コンピュータ技術の目覚ましい進歩。近い未来、税理士はいなくなるかもしれません。
以前、英国オクスフォード大学が認定したとされる「あと10年でなくなる仕事」が話題になりました。
「なくなる」とは、コンピュータによる自動化にとって代わられるということ。税理士の仕事もそこには含まれています。
もし税理士がいなくなったら「経理」はどうなるのか、どうすればよいのか?
そんな「税理士がいない世界」を想定しておくならば。あなたの経理の未来を考えるべきときは「いま」です。
これからの経理は自分でできる
コンピュータ化が進む。近い未来に税理士はいなくなるかもしれない。そのときに困ることがないように。
経理は自分でやりましょう!これまではできていなくても、これから考えるには「良いタイミング」です。
自分で経理をやるならばクラウドで
税理士がほんとうに「あと10年でなくなる」のかどうかはわかりません。ですが、コンピュータ技術の進歩は日々実感できるところです。
会計業界でも「自動化」をキーワードに、クラウドサービスがものすごい勢いで浸透を見せています。
いっぽうで。「経理の仕事が5年間で30万人分減った」というデータもあります。
経理の仕事は税理士との関わりも深いところですから、「あと10年」という話を「ただの大げさな話」として済ますことはできません。
これまでは、経理は税理士に任せているのであっても。
これから税理士がいなくなる、あるいは少なくなる。そんな世界で困ることがないように、経理は自分で身につけておきましょう。
ずばり、これから自分で経理を身につける際のポイントが、さきにも触れた「クラウドサービス」。
とくにフリーランスや小規模事業者にとっては、好機をもたらしているのがこの「クラウド」の流行です。
具体的にわからない方は、次のようにイメージしておいてください。
「会計のクラウドサービスとは、いままでの手作業の多くをコンピュータによる自動処理に置き換えることができるサービス」
クラウドで「時間とお金」の節約ができる
ここまでの話を整理します。
- 税理士がいなくなる(かもしれない)
- 経理は自分でやろう
- やるならば「クラウド」がいい
ここで、「なぜ、クラウドがいいのか?」についておはなしします。
クラウドが注目されているのは、「従来の経理における手作業の多くを、コンピュータによる自動化に置き換える」ことができる点です。
これにより経理は自動化、効率化。結果として時間が節約できます。
そして。時間が節約できる、時間が短くて済む、ということは「自分でもできる」という選択肢を可能にしています。
いままでの経理は手作業が多く、時間もかかる。だから税理士に任せておこうという考え方がありました。
ですが、「自分でもできる」という選択肢があるならば、税理士に任せないという考え方も出てきます。
そうであれば、税理士報酬というお金が節約できることにもつながります。
とくに、フリーランスや小規模法人には、「人手(時間)」や「お金」は不足しがち。
経理にかけていた「人手(時間)」や「お金」を他に使えることは、クラウドによるメリットといえます。
クラウドで経理をする際に注意すべきこと
それなら経理は自分でクラウドで、と決めるにしても。そのとき注意すべき2つのことについて触れておきます。
大事なのはクラウドそのものではなく、クラウドの考え方
コンピュータ化が進めば、「クラウドよりもスゴいサービスが出てくるのでは?」と思われるかもしれません。
もちろん、その通りです。
クラウド全盛のいまであっても、すべての人にとって「クラウド」が必ずしも最適解だとは言いません。それでも「クラウド」をおススメするのは。
「クラウドを採用すること」が重要なのではなく、「自動化・効率化」というクラウドの考え方を学ぶことが重要だからです。
「自動化・効率化」という考え方は、「手作業や二度手間をなくす」という発想にもとづくもの。これを学んで、身につけようということです。
「クラウド」自体は道具に過ぎず、採用したからといって、経理が勝手に「自動化・効率化」したりするようなことはありません。
実際、じゅうぶんに「自動化・効率化」させるためには、準備や工夫。それにちょっとしたコツも必要になります。
「クラウド」を通じてそれらのトレーニングを重ね、「自動化・効率化」の考え方を自分のものにできたなら。
10年先も20年先も。どんな道具を使うことになっても、その経理はいつもベストを目指すものになるはずです。
経理は自分で。それでもまだ税理士に頼むことはある
「もう経理はだいじょうぶ。だから税理士は要らない」なんて言わないでください。
もちろん、自分が税理士だからそんなことを言っているのではなく、ちゃんと理由はあります。
唐突ですが、税理士は「経理事務屋」さんではありません。「経理事務屋」は税理士業務の1つに過ぎません。
しかも、経理事務というのは税理士でなくてもできるもの。それとは別に、税理士にしかできない業務、税理士がやるべき業務というものもあります。
節税も含めた「税金計算」というのはその1つでしょう。
最近ではその税金計算にまでクラウドの波が押し寄せています。とはいえやはり、税法という法律はまだまだ複雑怪奇。
普段の経理は自分でやるのが良いにしても。そこから先の税金計算・申告手続については専門家である税理士に任せるのが安心です。
そして。
もっと大事な税理士の業務。それが「経理の結果を活かす」こと、お客さまと一緒になって活かすこと。
税理士は「税のプロ」であると同時に「数字のプロ」。数字の活かし方を知っています。
経理を作業で終わらせてはいけません。作業の結果を活かしてこその経理です。
数字(経理の結果)をただしく扱い、結果、安心できたり、ワクワクしたりすることができる。それが「数字を活かす」ということです。
「勘定(数字)を感情に変換する」ことが税理士本来の役割のひとつだと、わたしは考えています。
数字を見て、一時の「良かったね」「悪かったね」だけで終わることがないように。
まとめ
「税理士がいなくなる」というのは極端な予測なのかもしれません。ただ、冒頭のとおり、傾向は間違いなくあります。
だから多くの心ある税理士が、あらたな仕事にチャレンジをはじめています。多くの税理士がまもなく、経理事務屋を脱していくことでしょう。
それはお客さまにとっても、税理士にとっても良い機会と考えることもできます。
コンピュータ化・経理事務屋不在の世界で、これからの経理に必要なものは「自活力」です。
いままでのように、経理を税理士に任せてばかりではいられません。
クラウドという道具もそろいました。自活力を養うチャンスはいまです。
税理士がいなくなった場合の経理について、ぜひいちど考えてみましょう!
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きょうの執筆後記
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昨日は、とあるセミナーに参加。これから継続的なレッスンで取り組んでいきます。
あとから改めて気が付いたのですが、講師の「活力」に魅せられたことが、継続レッスンを決めたひとつの要因です。
自分も人に活力を魅せられるような存在になりたい、そう考えています。