赤字会社の税務調査はどれくらいあるの?赤字なのに何を見に来るの?

赤字会社の税務調査

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ウチの会社は赤字だからねぇ…税務調査なんて来ないでしょう。

なんてことはありません。赤字だろうと黒字だろうと、税務調査はやってきます。

でも、赤字の会社に来たって、税金は取れないだろうになぜ? という疑問についてお話しします。

赤字会社の税務調査はどれくらいあるのか

まずは、赤字会社に対して行われている税務調査の実態をみてみましょう。

税務調査の35%が「無所得申告法人」

国税庁が平成28年11月に公表した「平成27事務年度 法人税等の調査事績の概要」からデータを抜粋します。

法人税の実地調査件数 9万4千件
うち無所得申告法人に対する実地調査件数 3万3千件

上記、「無所得申告法人」とは。わかりやすく言うならば、「黒字ではない会社」のこと。もう少し正確に言うと、「所得が無い会社」。

こう言ってしまうと、「所得ってナニ?」という話になってしまいます。あーメンドーだ。話がブレる。

ということでひとまず、「無所得申告法人」とは「黒字ではない・赤字っぽい会社」だとイメージしてください。あとで説明します。

で、データに戻ります。そんな「黒字ではない・赤字っぽい会社」の税務調査件数は、3万3千件。それも含めた全税務調査件数は9万4千件です。

よって、税務調査のうち「黒字ではない・赤字っぽい会社」が35%(3万3千÷9万4千)を占めている、という現状が確認できます。3社に1社が「赤字っぽい会社」という現実。

税務調査で赤字が黒字が転換する割合「13.3%」

国税庁の同公表資料のなかには、もうひとつ興味深いデータがあります。

有所得転換割合 13.3%

「有所得転換割合」とは?ということですが。 もはや誤解を恐れず、わかりやすく言うならば。

赤字で申告していた会社が、税務調査を受けたことにより黒字に転換した割合です。この割合が、13.3%。

赤字会社の税務調査を10社やったら、そのうちの1社強は「実は黒字でした」ということを表しています。故意か過失かはともかくとして…

いずれにしても、「有所得転換」により、「無税から納税へ転換」することになります。

無所得申告法人について(読み飛ばし可)

さきほど説明を避けた「無所得申告法人」について解説しておきます。関係各所から叱られないようにね、一応きちんと書いておきます。

知りたい人だけ読んでいただければけっこうです。ではまず、次の表から。

  会計の世界 税金の世界
取り扱い書類 決算書(財務諸表) 税務申告書
儲けの呼称 利益 所得

「無所得申告法人」の「所得」という言葉は、「税金の世界」の言葉です。これを「会計の世界」の言葉に置き換えると「利益」。

「所得」は税務申告書に記され、「利益」は決算書(財務諸表)に記されます。平たく言うと、「所得」や「利益」は、それぞれの世界の「儲けの呼称」だ、と言えます。

ただし、厳密には「所得=利益」ではありません。税金の世界では、会計の世界で計算された「利益」をベースに、税金的な観点から修正を加えて「所得」を計算します。

つまり、「利益+税金的加算項目-税金的減産項目=所得」というイメージです。ということで、イメージ止まりにしておきましょう。これより先は、地獄の一丁目。

舞い戻って、「無所得申告法人」とは。会計の世界で言う「利益がゼロ以下の会社」、つまり「黒字ではない会社」と、ほぼほぼ同義だということになります。以上。

 

赤字会社はなにを調査されるのか?

赤字会社にも税務調査があることがわかったところで。次は「なにを調査されるのか」について、みていきましょう。

その赤字額は合っているのか?

さきほど、「有所得転換」という話をしました。これは、税務調査によって赤字から黒字に転換、結果、納税に転じるということでした。

ところで税務署は、この「黒字転換」だけを狙って、赤字会社の調査に入っているわけではありません。

「赤字」の額は合っているのか?ほんとうは「赤字」の額はもっと少ないのではないか?そのように考え、黒字転換せずとも、赤字額を減らすことにも狙いを持っています。

赤字額を減らしたって、結局税金が出ないんだからいっしょだろう、と思うかもしれません。ところが、そうでもないのです。

その理由は、「青色欠損金の繰越控除」という制度にあります。「赤字は、翌年以降に繰り越せる」というハナシは聞いたことがあるのではないでしょうか。それです。

青色申告をしている会社は、赤字を翌年以降9年間繰り越すことができるのが「青色欠損金の繰越控除」。

であるならば、税務調査で黒字転換しなくても。赤字額が減るのであれば、翌年以降に繰り越す額も減る。よって、翌年以降の税金額が増える。

だから税務署には、赤字会社であっても、その赤字がホンモノかを確認したいという思惑があるわけです。

青色申告の取り消し

「青色欠損金の繰越控除」は文字通り、青色申告の特典です。青色申告をしている会社だからこそ使えるメリットです。

ところが、たとえば赤字になるように帳簿を「仮装・隠ぺい」していたとか、必要な帳簿書類に不備があったとか。そんな「ワル」をしていると、青色申告は取り消しとなります。

青色申告取り消しとなれば当然、「青色欠損金の繰越控除」は使えません。

そうなると、赤字の翌年以降の税金は従来よりも増えるわけですから。税務署は、「青色申告の取り消しに該当しないか」についてもチェックしています。気を付けて。

消費税、印紙税、源泉所得税

国税庁の公表資料で、調査件数を紹介しました。紹介したのは「法人税」の実地調査件数です。

会社に対する税務調査では、法人税の調査と同時に、「消費税」「印紙税」「源泉所得税」などの調査が行われます。

これらは法人税と違い、会社が黒字か赤字かに関係なく「税金」が発生する点で、税務署側では興味の対象となります。

  • 消費税の計算はただしく行われているか
  • 契約書等への印紙の貼付はただしく行われているか
  • 通常の給与はもちろん、現物給与(※)を含めた源泉徴収事務はただしく行われているか

など。しっかりと準備・確認をしておきましょう。

※現物給与とは
金銭の支払い以外による給与のこと。食事の支給や、福利厚生施設の無償利用など、「経済的利益」とも表現されます。
現物給与は「原則」、源泉所得税の課税対象とされ、その取り扱いには注意が必要です。

 

まとめ

赤字会社の税務調査についてお話をしてきました。

赤字だから税務調査が無い、ということはありません。たとえ赤字であったとしても、なんら変わらず税務調査は行われることを覚えておきましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!