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渡すだけじゃダメ!決算書を持って銀行へ行こう【決算報告・説明のポイント】

決算書を持って銀行へ行く

” 銀行が「決算書のコピーをください」と言うから渡しておいた。”

って、それじゃあダメですよ。これからも融資を受けたいのであれば、決算書を持って銀行へ行きましょう、というお話をします。

目次

渡すだけじゃダメ!決算書は銀行へ持っていく

毎年の決算が終わり、融資を受けている銀行から「決算書を見せて欲しい」と言われたら。

決算書一式をコピーして「はい、どうぞ。」と手渡しているだけではいけません。

決算書は、向こう1年(次の決算書ができるまで)のあいだ、銀行の融資姿勢を左右するほどの重要書類です。

したがって、決算の内容が良いにせよ・悪いにせよ、その内容はきちんと報告・説明すべきです。万が一、内容に誤解があってはたまりませんし、報告・説明をすることで評価がよくなることもありえます。

そんな決算報告・説明のポイントについてお話をしていきます。こちらです ↓

銀行への決算報告・説明のポイント
  1. こちらから銀行へ行く
  2. 資金繰り表を持参する
  3. 融資希望額・融資希望時期を伝える

それでは、このあと順番に見ていきましょう。

 

《ポイント①》こちらから銀行へ行く

冒頭でお話をしたとおり、決算の報告・説明をするのであれば、「こちらから」銀行へ行くようにしましょう。

わざわざそんなことをしなくても、いつもの外回り担当者(渉外担当者)に来てもらえばいいじゃないか。と、思われるかもしれませんが。残念ながら、それでは不十分です。

ではなぜ、わざわざ、こちらから銀行へ行くのか。その理由は、支店長」あるいは「融資審査の担当者」に直接、決算の報告・説明をするためです。

融資をするかしないかの決裁権を持つのは支店長であり、その決裁に必要な判断材料を提示するのが融資審査の担当者になります。

にもかかわらず、外回りの担当者に報告・説明をした内容が、支店長や融資審査の担当者まできちんと伝わっていなければどうでしょう? 

誤解を恐れずに言えば、そこは「伝言ゲーム」なのですから、伝わらないこともあるはずです。だから、だいじな決算については、「わざわざ」でもこちらから銀行に行くべきなのです。

また、内容が伝わっていると仮定しても。それでも、支店長や融資審査の担当者には直接話をすべきです。なぜなら、又聞きよりも直接聞くほうが「影響力」が大きいものだからです。

たとえば、支店長や融資審査の担当者から見て、外回り担当者からの話しか聞いたことがないA社と、実際に社長に会ったことがあるB社。

どちらの会社が審査をしやすいか、と言えば。こたえはB社です。支店長や融資審査の担当者自身で内容をつかんでいるB社のほうが審査がしやすい。評価の加点になりえます。

逆に、内容をつかんでいない、A社について加点はむずかしく… 銀行は「よくわかっている会社」に融資をしやすく、「よくわからない会社」への融資を避ける傾向があることを覚えておきましょう。

なお、突然銀行へ行くのではなく、事前にアポイント(面会の約束)をとりましょう。せっかく行っても、支店長や融資審査の担当者が居ない・同席できないというのでは意味がありません。

外回りの担当者を通じて、決算の報告・説明をしたい旨、支店長あるいは融資審査の担当者にも同席をお願いしたい旨を伝えてもらうのがよいでしょう。

【補足】支店長や融資審査の担当者の同席をしてもらえないときは?
決算の報告・説明という話に対して、もしも「支店長も融資審査の担当者も同席できない」と言われたら。すでに、その銀行からの評価が厳しい(融資をしたくない)状態にあるのか、あるいは、そもそも取引をすべき銀行を誤っている可能性があります。
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《ポイント②》資金繰り表を持参する

銀行に決算書を報告・説明するときのポイント2つめとして、決算書だけではなく「資金繰り表」を持参する、ということが挙げられます。

ここで言う「資金繰り表」とは、決算後向こう1年間のキャッシュ(おカネ)の入金・出金・残高の月次推移を示す「予測資金繰り表」です。

ではなぜ、決算書だけではなく、予測資金繰り表が必要なのか? その理由はこちら ↓

  • 決算書 → 過去をあらわすもの
  • 予測資金繰り表 → 未来をあらわすもの

銀行融資の可否を分ける大きな要素は「決算書」ですが、決算書は「過去の実績」をあらわすものでしかない、とも言えます。

過去はそうだったかもしれないけれど、これから先(未来)はどうなんだろうね? という情報が不足します。だから、予測資金繰り表も必要なのです。

実際、銀行もそのあたりは知りたいことのひとつであり、社長にたずねるわけです。この先、売上や利益はどうですか? 資金繰りはどうですか? と。

ところが、多くの場合、社長は「口頭」で「意気込み」を語るばかりです。これでは、カタチに残らず、数字管理力の低さを露呈することになります。

そこで、「予測資金繰り表」です。「書面」でもって、数字を使った「計画」として未来の予測をあらわすものが「予測資金繰り表」です。カタチに残るし、数字管理力の高さを示すことができます。

銀行は、書類を好みますし、数字管理力のある会社を好みます。決算の報告・説明の際には、過去と未来の合わせ技として、決算書と予測資金繰り表を持参しましょう。

 

《ポイント③》融資希望額・融資希望時期を伝える

さきほど「予測資金繰り表」についてお話をしました。未来について書面できちんと数字であらわすために必要ですよ、と。

「予測資金繰り表」にはもうひとつ、大きな役割があります。それは、「融資希望額・融資希望時期」を明示することです。

資金繰り表は、「月初残高 + 入金 ー 出金 = 月末残高」という造りになっています。

これを決算後向こう1年間予測でつくったときに、月末残高が不足した場合には、いわゆる「資金ショート」ですから銀行融資が必要となります。

ちなみに、「資金ショート」は、売上減少・損失発生などのネガティブな場面に限りません。売上増加による運転資金不足や、新規投資などのポジティブな場面も当然あります。

この資金ショートに対する「融資希望額・融資希望時期」を、予測資金繰り表で明示することにより、次の効果が期待できます ↓

  • 計画性のある融資希望だ、と銀行に見てもらえる
  • 融資時期がわかっているので、銀行は貸しやすい

これに対して、おカネが無くなってから場当たり的に融資を希望すればどうでしょう? 計画性の無さを感じた銀行としては、融資を渋りたくもなるはずです。

また、時間的余裕があれば、時期(銀行にとって貸しやすい時期など)を見ながら融資を検討できたかもしれないのに… というチャンスを逃すことにもなります。

ですから、融資を受けたいのであれば、予測資金繰り表を提示して、銀行が「貸しやすいな・貸したいな」と考えられる環境をつくることです。

 

まとめ

決算書を持って銀行へ行きましょう、というお話をしてきました。

決算書を持っていくのは、融資を受けているすべての取引銀行に対してです。

記事中で触れた3つのポイントは、すべての取引銀行に効果を発揮するのですから、漏れなく決算の報告・説明をするようにしましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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