会計とか経理の本ってさ、なんかおカタくて。さいごまで読むのタイヘンなんだよね。
というあなたの既成概念をくつがえす。楽しくてドンドン読める会計・経理の本、あります!
税理士のわたしがオススメするベスト3を紹介です。
会計・経理の本だって楽しく読める
会計・経理に関する本は山ほどあります。どれを選べばよいものやら・・・と悩むほど。悩んだ挙句に手にした本も。いざ読み始めたら、難しすぎて途中で挫折。
そもそも専門分野ですからね、難しさはあるものです。それでも、読者を途中で飽きさせず、最後まで魅せてくれる本を読みたいものです。
難易度が高いから読みにくいわけでもないし、難易度が低いから読みやすいわけでもありません。楽しく読めるかどうかは、難易度とは別の次元のお話です。
税理士という仕事上、ということもありますが。これまで多くの会計・経理の本に目を通してきたわたしが選ぶ、一読の価値ある3冊。ほんとうは教えたくないくらい、本気でオススメです。
《 第3位・初級 》なぜ彼女が帳簿の右に売上と書いたら世界が変わったのか?
乃木坂46?衛藤美彩?
う~ん、タイトルがオ・シャ・レ。おまけに、乃木坂46の衛藤美彩さんを本の帯に起用。「見た目」から会計・経理本のイメージを払拭してきます。
でも、ごめん。41歳のオジサン税理士には、「乃木坂」も「衛藤美彩」もよく分からんのです。「えとうみさ」って読むんだ、そうなんだ。でもいいや、若くてカワイイ女の子というだけでインパクト十分!
ともすれば会計・経理なんて、マニアックでどんよりするような世界のイメージ。この本のようなインパクトは、「いいぞ、どんどんやれ!」って感じで大好物です。
SF仕立てのエンターテインメント・ビジネスノベル
さて、肝心の内容ですが。難易度は初級レベル、初心者向けです。簿記?仕訳?さっぱりわからない。そんな方でも大丈夫、そういうレベル感です。
簿記資格を持っている現実世界の衛藤美彩さんが、「複式簿記がない世界」であるパラレルワールドの美彩と重なり合うという。なんともチャレンジングな設定です。
本文は「戯曲」形式。個性ある役者たちのセリフによってテンポよく読み進めることができます。
仕訳の基本からクリーン・サープラスまで
パラレルワールドは2016年にして、いまだ明治・大正のような生活様式が広がる世界。人口の1%の貴族が幅をきかせて、庶民は質素な生活を強いられています。
そこに、現実世界から美彩が持ち込んだ複式簿記をきっかけに。株式会社制度、株式市場、資本主義経済の発展と、目まぐるしい変化を生み出していきます。
仕訳とは何かにはじまり。なぜ、世界に簿記が必要であったのかという原点を知ることができます。「クリーン・サープラス」など会計の奥深い世界にも踏み込みます。
「複式の女神」とされ、美彩が幸せに成長を遂げる前半から。混沌に沈むドロドロの後半戦まで。多少難しいところがあっても、ストーリーの勢いでさいごまで読ませてくれることでしょう。
読み終わってみたら、けっこういろいろ勉強できていたかも。そういう本です。
《 学べること 》
- 仕訳の基本
- 簿記のしくみ
- 売上原価、期間損益計算、減価償却など会計特有の考え方
- ディスクロージャー、クリーン・サープラスの意義
- 粉飾決算のからくり など
《 第2位・中級 》会計天国
会計と天国という、異例の「掛け合わせ」が秀逸
会計天国?なんだそれ?というタイトルがそそります。見た目からわかるとおりの小説仕立て。そそられる反面、こういう本はなかなか目利きがムズカシイんです。
読んでみたら、「残念っ!タイトル負けしてる」ということも少なくありません。たとえば、・・・いやいや、やめておこう。
とはいえ、タイトルは重要ですよね。読んでみようかなと思わせることができるか、手に取ってもらえるかに大きな関りをもつのがタイトルです。
今度こそ最後まで読める、会社で使える会計ノウハウ
ということで小説仕立てです。主人公は冒頭、娘の結婚式目前で自動車事故を起こし重体に。そこへ天使が現れ「1週間後に、お亡くなりになります」というどこかでみたような展開です。
そして天使から与えられる現世への復活チャンス。いまから人生を踏み外しそうな5人を、「幸せ」に導くことができたら現世に復活!会計士資格を持つコンサルタントの主人公・北条のチャレンジがはじまります。
ビジネスに悩む5人に対し、北条はさまざまな切り口で「幸せ」への扉開きを試みます。果たして北条は現世に戻ることができるのか、って気になって。一気に読み進めたくなる本です。
多少知識がないと、理解はちょっと難しい
文中のストーリーにチカラを取られる分、どうしても「説明」に割くチカラは小さくなります。ゆえに知識がない場合、おそらく難解・意味不明な箇所がいくつか出てくるものと思われます。
いっぽうで、多少知識を身につけた人が「実戦」での活かし方を学ぶなら。とても適した本である、ということが言えます。知識は活かしてこそ。
また、主人公がコンサルタントということもあり、「ビジネス思考」が随所にちりばめられています。数字ばかりの頭でっかちというカンジではなく。
物語を通して、主人公を通して、広い視野と発想で物事をとらえる思考をトレースできます。「良い上司とは?」というようなテーマなど、身近で実践的な話にも及びます。
笑いあり、涙あり、学びあり。人生にまで活きる「会計・経理の可能性」を教えてくれるおすすめ本です。
《 学べること 》
- 決算書の読み方
- 損益分岐点の活かし方
- 粉飾決算と会社の再生
- サラリーマンが知るべき管理会計
- 事業戦略の考え方 など
《 第1位・上級 》ほんとうにわかる管理会計&戦略会計
わが税理士人生、会計分野の座右の書
栄えある第1位。この本を買ったのは発売当初の2004年。かれこれ10年以上も前の本。何回読んだかわからない、それくらいお気に入りの本です。
フツーの実務書・専門書しか読んだことのなかったわたしには「衝撃的」な1冊でした。「フツー」というのは、小難しくてすぐに眠たくなってしまうような、しごく常識的な御本のことです。
でもこの本は違いますよ、奥さん。600ページを超える大容量にもかかわらず、わたしをそのゴールまで一気にいざないました。あぁ、奥さんは関係ないです。
なんというわかりやすさ
ジャンルとしては実務書・専門書、ということになるのでしょう。おおよそ手にしたくなくなる分厚さと、タイトルのカタさに比して。その内容のわかりやすさたるや。
全3部、28章構成の大長編にもかかわらず読みやすいことこのうえなし。随所に小説仕立てを織り込みながら、そこに丁寧な解説を加えていくカタチで話は進みます。
公認会計士のセンセーが書いたとは思えない、ウィットに富んだ文章がわたしにはハマりました。
決して易しくはない、むしろ難しい
内容の難易度は、はっきり言って「難しい」です。かなりレベルが高いところまで踏み込みます。タイトルも「管理会計&戦略会計」ですからね。
丁寧な解説でわかりやすくはありますが、初学や入門といった人向きではないでしょう。簿記が少しわかる、決算書などにも少し理解がある。そのくらいのレベルであった方が活きる本です。
わたしのように税理士、税理士事務所職員でも十分すぎるほど勉強できます。著者ご自身がおっしゃっていますが、Howだけでなく、Whyを追求した本。
実務書・専門書の多くはHowに偏ります。Whyを示すのは、専門家の役割であることを実感させられます。「難しいことをわかりやすく伝える」とはこういうことだったのか、と気が付きます。
いままで見たこともないような、壮大な会計・経理の世界を旅してみたいなら。勇気を出して、この本に手を伸ばしてみてください!
《 学べること 》
- 管理会計全般
- 原価計算
- 損益分岐点分析
- 戦略会計全般 など
まとめ
内容ぎっしりで専門性の高い会計・経理の本ならいくらでもあります。ですが、誰にでも読める、楽しく読める会計・経理の本は多くないのです。
「なんでだろう」という人の好奇心を外に追いやり、一方的に知識を押し付けてくる本はやはりつらい。
そんなつらい思いをせずとも学べる本を選んでみました。興味のある方はぜひ、読んでみてください。どれもほんとうにおすすめです!
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きょうの執筆後記
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好き放題書いてきましたが。ブログもまた本と同じです。人の批判はカンタンですが、自分自身となるとカンタンではありません。
良い本を知り、わたし自身も良い文章を書けるよう。精進して、書き続けます。