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【風の歌を聴け/村上春樹】 ほんとうに活かせる名言をみつけよう #5

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きょうの名言は、村上春樹さんの「風の歌を聴け」から。

古今東西、世の中はたくさんの名言であふれています。自分にとって「活かせる」名言、みつけてみませんか?

目次

文章を書く人におススメの名言

ブログをはじめて1か月半。毎日、文章を書いています。

それはまだ「習慣」とは言えず、「なんとか継続している」というのが本音。

ネタ探しの問題もありますが、文章を書くということはとてもたいへんなことだと実感しています。たいへんさは時につらさをともない、苦しいもの。

その一方で、ひとたび書きはじめることができれば「文章を書く」という行為は心地よくもあり、書き終えた後にはなにかしらの到達感をもたらすものでもあります。

村上春樹さんは、その作品の中で「文章を書くこと」についてしばしば触れられています。デビュー作である「風の歌を聴け」でも。

 僕にとって文章を書くのはひどく苦痛な作業である。一ヶ月かけて一行も書けないこともあれば、三日三晩書き続けた挙句それがみんな見当違いといったこともある。
 それにもかかわらず、文章を書くことは楽しい作業でもある。生きることの困難さに比べ、それに意味をつけるのは簡単だからだ。

もちろん、村上春樹さんのようなプロ作家の方と、ブログをはじめたばかりの自分とを同じ位置に見ることなどできません。

それでも、同じ「文章を書く」という点で多くの教訓を与えてくれるのが村上作品です。

上記、名言は次のように続きます。

 十代の頃だろうか。僕はその事実に気がついて一週間ばかり口もきけないほど驚いたことがある。少し気を利かしさえすれば世界は僕の意のままになり、あらゆる価値は転換し、時は流れを変える・・・そんな気がした。
 それが落とし穴だと気づいたのは、不幸なことにずっと後だった。

いまの自分の立場で読むと、かなりおそろしいことが書いてあると感じます。

いつも気をつけてはいるのですが、言う(書く)のは簡単です。でも、その言ったこと(書いたこと)ができるか、できているかどうか。

ただの批評家にはならないように、そう心がけて書いています。

それでもやっぱり、時には「調子のイイ」ことを書いていたり、言ってしまったりしているかもしれない。

とりもなおさず、それは自分の「つもり」でしかなかったことをあらわしています。

結局、「言うだけ」になっているということですね。その「戒め」として、上述の名言は強く心に残るところがあるのです。

村上春樹さんの作品を真剣に読み始めたのは大学生のとき。

「風の歌を聴け」「1973年のピンボール」「羊をめぐる冒険」「ダンス・ダンス・ダンス」は特にお気に入りで、それ以来なんど読み直したかわかりません。

読み直すまでいかなくても、テキトーな個所だけをパラパラっと読むこともあります。

なんでしょうね、気持ちの中の「すごく切ない部分」を突かれるようなところが好きなんです。

心が疲れているときなどに読むとよりいっそう深く感じることができたります。

語彙力に乏しくて、うまく言えませんが(汗)

内面にある弱さと共にいきる

ところで、「風の歌を聴け」でわたしが一番すきなシーンについて。「鼠」という名の親友が抱える「人の弱さ」を諭すシーンで、主人公の「僕」は言います。

「だけどね、人並み外れた強さを持ったやつなんて誰もいないんだ。みんな同じさ。何かを持っているやつはいつか失くすんじゃないかとビクついているし、何も持っていないやつは永遠に持てないんじゃないかと心配してる。みんな同じさ。だから早くそれに気づいた人間がほんの少しでも強くなろうって努力するべきなんだ。振りをするだけでもいい。そうだろ?強い人間なんてどこにも居やしない。強い振りのできる人間が居るだけさ。」

人はだれでも弱さを抱えています。

「いつも」ということではないにせよ、弱くなる時というのがあるものです。

そのとき、自分のいたらなさや境遇を嘆くばかりではダメなんだということでしょう。

上述の言葉でいえば「みんな同じ」。多少の程度のちがいがあるだけで。

それがフリだとしても、「少しでも強くなろうって努力する」という心持ちを「僕」は言います。

「鼠」は「僕」に尋ねます。

「ひとつ質問していいか?」
僕は肯いた。
「あんたは本当にそう信じてる?」
「ああ。」
鼠はしばらく黙り込んで、ビール・グラスをじっと眺めていた。
「嘘だと言ってくれないか?」
鼠は真剣にそう言った。

わたしの理解では、「僕」は100%の確信は持てずとも、ひとつの信念として「人の強さ」を訴えているように感じます。

「鼠」が持つ弱さを諭すための「強がり」でもあるのかもしれません。

「鼠」はそんな「僕」の思いをどこかで理解しつつも、人が持つ弱さを必要なものとしてあえて抱え込んでいくように思われるシーンです。

人が内面に持つ弱さに揺れ動く心理。

ともすると堕ちてしまうような瀬戸際の危うさを映す、このシーンでの「切なさ」はなんど読んでも心をギュッと締めつけられます。

弱さを抱えながらも、きょうを生きていかねばならないわたしたちに、あと一歩の勇気を問われているようで。

「文章を書くこと」についてからはじまった今回の名言。さいごも「文章」に関しての名言でおわることにします。

「風の歌を聴け」は冒頭、次のようにはじまります。

「完璧な文章などといったものは存在しない。完璧な絶望が存在しないようにね。」
 僕が大学生のころ偶然に知り合った作家は僕に向かってそう言った。

文章を書くこととは、これから先、自分になにをもたらすことになるのだろう・・・?それでもまた明日も、僕はブログを書こうとするのでしょう。

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  きょうの執筆後記
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昨日は基本的にオフ。
とりたてて遠出はしなかったので、スキマ時間でちょこちょこと仕事。
夕方からのランニングでは、はじめてのコースを走りました。
いつもよりもハイペースになってしまったのは、周囲にランナーの方が多くて。
たまには新しいコースも利用してみます。

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