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フリーランスが自分で確定申告・経理を『やったつもり』になって損をしている5つのコト

やったつもりの経理

経理も確定申告もメンドーだよね。

たしかに、そのとおり。経理も確定申告も、時間と手間は要するものです。それでもやらなきゃいけないのが、経理であり、確定申告ですよね。

ところが、あまりに「やらされ仕事」になっていると。やったつもりなのに損をしていることがあるかもよ、というお話をします。

目次

経理も確定申告も『やったつもり』で終わってない?

さて、唐突に質問です。次の2つの選択肢のうち、あなたはどちらにあてはまりますか?

  • 経理・確定申告をやった
  • 経理・確定申告をやらされた

べつに言葉遊びをしようというのではありません。

経理や確定申告に対するあなたの姿勢は、本質的にはどちらですか? というきわめて重要な問いかけです。さぁ、どっち?

『はい!わたしは自ら主体性をもってやりました(やっています)』というのであれば、ハナシはこれでおしまいです。

けれども。

『うーん、やらなきゃいけないもんだからしかたなく・・・やらされた、かな』という正直なあなたは、このあともう少しお付き合いください。

それから。『やったよ、やりましたよ。申告期限ギリギリ、ちゃんとやったってば。』という「やったつもり」のあなたも、こっちですよ。いっしょにお付き合いください。

申告期限に追われるような経理や確定申告であれば、その姿勢は「やらされた」です。残念っ!

 

『やらされた』『やったつもり』で損をしている5つのコト

経理や確定申告について。「やらされた」あるいは「やったつもり」になっていると損をしてしまうことがあります。次の5つです。

  • 「すぐできる」を逃す
  • 「学べる」を逃す
  • 「安心できる」を逃す
  • 「攻めきれる」を逃す
  • 「惑わされない」を逃す

このあと、5つそれぞれがどういうことであるのかをお話しします。さっと見てみて、「ま、いっか」と思うのであればそれもしかたがないでしょう。

ですが、「あ、ヤバいかもなぁ」と感じるところがあるのであれば。姿勢をあらためるきっかけにしていただけると幸いです。

「すぐにできる」を逃す

経理や確定申告を「やらされた」「やったつもり」になっていると。いつも後手にまわるものです。あとでまとめてやろう、みたいな後手。

結局、期限ギリギリになって手を付けますが。思わぬ税金になっても、もはや手の打ちようがない。節税のやりようもない、という事態では明らかに損です。

ここでのポイントは、「フリーランスの経理はすぐできる」という特性を理解すること。

なぜなら。あなた「ひとりしかいない」からです。これを逆説的に言うと、ひとりじゃない場合には、「すぐできる」の難易度が上がります。たとえば、

  • 社員の経費精算をするには、社員みなの精算処理を待たなければいけない
  • 社員が多い、会社の規模が大きいと取引数が多くなる。よって、経理処理も多くなり、時間と手間がかかる
  • 経理処理が多くなると、手にあまり税理士に頼む。結果、税理士の処理を待つことになる

いっぽうで、ひとりであれば。たいていの場合、そんなことはありません。そもそもひとりだし、取引数もそれほど多いわけではないでしょう。

本来、「フリーランスの経理はすぐできる」はずなのです。それを逃すから、節税も逃します。実はもっと、いろいろ逃します。それがこの後の話。

「やらされた」「やったつもり」で損をしていることの起点が、「すぐにできる」を逃しているということ。それをアタマに入れつつ、次のお話です。

「学べる」を逃す

「すぐにできる」ことをやらないからだ、なんて言うけどさ。だってよくわからんのよ、経理も確定申告も。

と、あなたは言うのかもしれません。そうそう、それですよ、それ。

よくわからないことをわからないままにしてしまうのは、やらされ感が強いからですよね。でも。

その「最低限やっておけばいいや」という姿勢が、経理や確定申告、延いては会計についての「学びのチャンス」を逃してしまうことにつながります。モッタイナイ。

そんな優等生的なコトを言われてもねぇ・・・、というカンジでしょうか? しかし、わたしがだけが言っているわけではありません。

あの松下幸之助さんも、稲森和夫さんも、幕末の坂本龍馬さんも、「経理や会計はたいせつなものなのだ」と言っています。

なぜたいせつなのかの解釈は、それこそ学ぶべきなのですが。わたしなりの解釈で、ひとつだけ言うのであれば。「数字は唯一無二のモノだから」です。

ほかに代替がきかない「数字」というツールをあつかう技術・学問が、経理であり会計です。それを学べる機会を逃すだなんて、もったいない。そういうこと。

「安心できる」を逃す

急にナンですが。経理には、「現状を明らかにする」という働きがあります。これは、経理が大切な理由でもあります。

どのくらい儲かっている(儲かっていない)か、とか。おカネがどのくらいあるか、将来おカネが増える(減る)ものはどれくらいあるか、とか。

そういうことを唯一無二の「数字」で、明らかにすることができるのが「経理」です。

理屈っぽいハナシが続きますが。数字は、誰が見ても誤解がない世界共通の「モノサシ」です。1は誰が見ても1であり、2になることなんてありませんよね。

そんなせっかくのモノサシを横に置き。「なんか儲かってるかも、エヘ」とか。「ムムム、なんかマズいかも」とか。「なんか、なんか」言っているようではいけません。

なんか儲かっているかもしれないと思っていたけど、実際に経理をしてみたら儲かってませんでした。タイヘンだ。

なんか儲かっていないと思っていたけど、意外と利益が・・・うわ、税金高っ!なんていうのもタイヘンです。

そんな経理では、不安で夜も寝られない。かどうかはともかく、安心できないことはたしかでしょう。経理を後回しにすると、安心も後回しになります。

フリーランスが自分の仕事の状況をよりきちんと知るために。経理はすべきだし、しかも、すぐにやる、正確にやるべきです。だからこそ、経理や会計を学ぶ価値もあるというものです。

「攻めきれる」を逃す

「安心」の延長線上に、「攻める」があります。いったいどういうことか?

数字によって自分の状況がクリアになっていれば、「攻める」機会をとらえることができます。

設備投資、自己投資、商品・サービス開発や営業活動といった「攻める」局面で、数字の裏付けをもって行動することができるようになる。これは経理の強みです。

経理ができていないがために現状に確信が持てず、せっかくのチャンスで「攻めきれない」というのはイヤですよね。

だから、やっぱり経理はやっておくべきだし。加えて、主体的に速く、できる限りタイムリーにやるべきなのです。

ところで。「イヤイヤ、オレはいつでも勇気をもって決断できる」「アタイには、経営者のカンってやつがあるのよ」なんて、どうか言わないでください。

それは勇気ではなく無謀であり、勘ではなく勘違いというものです。

ホンモノの勇気や勘も大切ですが。努力や心がけしだいで誰もが得られる「たしかな数字」のほうを、まずは大切にしませんか?

「惑わされない」を逃す

確定申告や税金については、根も葉もないウワサや都市伝説が存在します。

このくらいの収入なら申告しなくても大丈夫、とか。申告書は期限ギリギリに出すとチェックが甘い、だとか。税理士としてはなんとも驚きです。

そういったハナシは、細かなものを挙げればキリがなく。「正解」を知らぬ者にとっては、ただただ振り回されるばかりとなります。

「それはイイね」と飛びついた話が、実は間違いだった。ガックリ。あるいは、なんと脱税行為でした。なんて気づいたときにはガックリではすみません。

では、「正解」はどこにあるのか? 言うまでもありませんよね。「正解」はいつも、ただしい経理・ただしい確定申告の中にあります。

出たっ、キレイごと! でも、それが事実です。

ヒトから聞いた「おいしいハナシ」は、ほんとうかな? なんでそうなのかな? と一度は疑ってみましょう。わからなければ、調べてみましょう。

そうやって、やるべきことを地道にコツコツ積み上げた先に。正しい経理・正しい確定申告が待っています。

経理や確定申告を「やらされた」「やったつもり」になっていると、いつまでたっても「正解」にたどりつくことはできません。

 

まとめ

経理や確定申告を、「やらされた」「やったつもり」で損をしている5つのコトについてお話をしてきました。

  • 「すぐできる」を逃す
  • 「学べる」を逃す
  • 「安心できる」を逃す
  • 「攻めきれる」を逃す
  • 「惑わされない」を逃す

抽象的で、精神論的なところが多くありましたが。経理や確定申告は、「気概」や「姿勢」からはじまるものでもあります。「学び」は、魂あってこそ。

心あれば、学ぶ方法などいくらでもあるのが「いま」です。

よし、やるぞ。やってやるぞ!という主体性が、5つの損を5つのトクに換えるはず。きょうから、経理に向き合う姿勢を変えてみませんか?

 

 

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  きょうの執筆後記
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