確定申告無料相談会でおばあちゃんに頼まれた医療費控除のこと

おばあちゃんからの頼み事

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そんなことみんな知らないわよ…もっとみんなに教えてあげて!

本日、税理士会主催の確定申告無料相談会にて。

相談者のおばあちゃんとの会話のさなか、頼まれたことを記事にします。そんなわけで拡散求ム!

医療費10万円以下だって医療費控除っ!

結論。医療費控除は、医療費が10万円未満だってできる。

おばあちゃんからの「頼み事」

本記事を書くにいたった経緯を、手短にお話しさせていただきます。手短にね。

きょうは朝から1日、税理士会主催の確定申告無料相談会の相談員を務めてまいりました。

この無料相談会の対象者は、主に「年金を受給されている方」。いわゆる年金受給者の確定申告をお手伝いする、それがわたしのきょうの仕事です。

で。以下、ある相談者のおばあちゃんとわたしの会話です ↓

僕「去年、医療費ありました?」

おばあちゃん「いやいや、10万円もかかってないわ」

僕「でもね、3万円くらいかかってたら医療費控除できますよ」

おばあちゃあん「え、そうなの?10万円だって聞いてるから、毎年やってないわ。集計したら9万円くらいだったんだけどね」

という会話をしたあと。医療費控除の効果をシミュレーションしてお話ししたところ、医療費の領収書を取りに帰られました。

そりゃそうですよね。せっかく税金を返してもらえるのにもったいない。

そして、おばちゃんは帰り際、わたしに「頼み事」をしていきました。それが、

そんなことみんな知らないわよ…もっとみんなに教えてあげて!

税理士の「当たり前」は、おばあちゃんへの「不親切」

おさらいします。おばちゃんが言った「そんなことみんな知らないわよ」の「そんなこと」とは、

医療費控除は、医療費支払いが10万円未満でもできるケースがある。ということでした。

これは税理士にとっては、当たり前も当たり前。そんなん寝ててもわかるわ、というレベル。

ところが。相談会に来ていたおばあちゃんは知りません。知らなかった。「毎年」、相談会に来ているのにね。というハナシです。

だから、おばあちゃんは「頼み事」をしていったのでしょう。ほんとうに言いたかったことはガマンして。

「もっと前から教えてくれればよかったのに(怒)不親切なんだから!」ほんとうはそう言いたかったんだと思います、おばあちゃんは。

 

じゃあ、来年からどうすればいい?

そんなおばあちゃんの思いに応えるべく。「いったい、医療費控除はどうしたらよいのか?」ということについてお話しします。

頼む、ここはついてきてくれ!

ここからは、少々計算がカラみます。なるべくカンタンにお伝えしますので、どうかついてきてください!

まず核心。巷で言われる「10万円」は、いわゆる「足切り額」です。

つまり、20万円の医療費支払いがあったとすれば、「20万円-10万円=10万円」が医療費控除の対象です。

いっぽう、9万円の医療費支払いであれば。「9万円-10万円<0」、よって医療費控除不可ということです。

この足切り額「10万円」は、収入が少ない人ほど少なくなる。これが、きょうの核心です。

足切り額の計算方法

それでは続いて、足切り額の具体的な計算方法です。話が複雑化するのを避けるため、「収入が年金だけ」というシンプルな前提を置かせていただきます。年齢でわかれます。

  • 収入が公的年金(国民年金・厚生年金など)だけの人で65歳未満
  • 収入が公的年金(国民年金・厚生年金など)だけの人で65歳以上

《 収入が公的年金(国民年金・厚生年金など)だけの人で65歳未満 》

まず、1年間の年金収入が記載された「公的年金等の源泉徴収票」から「支払金額」を拾い出します。

ちなみに、源泉徴収票に記載された「支払金額」は、源泉所得税や社会保険料が引かれる前の金額です。

その「支払金額」を下表の左欄「年金収入」に当てはめ、「足切り額」を計算していきます。例題で、計算してみましょう。

年金収入 年金所得
~700,000円 0円
700,001円~1,299,999円 年金収入-700,000円
1,300,000円~4,099,999円 年金収入×0.75-375,000円
4,100,000円~7,699,999円 年金収入×0.85-785,000円
7,700,000円~ 年金収入×0.95-1,555,000円

例)年金収入が1,800,000円の場合

  • 年金所得=年金収入 1,800,000 × 0.75-375,000=975,000円
  • 足切り額=年金所得 × 5%=975,000 × 5%=48,750円

このように、「年金収入」から「年金所得」を計算し。「年金所得」に5%を乗じて「足切り額」を計算します。

つまり、年金収入180万円の人(65歳未満、他に収入無し)は、医療費支払いが48,750円より多ければ医療費控除ができます。

この「足切り額」を計算した結果が10万円を超えるときにはじめて、「足切り額」は10万円となるのです。

これでいくと、年金収入 3,166,666円を超える人が「足切り額」が10万円になります。

《 収入が公的年金(国民年金・厚生年金など)だけの人で65歳以上 》

こんどは、公的年金だけで65歳未満の人。計算方法は、上述した「65歳未満」のところを参照してください。

年金収入 年金所得
~1,200,000円 0円
1,200,001円~3,299,999円 年金収入-1,200,000円
3,300,000円~4,099,999円 年金収入×0.75-375,000円
4,100,000円~7,699,999円 年金収入×0.85-785,000円
7,700,000円~ 年金収入×0.95-1,555,000円

これでいくと、年金収入 3,200,000円を超える人が「足切り額」が10万円になります。 

では、税金はどれだけ戻るのか?

気になる税金の戻り額ですが、次のように計算します。

  • 税金の戻り額=(医療費支払い-足切り額)× 税率

税率は収入額により変わりますので、収入が高くて税率が高い人ほど医療費控除の効果は大きくなるしくみです。

ところで、年金受給者の方の所得税率は5%という方が少なくありません。だとすると、医療費支払い 20万円、足切り額 10万円、税率 5%の場合の税金戻り額は?

  • (20万円-10万円)×5%=5,000円

うへぇ~。20万円も払って5,000円ぽっちか、という声もよく聞きます。でも、これは所得税だけのハナシです。もうひとつ。住民税にも医療費控除の効果はあります。

住民税の税率は収入に関係なく、一律10%です。ですから、いまの例だと、所得税と住民税は合わせて15%。効果はこうなります ↓

  • (20万円-10万円)×15%=15,000円

それでも15,000円ぽっち、と感じるか。15,000円も、と感じるかは人それぞれです。

相談会では「所得税」の計算をしているので、住民税のことは話に出てこないかもしれませんが覚えておくとよいでしょう。

要注意!医療費控除はできても、税金が戻らないことはある

以上、医療費支払いが10万円未満でも医療費控除はできる、というお話しでしたが。

そうは言っても、「必ずしも税金が減るかどうか」「税金が戻ってくるかどうか」は別のハナシになります。

たとえば、医療費控除以外にも他の控除額が十分にあるケース。医療費控除をしてもしなくても、税金の額(結果)は変わらない。ということがありえます。

また、年金収入が少額で源泉所得税が引かれていなければ、そもそも「戻す税金」が無い。医療費控除をしても意味がない、ということもありえます。

それらも含めて、今回お伝えしたいことはあくまで、

医療費支払いが10万円未満でも医療費控除できる可能性がある、ということ。

要は、医療費の金額が少なくても集計してみて、確定申告に備えるということ。そして、相談会や税務署へ行くのならその集計を持参して提示してみましょう。

 

まとめ

確定申告の無料相談会で出会ったおばあちゃんからの頼まれごとについてでした。

税理士を職にするものとしては。少しでも多くの人に、この記事が届いてくれるといいなと願ってやみません。

もしも、「そんなおばあちゃんはたまたまだろう?」と言うのならば違います。

いみじくも、わたしがきょう対応した20名ちょっとの相談者のうち3名が、同様の誤解をしていました。

他にも誤解をしたまま医療費控除を受けられた相談者もいたでしょうから、この3名というのは氷山の一角です。一角にしてはデカすぎますが。

「目の前にある書類を見て、ただしく税金計算できること」だけが税理士の仕事ではないことを、あらためて突き付けられたおばあちゃんの一言です。

 

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  きょうの執筆後記
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ABOUTこの記事をかいた人

税理士レス経理エバンジェリスト、フリーランス型税理士。1975年生まれ。 フリーランスの経理・会社の銀行融資支援を得意にする、横浜市の諸留誕税理士事務所・所長。2016年4月、18年間の「勤め人」を脱して独立開業。以来、ブログを毎日更新中!