損益計算書ばかり見ている人たちへ~貸借対照表が発する資金調達のメッセージ

貸借対照表不要論

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貸借対照表?見てないねぇ。

というあなたへ。貸借対照表は、読み取るべきメッセージを持っています。損益計算書だけを見ていては決してわからない、大事な大事なメッセージ。

利益は出ているのに「なんかカネ回りが悪いなぁ」という人は必見です。

貸借対照表は「資金調達」を促している

貸借対照表が発しているメッセージとは? ずばり、「資金調達せよ」。

損益計算書ばかりを見ているリスク

ウナるほどのおカネを所持し、おカネの残高などまったく気にする必要はない。そういう人はここでお引き取りを頂いてけっこうです。しかしながら、そんな人は圧倒的に少数派。

多くの人たちは、限りある資源である「おカネ」の残高に注意を払って事業をしているはずです。おカネの残高を減らさないように、そう考えているはずです。

にもかかわらず。損益計算書で「もうけ(利益)」は見ても、貸借対照表には気にも留めず。それがどれだけ危険なことか、というお話をしていきます。

資金調達機能を発揮せよ

「おカネの残高」なら、通帳で見ているよ。そうですね。でもそれは「いま現在の」、瞬間的なおカネの残高でしかありません。

明日はどうか?1か月後はどうか?はたまた半年後はどうか、は通帳からはわかりません。そんなおカネの残高を、安定させるためのひとつの手段が「資金調達」です。

「資金調達だぁ? 借入は嫌いなんだよ!」という方も。じつは、借入だけが「資金調達」の方法というわけではありません。貸借対照表には、資金調達機能が隠されています。

資金調達機能と言いながら。逆資金調達、つまり、「おカネが目減りする」機能まで搭載しているのが貸借対照表。だから、貸借対照表を見ないと。将来、おカネの残高に苦労することになるのです。

これから、貸借対照表の「資金調達機能」についてみていきましょう。もっとも注意すべき、3つの資金調達機能は次のとおりです。

  1.  資金調達機能「買掛金、未払金」
  2.  逆資金調達機能「在庫」
  3.  逆資金調達機能「売掛金」

 

資金調達機能「買掛金、未払金」

買掛金、未払金の残高が増えているときには。おカネの残高を増やす、資金調達機能が働いている。と言えます。

買掛金=借入金

負債の部にある「買掛金」「未払金」の金額に注目! これは、商品の仕入先や、業務の委託先(外注先)などへの「ツケ払い」にしている金額です。

この「ツケ」が増えれば増えるほど、資金調達をしていることになります。え、そうなの?と思うかもしれませんが、そうなんです。

そこで、「即現金払い」を思い浮かべてみましょう。商品を仕入れてすぐに100万円払いました。現金は100万円なくなります。いいですよね。

いっぽうで。即金払いではなく、1か月後のツケ払いにすると。いまは現金が100万円残っています。これは、期間1か月で100万円の借入をしたのと同じ効果になります。

いつも敵との攻防戦

ですから、「ツケ」の条件を有利にすればするほど。支払いのサイト(期間)を伸ばすほど。資金調達機能が働き、おカネ回りはよくなるのです。

しかし、敵もさるもの。そうそう、ラクはさせてくれません。「早く払え」というプレッシャーはありますので、むやみやたらにサイトを伸ばすことはできません。

そうは言っても。買掛金の資金調達機能を念頭に置き、できるだけ良い「ツケの条件」を引き出そう。というところに意味があります。

ツケの条件にこだわりながら、買掛金の残高の動きに注意を払いましょう。ちなみに、「未払金」についても考え方は買掛金と同じです。

買掛金は「無利息」の借入か?

買掛金についてもうひとつ。買掛金が借入金と同じ資金調達機能を有すると言うのなら。利息を支払わなければいけない「借入」よりも断然おトクだぜ!

と、喜んでいるようではいけません。通常、ツケ払いよりも即金払いの方が「値引き率」は高いものです。ツケにした分、仕入値は上がっていると考えるべきです。

その値上がっている分が利息。買掛金には「利息が含まれている」と理解しておくことです。無利息でおカネを借りている、ということではないワケです。残念。

ということで、言わずもがなですが。即金払いするのであれば、「しっかり値段交渉すべき」ということになります。値引きしてね、そういうことです。

 

逆資金調達機能「売掛金」

売掛金の残高が増えているときには。おカネの残高を減らしていく、逆資金調達機能が働いている。と言えます。 

買掛金の逆

次は、資産の部の「売掛金」の金額に注目! これは、商品やサービスを売り上げた際に、得意先に対して「ツケ」にしている金額です。さきほどの買掛金の逆。

この「ツケ」が増えれば増えるほど、「逆」資金調達をしていることになります。つまり、「ツケ」にするほど、おカネ回りが悪くなる。

お客さまを大事にするばかり、ツケの条件を甘くし過ぎてはいけません。それは、「買掛金の逆」で考えればわかることですよね。

またしても敵との攻防戦

しかし、敵もさるもの。ツケの条件を甘くする(たとえば支払サイトを伸ばす)ことを呑んでくれれば「いっぱい買うよ」だなんておっしゃいます。

こちらも、「もっと早く払ってくれれば、値引きするよ」と応戦し。できるだけ多く売り上げ、できるだけサイトを短く収めなければいけません。なかなかたいへんです。

もちろん、不払いにも注意を払う必要があります。いわゆる「焦げ付き」です。焦げ付き債権は、とてつもなく手痛い「逆資金調達」となります。

売上急拡大の恐るべきワナ

売掛金の「逆」資金調達機能がもっとも機能するのが、売上急拡大時です。「逆」機能ですから、歓迎すべき事態ではありません。

損益計算書だけを見ていると、どんどん利益が計上されていくので見落とされがちです。その間、貸借対照表ではどんどん逆資金調達が進んでいるのです。

イメージを得るために、たとえばバナシをします。50万円の商品を100万円で売る商売を考えてみましょう。売掛金のサイトは2か月、仕入のサイトは1か月だとします。

まず、商品を1個仕入れてすぐに売れた場合。1か月後、50万円の買掛金を支払い、2か月後に100万円が入金。ですから、1か月後の時点で現金50万円がなければいけません。

50万円くらいだいじょうぶ、あなたはそう考えます。そして今度は商品が飛ぶように売れます。10個仕入れて、すぐに10個完売。するとどうなるか。

1か月後に必要な買掛金の支払いは500万円。売掛金の入金が1,000万円あるさ、と言っても。それはさらに1か月後のハナシです。買掛金が支払えなければおしまい。これが黒字倒産。

逆資金調達を察知し、資金調達する

黒字倒産のたとえバナシからわかること。それは、逆資金調達を察知して、資金調達を行うことです。

資金調達の手段は借入だけではないことはお話ししました。買掛金のサイト交渉なども含めて、広く資金調達の算段を行うことです。そのために、貸借対照表が必要になるのです。

 

逆資金調達機能「在庫」

在庫の残高が増えているときには。おカネの残高を減らしていく、逆資金調達機能が働いている。と言えます。

在庫は売掛金と同類項

勘のいい方ならば、もうお気づきでしょう。「在庫」の増加もまた、「逆」資金調達が働きます。

貸借対照表に計上された「商品」などの在庫は、売れるまではおカネになりません。売上をツケにしていることと似たような話です。在庫を減らせ、と言われるのはこのためです。

売上急拡大時には仕入が増えます。需要を見誤った仕入により「不良在庫」になれば、焦げ付き債権と同じこと。在庫の金額についても、貸借対照表では注意すべきポイントです。

 

まとめ 「運転資金」を把握せよ

貸借対照表の資金調達機能についてお話をしてきました。そのまとめとして、「正常営業運転資金」について触れておきます。正常営業運転資金とは、

正常営業運転資金 = 売掛金(他に受取手形) + 在庫 -買掛金(他に支払手形、未払金)

いきなりの算式にとまどうかもしれませんが。これまでのハナシを思い出してみましょう。売掛金と在庫は逆資金調達。その分だけおカネが必要になることを表していました。

買掛金は資金調達、おカネが増えることを表していました。ということは、その差額である上記算式から求められる「正常営業運転資金」とは?「日常的に持つべきおカネの量」を表しています。

定期的に貸借対照表から正常営業運転資金を計算し、その増減額をはかっておくこと。もっといえば、未来の貸借対照表をイメージして「正常営業運転資金」を計算しておくことです。

これにより、「おカネが足りない」に先回りした対応が可能になります。「おカネは急になくなったりする」ことはありません。

貸借対照表を活かしましょう。貸借対照表はいつもあなたに、「資金調達せよ」のメッセージを発しています。

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!