週刊/税理士ジョーの銀行融資マガジン 購読受付中

国民年金保険料はどう払うのがおトク?前払いする?クレジットカード使う?

国民年金保険料の支払方法

国民年金っていろんな払い方があるよね。どうしたらいいんだろう?

国民年金保険料の支払い方には、「つど払い」に対して「前払い」があります。「現金納付」に対しては、「口座振替」「クレジットカード払い」があります。

そんな国民年金保険料の払い方による違いをまとめてみます。

目次

払い方による「おトク額」のちがい

まずは結論として、払い方の違いによるおトク額の一覧を提示します。

 1年あたりのおトク額
現金払い口座振替クレジットカード
通常の納付0円0円1,944円
早割不可600円不可
6か月前納1,580円2,220円3,514円
1年前納3,460円4,090円5,376円
2年前納不可※7,845円不可※

※ 平成29年度より可能になる予定

《 要注意 》
・上記割引額は、平成28年度国民年金保険料の金額にもとづいています
・「1年あたりのおトク額」には、クレジットカード利用によるポイント還元分を含めています
・クレジットカード割引額は、利用クレジットカードの還元率を「1%」として計算しています

それではそれぞれの「払い方」について、順番に見ていきましょう。

 

通常納付

いわゆる「つど払い」による払い方を、国民年金を管轄する日本年金機構では「通常の納付」と呼んでいます。

基本、割引無し

現金払いであれば、当月分の保険料が翌月末日までの支払い。金融機関の口座振替であれば、翌月末振替です。

クレジットカード払いの場合には、毎月末日に当月分の保険料が決済されます(決済額の支払日は各カード会社の取り決めに依る)。

この「通常の納付」について、日本年金機構による割引はありません。フツーに納めるだけですからね、しかたありません。

クレジットカード払いならば、ポイント還元狙える

「割引」はありませんが、クレジットカード払いによる「ポイント還元」ならば受けることが可能です。

ただし、要注意!

クレジットカード払いはできても、ポイント還元があるかどうかはカード会社しだいです。

たとえば、三井住友カード。「国民年金保険料もカードでお支払い」と謳っていますが、残念な注意書きが。

※「国民年金保険料」ご利用分は、ワールドプレゼントのポイント計算の対象となりませんのでご注意ください。

三井住友カード WEBサイトより抜粋

ちなみに、わたしが愛用している楽天カードだと。利用額100円に対して楽天ポイントが1ポイント(1円相当)の還元率が適用されます。

ということで、冒頭の「おトク額一覧表」では、還元率1%を前提にしております。悪しからず。年間おトク額の計算については次のとおり。

  • 月額保険料 16,260円 × カード還元率1% × 12か月=1,944円

※ 月額保険料は平成28年度のもの

クレジットカード払いの際には、「ポイント還元があるかどうか」は重要な確認ポイント。気を付けて。

 

早割

口座振替のみが選択できる「早割」。現金払いとクレジットカード払いに「早割」はありません。

「通常の納付」の場合の口座振替が翌月末振替だったのに対して、「早割」の場合には当月末振替となります。

おトク額はというと、「早割」のネーミングほどにインパクトはありません。ひと月あたりの割引額は50円。ゆえに、年間おトク額は600円なり。

 

6か月前納

文字通り、6か月分の前払いです。日本年金機構による割引額があります。クレジットカードのポイント還元も含めて、おトク額を計算してみましょう。

現金払いの場合 1,580円

4月~9月分、10月~翌年3月分を、それぞれ96,770円支払います。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 6か月=97,560円
  • 6か月前納だと…6か月分保険料 96,770円
  • 6か月前納 1回あたり割引額…97,560円-96,770円=790円
  • 年間おトク額…790円 × 年2回=1,580円

※ 月額保険料、6か月前納保険料は平成28年度のもの

口座振替の場合 2,220円

4月~9月分は4月末、10月~翌年3月分は10月末に、それぞれ96,450円を口座振替します。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 6か月=97,560円
  • 6か月前納だと…6か月分保険料 96,450円
  • 6か月前納 1回あたり割引額…97,560円-96,450円=1,110円
  • 年間おトク額…1,110円 × 年2回=2,220円

※ 月額保険料、6か月前納保険料は平成28年度のもの

現金払いの6か月前納よりも、年間640円だけおトクです。

クレジットカード払いの場合 3,514円

4月~9月分は4月末、10月~翌年3月分は10月末に、それぞれ96,770円が決済されます。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 6か月=97,560円
  • 6か月前納だと…6か月分保険料 96,770円
  • 6か月前納 1回あたり割引額…97,560円-96,770円=790円
  • クレジットカードポイント還元…96,770円 × 1%=967円
  • 年間おトク額…(790円+967円) × 年2回=3,514円

※ 月額保険料、6か月前納保険料は平成28年度のもの

口座振替の6か月前納よりも、年間1,294円おトク。現金払いの6か月前納よりも、年間1,934円おトクです。

還元率が0.33%より大きいならクレジットカード払い!

上記のとおり。6か月前納について、口座振替による場合の1回あたり割引額は1,110円。クレジットカード払いならば790円です。これだけなら、口座振替のほうがおトクです。

これに、クレジットカード払いのポイント還元が付くことで、クレジットカード払いのおトク額が逆転する。という計算でした。

ここまでの計算前提は、クレジットカードのポイント還元率1%。では、還元率が何%以上ならばクレジットカード払いが有利になるのか?

(1,110円-790円)÷ 96,770円=0.33…%

つまり。ポイント還元率が0.33%よりも大きければ、口座振替よりもクレジットカード払いの方が有利だ、ということになります。

 

1年前納

こちらも文字通り、1年分の前払いです。日本年金機構による割引額があります。クレジットカードのポイント還元も含めて、おトク額を計算してみましょう。

現金払いの場合 3,460円

4月~翌年3月分の1年分 191,660円を、一括で支払います。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 12か月=195,120円
  • 1年前納だと…1年分保険料 191,660円
  • 1年前納割引額…195,120円-191,660円=3,460円
  • 年間おトク額…3,460円

※ 月額保険料、1年前納保険料は平成28年度のもの

口座振替の場合 4,090円

4月~翌年3月分の1年分 191,030円を、4月末に口座振替します。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 12か月=195,120円
  • 1年前納だと…1年分保険料 191,030円
  • 1年前納割引額…195,120円-191,030円=4,090円
  • 年間おトク額…4,090円

※ 月額保険料、1年前納保険料は平成28年度のもの

現金払いの6か月前納よりも、年間630円だけおトクです。

クレジットカード払いの場合 5,376円

4月~翌年3月分の1年分 191,030円が、4月末に決済されます。

  • 通常の納付だと…月額保険料 16,260円 × 12か月=195,120円
  • 1年前納だと…1年分保険料 191,660円
  • 1年前納割引額…195,120円-191,660円=3,460円
  • クレジットカードポイント還元…191,660円 × 1%=1,916円
  • 年間おトク額…3,460円+1,916円=5,376円

※ 月額保険料、1年前納保険料は平成28年度のもの

口座振替の1年前納よりも、年間1,286円おトク。現金払いの1年前納よりも、年間1,916円おトクです。

還元率が0.32%より大きいならクレジットカード払い!

6か月前納のときと同様に。口座振替とクレジットカード払いの有利不利を分ける「ポイント還元率」を計算してみます。

(4,090円-3,460円)÷ 191,660円=0.32…%

つまりポイント還元率が、0.32%よりも大きければ。口座振替よりもクレジットカード払いの方が有利だ、ということになります。

 

2年前納

さいごは2年分の前払いです。平成26年4月からはじまったあたらしい支払方法です。日本年金機構による大きな割引額があります。

割引額は、最高の1年あたり7,845円

4月~翌々年3月分を4月末に、口座振替で一括払い。おトク額の計算は次のとおり。

  • 通常の納付だと…平成28年度月額保険料 16,260円 × 12か月+平成29年度月額保険料 16,490円 × 12か月=393,000円
  • 2年前納だと…2年分保険料 377,310円
  • 2年前納割引額…393,000円-377,310円=15,690円
  • 年間おトク額…15,690 ÷ 2年=7,845円

※ 月額保険料、2年前納保険料は平成28年度および平成29年度のもの

これまで見てきた支払方法の中で、もっともおトク額が大きいのが、この「2年前納」払いです。

平成29年度から現金納付、クレジットカード払いも

本投稿日現在、2年前納には「口座振替」しかありません。ところが、日本年金機構のWEBサイトにはこんな記述が!

なお、平成29年4月より、これまでの口座振替に加え、新たに現金・クレジットカード納付による2年前納が始まります。

日本年金機構 WEBサイトより抜粋

厚生労働省による平成29年度の割引額の告示がまだであるため、具体的な計算はできませんが。

これまで無かった「2年前納+クレジットカード払い」によるおトク額への興味が高まります。

 

社会保険料控除は、2年に分割可能!

確定申告での論点について。国民年金保険料の支払いについては「社会保険料控除」を受けることができます。

「2年前納」による場合、この「社会保険料控除」はどうなるのか?国税庁のWEBサイトには次のように書かれています。

前納した2年分の国民年金保険料の全額をその支払った年分の社会保険料控除の対象として差し支えありません。
なお、各年分の保険料に相当する額を各年に控除する方法を選択することもできます。

国税庁 WEBサイトより抜粋

ということで、2年分を支払った年に控除するか。2年分それぞれで分割して控除するか。好きな方を選択できます。

 

その他の注意ポイント

口座振替・クレジットカード払いの手続期限

割引額がおトクな「口座振替」、ポイント還元が魅力の「クレジットカード払い」には手続きが必要です。

手続きには期限がありますので、興味があるなら要チェック。次のとおりです。

前納の種類前納の期間手続き期限
6か月4月~9月2月末
10月~翌年3月8月末
1年4月~翌年3月2月末
2年4月~翌々年3月2月末

配偶者など家族の保険料をまとめて払えるか

口座振替、クレジットカードともに、配偶者など家族の分の国民年金保険料をまとめて支払うことは可能です。

ただし、配偶者以外の分などについては、「年金事務所からの電話または書面による同意確認が必要」との案内が出ています。

また、確定申告の「社会保険料控除」については、控除できるのは「実際に支払をした人」になります。口座振替やクレジットカードで自分以外の家族の分を支払った場合はどうなるか?

家族それぞれが自分の分を控除をするのではなく、まとめて払った人がまとめて控除を受けるのが原則です。ご注意を。

結局、前納したほうがイイの?

前述してきた「おトク額」で言えば、前納した方がイイということになります。それも6か月よりは、1年。1年よりも2年。

しかし、前納か否かの判断において「おトク額」を基準にするには、「おカネがある」ことが前提になります。

いくらおトクだからとはいっても、手元のおカネに余裕がないのにムリをするわけにはいきません。

いちど前納しておきながら「やっぱ返して」は基本的にはできないのです(会社等に勤務し、厚生年金に加入することになる場合などをのぞく)。

事業の状況、貯金の状況などを踏まえて、総合的に判断をする眼が必要です。

 

まとめ

国民年金保険料の支払い方と、そのおトク度についてまとめてみました。

まさにケースバイケース。おトクを目指して、支払い方を変えるのもひとつです。

いっぽうで、目先の損得だけではない部分もあります。将来にも目を向けて、自分に合った支払方法を選びましょう。

投稿日現在の情報に基づいております。その後の情報の変更には十分ご注意ください。 

 

 

************
  きょうの執筆後記
************

ブログには書けない・書きにくいことその他。きょうの「執筆後記」は毎日メルマガでお届け中です。

よろしければメルマガ(無料)をご登録ください! → 登録はこちらから

国民年金保険料の支払方法

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

良い記事があればシェア
  • URLをコピーしました!
目次