いまどき経理で「会計ソフトの手入力スキル」の退化が止まらないw

会計ソフトの手入力スキル

借方・消耗品費の科目コードは852、貸方・現金の科目コードは111、と。カタカタカタ・・・

他に役立つことはないであろう科目コードなる呪文を覚え。会計ソフトのショートカットキーを巧みに操る。さながら魔法使いのようなその姿は「会計ソフトの手入力スキル」の象徴でした。

いまどき経理は変化を遂げ、手入力スキルは過去の遺物に・・・なるのでしょうか?

目次

会計ソフトは「あえて手入力しない」へ

クラウド会計の広がりとともに、「自動化」なる概念が経理の世界に広がっています。文字通り、手動から自動への変化です。

フリーランスの会計ソフト入力はどう変わったか

わたし自身フリーランス型税理士として、クラウドサービスで経理をしていますがどうしているか。「昔」のやり方と比べてみると、

 いま
現金払いの経費(領収書あり)手入力スマホアプリでカメラ撮影
現金払いの経費(電車・バス代)電車代などを調べたあと、手入力スマホアプリで登録(電車代などは自動計算)
クレジットカード・電子マネー払いの経費手入力取引明細を自動取込→内容確認(必要に応じて修正)
銀行口座取引手入力取引明細を自動取込→内容確認(必要に応じて修正)
売上請求・銀行口座入金手入力請求:請求書ソフトで請求書発行→会計ソフトに自動取込
入金:銀行口座取引から会計ソフトに自動取込

ということで、キーボードを使った「純粋な手入力」は激減しています。

「いま」のやり方に不便がないわけではない

「純粋な手入力」が減ったとはいえ。「いま」のやり方が、手放しでラクかと言われれば。そうではない部分もあります。たとえば、

  • 銀行口座取引の「自動取込」といっても、内容に間違いがないか確認は必要
  • スマホアプリでの領収書撮影は読取精度が完全ではない(手直しが必要なことも)
  • スマホアプリでの登録よりも、キーボード入力の方が速いのでは? など

それでも「いま」のやり方にチャレンジする理由

「いま」のやり方に不便があるにもかかわらず、あえて「いま」のやり方にこだわるようにしています。

目先のスピードだけ考えたら、キーボードで手入力した方が速いだろう。ということはあります。業界18年間で培った「会計ソフトの手入力スキル」というのはダテじゃありません。えっへん!

ところが。そんなスキルは今後いっさい誇ることはできない時代がくるかもね、と予感させるのがクラウドです。

昨日までできなかったことが、きょうはできている。クラウドはそういうスピードで進化しています。だったら、手入力スキルを磨いている場合ではありません。

退化させてでも新しいスキルのほうを取らなければ。新しいスキル、それが「ITを扱うスキル」です。

クラウド会計うんぬんという狭い話ではなく。「ITを扱うスキル」が必要だ、という世の中の流れはもう止まらないだろう。それがわたしの見立てです。

そんな世の中に遅れを取らないように。目先のスピードを捨ててでも、多少の不便を取ってでも、「いま」のやり方にこだわる選択をしています。

 

そして、経理弱者の経理を変える。

「いま」のやり方にチャレンジする理由がもうひとつあります。

経理弱者の経理を変えたい、という思いです。

税理士が得た恩恵、お客さまが被った損

ところで。長らく経理には「専門性」という壁が存在していました。

おかげさまで多くの税理士が「記帳代行」「経理の丸投げ」を仕事にしてくることができました。そしていまもまだ、その恩恵を受けていると言えます。

その恩恵の陰に、税理士に仕事を依頼した側、つまりお客さまには「経理弱者の損」があっただろう。わたしはそう考えています。

経理弱者の2つの損

そんな「経理弱者の損」には、次の2つがあります。

  • 税理士本来の専門家サービスを受ける機会を減らした
  • 経理を身につける機会を失った

税理士がお客さまの「記帳や経理の代行」をすることで、「結果的に」税理士本来の専門家サービスのウェイトを落としました。

税理士本来の専門家サービスってなんだ?というハナシは、別な議論が必要なので省きますが。「記帳や経理の代行」が税理士本来の専門家サービスでないことはたしかです。

そもそも経理は、税理士でなければできないほどの高い専門性はありません。にもかかわらず、そこに「税理士報酬の大部分が充てられる」のはひとつの損だと考えています。

また、経理は会社・事業者にとっての大事な機能。会社自身、事業者自身が身につけて一層活きる機能です。それを、「記帳や経理の代行」というカタチで外注すること自体がもうひとつの損。

だから、「手入力スキル」という武器を捨てる。

クラウドはじめITが、経理が持っていた専門性の壁を壊そうとしています。誰にでもできる、カンタンにできる。そういうコンセプトでどんどん「経理」のイメージを塗り替えています。

あたらしい経理の世界が広がりはじめています。

そんないま、経理弱者の過去を省みて。わたし自身にできることは、「会計ソフトの手入力スキル」を捨てることです。いにしえの武器は、あたらしい経理の世界ではジャマになるだけ。

「ITを扱うスキル」というあたらしい武器を持って、あたらしい経理の世界をもっと広げること。それがいまを生きる税理士の「ひとつの役割」だと、考えています。

 

まとめ

いまどきの経理について、「会計ソフトの手入力スキル」という点からお話をしてきました。

経理の世界は確実に変化しています。会社・事業者は変化するチャンスです。経理を変えるチャンスです。

単なる作業から解放された経理。数字を活かして仕事がもっとうまくいく経理。そんなあるべき経理の姿を願って、変化への一歩にチャレンジを!

わたしは、その変化を支援できる税理士として、あたらしい武器の研鑽につとめます!あたらしい経理の世界でお会いしましょう。

 

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  きょうの執筆後記
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ほんとうは「あたらしい経理」の姿を具体的に紹介するつもりだったのですが・・・
前段のハナシとして、なぜ「あたらしい経理」なのかでエキサイトしてしまいました。場をあらためます。

会計ソフトの手入力スキル

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