架空、偽造、改ざん・・・不正領収書の悪事を見破る9つの方法

不正領収書

むむっ。この領収書、なんかアヤシイぞ。

架空経費の領収書。偽造された領収書。一部に改ざんが施された領収書・・・

その「不正」、暴いてご覧に入れましょう。不正領収書の悪事を見破る9つの方法についてお話しします。

目次

あなたにも必要な「不正領収書」を見破る眼

領収書の不正だなんて。わたしには関係ないや、というワケでもありません。あなたにも必要です。

不正を見破る眼が必要なのは、税務署だけじゃない

不正領収書に関心を寄せるべきは、税務調査をする税務署だけではありません。

税理士事務所は顧問先が提示する領収書に、その不正を許すわけにはいきません。会社の経理部もまた、社員が経費精算を申請する領収書の不正を見逃すわけにはいきません。

はたまた、家計を握る奥様も。ダンナから渡された領収書を・・・コワイ、コワイ。

アヤシイのは「手書き」

不正領収書のほとんどが手書きです。「原始的な手書き」こそが、圧倒的に多い不正の手段。

まずは、手書きの領収書に目をつけて。その不正を暴く方法を、これから見ていきます。

 

《方法1》市販の領収書をピックアップ

市販の領収書に手書き。架空経費を疑ってみましょう。誰にも入手しやすい市販領収書であるからこそ、単純ながらもよく用いられる手段です。

お店の名前や住所などが印字済みの、オリジナルデザインの領収書をつくるのはタイヘンですからね。

大量の領収書やレシートの中から、「すべてが手書きされた領収書」を抜き出す。架空経費探しの常套手段です。

 

《方法2》店は実在しているか

架空経費が疑われる場合。そもそも、領収書に記載されたお店は実在しているのか。店の実在を確認することは初歩の初歩。

いまはネット時代。たいていのお店はネットで検索ができます。領収書に書かれた店名と所在地とを照合することで、お店の存在を確かめましょう。

調べた所在地は住宅地のど真ん中でした、とか。そんな住所は存在しません、とか。そんなレベルの不正もあるものですよ。

 

《方法3》別店で同じ筆跡はないか

その手書き領収書は誰が書いたのか。当然、「お店の誰か」の筆跡であるはずです。が。違う誰かが偽造したのかもね、ということで疑ってみるのが「筆跡」になります。

手書きされた領収書を並べて見たら。別のお店の領収書なのに、ミョーに筆跡が似ているなぁ。というようなことから、常習的な領収書偽造が発覚することもあります。

これは市販の領収書に限りません。金額未記載のまま、お店の領収書をもらって。あとで好きな金額を自分で書いているという場合もあります。いわゆる「白紙領収書」と言われるものです。

この場合は、「金額の数字」の筆跡で見抜くことになります。

 

《方法4》筆跡のクセを見抜く

筆跡のハナシをしましたが。筆跡というのはなかなか隠せないものです。筆跡鑑定のプロでなくても。素人でもある程度、見抜くポイントというものがあります。

ひとつは、文字の「止め・ハネ・はらい」です。筆跡を変えて書こうとしても、ついつい出てしまうのが「止め・ハネ・はらい」のクセです。文字全体の筆跡ではなく、局所の筆跡に注目しましょう。

また、文字の略し方や崩し方にもクセは出てしまいます。たとえば、漢字の「糸偏(へん)」や「さんずい」などは略したり、崩したりして書く人がいます。筆跡チェックのポイントです。

税務調査でも、税務職員が社長に住所などを書かせたりして、何気なく筆跡の確認をするという手法があったりします。

ちなみに、利き手ではない手で書いたり、ヘンな持ち方で書いたりして筆跡を変える方法もありますが。ガタガタの字とか、読めないような字はかえって「アヤシイ見栄え」になりますので。

 

《方法5》加筆を見抜く

次は領収書の改ざん。加筆です。たとえば、「1」を「4」「7」「9」に変える。これは、「加筆あるある」です。「3」を「8」に変えることも・・・相当、ムリあるけど。

金額を大きくしたい場合には、アタマの数字をいじります。だから、アタマの数字が「4とか7とか9」のものは、加筆されていないかを疑ってみるわけです。

加筆を見破るには、まず「インクの色・質」。加筆が疑われる部分のインクに違和感はないか?まぁ、フツーはここで見抜けるほど甘くはありません。

次は、「文字の太さ」です。ペンの太さにもよりますが、筆圧によっても「文字の太さ」はだいぶ変わります。加筆部分とその他の部分の、文字の太さも見るべきポイントです。

さいごが極め付け、領収書を「裏から見る」。これは税務職員もよくやります。筆圧を見ているんですね。筆圧は「文字の太さ」のように表から見るより、裏から見ればとってもよくわかります。

 

《方法6》不自然・不相応な金額を見抜く

加筆をした場合、「但し書きの内容」と「金額」が不相応になる場合があります。たとえば、但し書きが「文具」で、金額が「70,000円」。10,000円を70,000円に改ざんしたような場合です。

例が極端でしたが、改ざんをする際に金額を欲張れば、こういうこともあり得ます。但し書きがある場合には、その内容について必ず意識をしておきましょう。

但し書きだけでなく、「お店」と「金額」の不相応ということもあります。街中の○○文具店で70,000円の領収書、但し書きはお品代。街中の文具店で70,000円?

このあたりの「違和感」を感じる能力は、改ざんする側にも見抜く側にも大切です。あぁ、改ざんはダメです。いけません。

 

《方法7》印紙の未貼付

金額の不自然ということで言えば。印紙の貼付(ちょうふ)を目安にする、という方法もあります。

たとえば、飲食やモノを買う時など。50,000円以上の領収書には「印紙」を貼ることになっています。50,000円以上なのに印紙がない、という場合には金額を改ざんしたから?と見るわけです。

もっとも、お店がほんとうに印紙を貼り忘れることもないわけでもなく。目安程度に使える方法です。

印紙について

  • クレジットカード払いの領収書には印紙は不要です
  • 消費税を、本体価格と区分表示している際には「50,000円以上」ではなく、「54,000円以上」が印紙対象になります

 

《方法8》SNSで暴く

多くの方がSNSでプライベートを晒す時代です。フェイスブック、ツイッター、インスタグラム・・・いろいろあります。

「得意先接待」として会社の経費精算に出された領収書について。領収書の同日同店とわかる「高級料亭○○で、友だちと大宴会なう」とか。はい、アウト~。

バカっぽいハナシですが。人間は酔っぱらうと何をするか分かりません。大宴会の次の日は、自らの昨晩のSNSにご注意を。

ではなくて。SNSから不正を暴く証拠をつかむこともできる、そういうハナシです。

 

《方法9》店名で暴く

さいごは、「店名」からいかがわし気な経費を暴く方法。いわゆる風俗がらみのお店の領収書は、表立ってそういう領収書にはなっていません。

なぜか多いのは「~産業」「~興業」「~観光」などの社名の領収書。それ自体はそういう会社もあるだろう、ということですが。それらの社名で、但し書きが「飲食代」。これがアヤシイ。

「~産業」の社名で「飲食代」って、なんか不自然だよね。ということです。ちなみにラブホテルなどでは「~商事」などの社名も多くなっています。

そういう領収書については、本人に詳細を追及です。あとは追い詰めるあなたの腕しだい、口しだい。

また、領収書の社名の会社が実在することもあれば、実在しないこともあります。アヤシイなと思ったら、このあたりもネット検索などでチェックをしてみるとよいでしょう。

ちなみに。風俗の領収書が経費になるかならないか、は別の議論です。接待など業務上どうしても必要だということであれば、経費ということもあり得ます。家計では・・・あぁ、言うまでもありませんね。

 

まとめ

不正領収書について、その見破り方をお話ししてきました。

このようなことから、明細がきちんと記載される「レシート」のほうが、領収書よりも証拠能力が高いとされることもあります。

会社の経費精算などでは、領収書だけでなく、レシート添付をルールにするのもひとつの方法です。チェックする側は、試行錯誤してみましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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