ガソリン代、自動車税、自動車保険料、ETC利用料… それぞれの勘定科目は?
ぜんぶ「車両費」をおすすめします。燃料費、租税公課、保険料、旅費交通費などに分けるのもひとつの方法ですが。ぜんぶ「車両費」がおすすめです!
ガソリン・自動車税・自動車保険・ETCの勘定科目はなに?
仕事(事業)でクルマをつかう際にかかる、ガソリン代、自動車税、自動車保険料、ETC利用など。
これらの費用を帳簿付け(経理)するにあたって、「勘定科目(かんじょうかもく)」をどうするか?
勘定科目とは、経理の世界における収入や経費などの「分類名」です。「交際費」とか、「旅費交通費」とか、「消耗品費」とかとか。耳にしたこともあるのではないでしょうか。
したがって、「さまざまな収入や費用の金額を、勘定科目ごとに集計する」のが、経理に課せられた使命のひとつである。とも言えます。
クルマをつかう際にかかった費用もこれにならい、「勘定科目」を使って分類することになるわけです。
で。
ガソリン・自動車税・自動車保険・ETCなどの勘定科目はどうするか? でしたよね。このあとお話をしていきます。
「車両費」の一択! 自動車に関わる費用はあえて分類しない
結論として。クルマをつかう際にかかるいろいろな費用の勘定科目は、「車両費」の一択です。
「車両費」ではなく、「車両関係費」「車両関連費」などでもかまいませんが、とにかく、ひとつの勘定科目にまとめる。これをおすすめします。
あえて細かく分類するとどうなるか?
クルマをつかう際にかかる費用の勘定科目は、「車両費」の一択だと言いました。
これに対して、クルマにかかる費用を、それぞれの内容にしたがってそれぞれの勘定科目に分類する。という方法もあります。それも「間違い」というわけではありません。
ひとまず一覧にしてみます↓
費用の内容 | 勘定科目の候補 |
ガソリン代、軽油代 | 燃料費または旅費交通費 |
自動車税、軽自動車税 | 租税公課 |
整備費用、車検費用、タイヤ交換 | 修繕費 |
自動車保険料 | 保険料 |
車内用品・アクセサリ | 消耗品費 |
ETC利用料 | 旅費交通費 |
時間貸し駐車場(コインパーキング)利用料 | 旅費交通費 |
月極め駐車場代 | 地代家賃 |
上記の一覧を見て。むしろ、細かく分類されていてよいのではないか、と思われるかもしれません。
けれども、その細かさがアダになり、大事なことを見落としてしまうことになります。
だから、上記の費用すべてを分類せず、「車両費」の勘定科目にまとめたほうがよい。その理由を次でお話しします。
その勘定科目は「意思決定」に役立つか?
「クルマをつかう」というのは、「おカネがかかる」ことです。
さきほど一覧表にまとめたとおり、クルマがあると実にさまざまな種類のおカネがかかります。その総額は決して小さなものではないでしょう。
そう考えると、「クルマをつかうか否か(購入して所有するか否か)」という、ひとつの意思決定が必要になることがあります。
ほんとうにクルマが必要なのか? 電車やバスでもよいのではないのか? そんなハナシです。
ところが、このとき勘定科目を細かく分類していると、「クルマをつかうのにどれだけのおカネがかかっているのか」を知ることが困難になります。
いっぽう、「車両費」だけであれば一目瞭然。いつでも、クルマにかかっている費用の金額を知ることができます。
つまり。勘定科目をどうするかを考えるときには、その分類で「意思決定」ができるのか? という視点が大切になります。
決算書や試算表の勘定科目と金額を眺め見るときに。「だからなに?」と言うようでは、意思決定に役立っているとは言えません。
【おまけ】クルマにかかる費用は目に見えないものもある
ところで。クルマをつかうための費用には、「目に見えないもの」もあります。クルマの管理コストです。
車検や保険の手配、駐車場の契約・更新、洗車や清掃、給油、ETCカードの管理などなど。いわゆる「人件費」的な管理コストも生じます。これもバカにはできません。
そういうことも踏まえると、電車・バスのみならず、タクシーを使ってもなお、クルマを持たない方が割安だ。というケースも少なくないでしょう。
また、いまどきはカーシェアリングも広がりを見せていますので、うまく利用できれば、クルマの利便性をそのままにコストダウンも可能です。
勘定科目には「自由」がある
クルマをつかうのにかかる費用について、さきほど一覧表を掲載しました。
同じように、いろいろな費用について勘定科目を分類した「勘定科目一覧表」と呼ばれるものが、ネットや書籍などで紹介されています。
経理に不慣れで勘定科目がわからない、というような場合。勘定科目の基本を知るにはたいへん重宝するものです。
ただし。
それらは「ひとつの正解」であって、「絶対的な正解」ではありません。
なぜなら、勘定科目にはあるていどの「自由」な部分というものが許されているからです。
その例が、先ほどの「車両費」。細かく勘定科目を分類をするのもいいけれど、ぜんぶ「車両費」だってかまわない。そういうことです。
勘定科目に自由が許されているとはいえ。なんでもいい、というわけではありません。たとえば、接待飲食代を「消耗品費」にする。電車代を「消耗品費」にする、などは自由ではなく「誤り」となりますので念のため。
たとえば、事務用品費。たとえば、旅費交通費。
勘定科目に許された「自由」の例を、もうすこし挙げておきましょう。
文具代などについて、一般的な勘定科目一覧表の分類で「事務用品費」とされていることがあります。また、備品類などは「消耗品費」とされています。
これを受けて、「プリンタのトナーは事務用品費だろうか、消耗品費だろうか?」と悩む…
やめましょう。悩むくらいなら「事務用品費」なんて勘定科目は使わなくてもOKです。文具も備品も「消耗品費」にまとめればいい。という自由があります。
また、電車代やバス代は一般的に「旅費交通費」とされています。ところが、電車・バス代には「通勤費」もあれば、「営業経費としての交通費」もあります。
もしも、営業の活動量を電車・バス代で測ろうという場合、通勤費も含めて「旅費交通費」にしてしまうと、それを測ることはできません。
であれば、「旅費交通費」の勘定科目は「通勤費」と「営業交通費」に分ける。というのもまた自由です。
まとめ 作業で終わらせず、意思決定に役立てる
ガソリン・自動車税・自動車保険・ETCの勘定科目はぜんぶ「車両費」、ということについてお話をしてきました。
ただただ勘定科目一覧にあてはめるような事務的・作業的な勘定科目の考え方だと、「意思決定」に使えないことがあります。
せっかく時間と手間をかけて経理をしているのに、もったいないことです。
勘定科目を考えるときには、「その分類が意思決定に役立つか?」という視点を持ちましょう。
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きょうの執筆後記
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