お仕事をする際のコーヒー代は?もちろん経費にできます。できますが、ここでさきほどの「3つのポイント」を忘れないでください。

まずは、仕事に関係があるかどうか。ほんとうに仕事してたんだよね?ということです。少々休憩するのはイイにしても、ずっとゲームしてましたなんて場合はやめておきましょう。

もちろん、誰にバレるわけでもありません。言いましたよね、良心の問題です。一事が万事。小さなところから物事はエスカレートしていくものです。気を付けましょう。

次に、フツーに考えてどうなのか。最近ではノマドワーカーなる言葉も浸透し、仕事場所の概念もだいぶ様変わりしました。スタバで仕事自体に違和感はないでしょう。

あるとすれば頻度と場所。説得材料を考えます。移動の合間に立ち寄った店舗であれば違和感はありません。けれども、何の用もなく、ただただその店舗に行きました。というのなら?

もし、あなたが他に「事務所経費(家賃など)」がある場合。なぜ、事務所ではなく、その店舗で仕事をする必要があったのかを説明できなければいけません。

「気分転換」などといったことでは説得力に欠けるのは明らか。この場合、事務所経費の必要性のほうを問われることにもなりかねません。それはイヤですよね。

同じ1枚の領収書でも、そこまで考えることが大切です。

読書

具体例2 書籍代

フリーランスは「自己投資」が欠かせません。書籍購入は自己投資のひとつ、多くのフリーランスに共通する経費です。

でも、どこまでが経費になるのでしょう?3つのポイントで考えてみましょう。

はじめに、仕事に関係があるかどうか。仕事の知識・技術に直接関連する本であれば判断には迷いません。経費です。ところが、微妙なものもあるでしょう。

たとえば、小説。もしも、あなたが「物書き」のお仕事であれば、文章の書き方などの研究対象として、小説に違和感は小さいものとなります。

では、税理士としてのわたしだったら?SFやミステリー小説などはアウトでしょう。では、会計や税務ネタを含んだエンターテイメント小説は?微妙です。

そんなどちらとも言えるようなものは「50%」は経費。そういう判断もあり、とわたしは考えています。

微妙なものを100%経費にしようというのは、どうしてもムリがあります。説得しづらいものがあります。そういう感覚を、「50%」で表わすワケです。

100%には納得しづらくても、50%であれば納得せざるを得ない部分もあります。だってそもそも「微妙」なんですから。

経費の考え方は「ゼロ」か「100」かではないというのは、覚えておくとよいでしょう。この考え方は書籍代に限ったことではありません。

説得材料としては、書籍の個々について判断した結果(100%経費、50%経費、経費対象外など)を残しておきましょう。

 

具体例3 飲食代

フリーランスは「営業活動」「情報収集活動」が命です。そんな活動に「飲食」は欠かせないものでもあります。

また3つのポイントで考えてみます。はじめに、仕事に関係があるかどうか?

家族だけで夕食を食べに行った。これを経費にしよう、というのはもちろんナシです。しつこいようですが、これはダメ。論外です。

ではあらためて。得意先との飲食は?当然、仕事と関係あり。でも、それが毎晩毎食のような頻度であったとしたら。結構あります、この事例。

はい、フツーに考えてみましょう。もうこれは接待ではなく、ただ単に毎晩いっしょにご飯をたべているだけ、と見えなくもありません。これはもうアウトに近いビミョーさです。

あとは説得材料を出せるかどうかにかかっています。接待だというのであれば、なぜ毎晩のような頻度が必要なのか?その接待の費用対効果はどうなのか?

打合せだというのであれば、何を話したのか?議事録はあるのか?など。

フツーではない場合の説明責任は「こちら」にあることを、ゆめゆめ忘れないように。というのが再三の注意事項です。

ちなみに、仕事仲間でもあり友人でもある○○クンとの食事代は経費かどうか?もう大丈夫ですよね。考え方は「得意先」のケースと変わりません。

 

まとめ

経費になるかどうかの判断の仕方として、3つのポイントをお話ししました。具体例として、フリーランスに多い3つの経費についても考えてみました。

どんな領収書があろうと、まずは3つのポイントで考えるクセをつけましょう。税務調査での不用意な否認(経費だと認められないこと)を防ぎ、きっとあなたの身を守ります。

3つのポイントの始点は「仕事に関係があるかどうか」。領収書を手にしたときに「コレは経費かな?」と思えるかどうか。柔軟なモノの見方がはじまりです。

いままで見逃していた領収書も、あらためて経費だと気付けば。節税はそこからスタートです。

 

 

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  きょうの執筆後記
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経費から外した領収書、というのも取っておくメリットがあったりします。
たとえばスタバのコーヒー代も、全部を経費にしているわけじゃない。実質で判断しています、という証拠資料として提示できます。
税務調査では「納得をえる」ためのひとつのテクニックです。

経費になるか?ならないか?

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