おカネが足りなくなったときには、銀行から借りればダイジョーブ!
それ間違いです。その「ダイジョーブ」は間違っています。
開業したばかりの経営者、「なりたて経営者」が間違えてしまいがちな、5つの「間違いダイジョーブ」についてお話しします。
気付いてからでは遅すぎる「5つの間違いダイジョーブ」
うまくいく未来を信じて疑わない、夢と希望に満ちた開業当初。夢と希望はもちろんOK。けれども。「必要以上の楽観」がもたらす、「間違いダイジョーブ」はいけません。あなたはダイジョーブ?
いますぐセルフチェック!
では早速、「間違いダイジョーブ」は次の5つです。いくつのダイジョーブにうなづいてしまうのか?
答えは聞きませんから。正直に、こっそりと。セルフチェックしちゃってください。
- 事業は「(当初の)計画通りに進む」のでダイジョーブ
- 事業は「少ない費用で立ち上がる」のでダイジョーブ
- おカネが必要になれば、「おカネは借りられる」のでダイジョーブ
- 「安くしても売れればやっていける」のでダイジョーブ
- 「経理はまとめてやる」のでダイジョーブ
自分の答えを疑え
うん、ダイジョーブだなんて思ってないよオレ。そう思ったあなたが、実はいちばん危なかったりして。もう一度、ようく思い返してみましょう。
「思っている(だけ)」「分かっている(だけ)」と、実際の行動とは別モノです。わかっちゃいるけどやめられない、そんなことがザラな毎日です。
セルフチェックは、「理解」ではなく、「行動」でチェックしてください。結果的に、ダイジョーブだという行動になっていないかをチェックです。
さぁ、今度はどうですか? 「ヤバい、実はワタシやっちゃってるわ」と気づいたあなたはGoodです! これからいっしょに、詳しく見ていきましょう。
事業は「(当初の)計画通りに進む」のでダイジョーブ
ひとつ目の「間違いダイジョーブ」です。物事は「計画通りに進む、うまくいく」ものだという勘違いです。
計画は現実を超える
開業される多くの人が、何らかのカタチで「計画」を作成していることと思います。
ところが。まず十中八九、「計画」は現実を超えます。現実を上回ります。端的に言えば、「計画が甘い」ということです。夢と希望を描いた計画は、わかっていても甘くなるもの。
とはいえ。計画が甘いからといって、そこで落ち込む必要はありません。なにしろ「実績」がないのですから、計画の精度が悪いのは「いたしかたないこと」だとも言えます。
計画は「目安」とみる
だったら計画は作ってもしゃーないね、というのは困ります。予測不能な、道なき道とも言える明日を進むためには、よりどころとしての「目安」が必要です。
甘かったかもしれない計画でも、現実とのズレを確認しながら、軌道修正をすることが大切になります。計画を「目安」として機能させるのです。たとえば、
- 利益がマイナスにズレてしまったなぁ
- 計画では売上を早くから見込みすぎたからだ…
- 予定していた人の採用は、もう少し待つことで利益を穴埋めしてみるか
というような動きが大切。計画を目安として機能させた好例です。
「目安」を知らないから後悔する
当初の計画を過信して。予定通り人を採用した場合には、給料という「固定費」を背負うことになります。固定費は容易にコストカットができない費用。
おカネが厳しいからといって、お給料の支払いを待ってもらうわけにはいきません。後悔先に立たず。
ゆえに。
計画は立てること。計画通りに進むことはないと考え、現実とのズレを確認することです。
事業は「少ない費用で立ち上がる」のでダイジョーブ
ふたつ目の「間違いダイジョーブ」です。事業は「少ない費用で立ち上がる」ものだという勘違いです。
経費は少なめ、売上は多めな計画書
開業時の計画書を拝見すると。経費がずいぶん少ないね、という計画が散見されます。
経費は少ないのに、売上のほうは少なくないんだよなぁ(売上はドンドン伸びる!)、というものだと心配になってしまいます。売上が計画通りいかなかったらどうするんでしょう?
カツカツの経費計画であれば、そこに削る余地はありません。それに合わせたおカネしか用意していなかったのであれば、当然おカネは足りなくなります。
経費に「想像力」はあるか
じゃあ、経費はテキトーに膨らませておきますか。というのも違います。そうではなく。そもそも、経費計画の「根拠」がおかしいんじゃないの?ということです。
売上を立ち上げていくためには、集中的な営業活動も必要でしょう。営業費用、広告費用もかかるでしょう。
経費少なめの計画書には、そのあたりの「想像力」「リアリティ」に欠けるものが少なくない。そういうことです。
「バッファ(緩衝材)」をもつ
想像力やリアリティも含め、「経費は多め」が計画の鉄則です。もちろん本意ではありませんが、売上の立ち上がりが振るわないときには「多めの経費」がバッファとして機能します。
実際の経費は計画ほど使わなければ、結果的に、売上のマイナス分を緩衝する役割を果たすわけです。前述した、軌道修正の選択肢としても使えることでしょう。
また、「経費多め」にはもうひとつ効用があります。ある程度の余裕をもった資金準備ができることです。「経費が多め」であれば、それだけおカネが必要になります。
開業時に計画に合わせて、じゅうぶんにおカネを調達しておくことが。その後の計画のズレ(下振れ)を乗り切る秘訣です。おカネが、立ち上がりまでの時間を稼いでくれます。
おカネが必要になれば、「おカネは借りられる」のでダイジョーブ
3つ目の「間違いダイジョーブ」です。「おカネは借りられる」ものだという勘違いです。
「借金=悪」の既成概念を外せ
極力自己資金のみで開業しようという経営者も多いもの。無用な借金なんてするもんじゃない、ということなのでしょう。
「無用なら」そのとおりですが、事業をはじめる以上。「借金=無用」「借金=悪」の規制観念は外してみなくてはいけません。
しつこいようですが、計画はズレるもの。下振れしたときどうしますか?そのときになって借りればいいや、というのはいささか虫が良すぎます。
貸してくれる銀行、貸してくれるようお願いするあなた
おカネを貸す側のことを想像してみましょう。おカネがないんで貸してください、って言われたらどうですか?
フツーは貸さないですよね。だいじょうぶかよコイツに貸して、って思いますよね。それがフツーです。返すアテがしっかりしていなければ貸せません。あるいは特別な関係か・・・?
当然、銀行と特別な関係なんてありませんし。おカネが無くなってしまった実績ばかりで、返すアテにも乏しい状態。
そんな状態で貸してくれと言っても、そうそう貸してくれないであろうことを十分に想定しておく必要があります。
創業融資は受ける、の一択
結論。開業時には「創業融資」を受けること。実績もなく、計画ひとつでおカネを貸してくれるチャンスが「創業融資」です。
自分のおカネは、いざというときのためにも確保しておかなくてはいけません。誤解を恐れずに言いますが、
できるだけのおカネを借りておくことです。
あなたがとんでもなくお金持ちで。家には唸るほどのおカネがあるんだ、と言われるのなら別ですが。そうでなければ、チャンスは利用しておくことです。
借金自体が気になるかもしれませんが、使わなければいつでも返せるおカネだと思えば。実質的には借金ではありません。それよりも、計画のズレにおカネで備えることが重要です。
「目安」となる計画をしっかり立てて、しっかりおカネを調達しておく。それが開業時の大事なポイントになります。
「安くしても売れればやっていける」のでダイジョーブ
4つ目の「間違いダイジョーブ」です。「安くしても売れればやっていける」ものだという勘違いです。
安さ爆発で貧乏爆発
「安さ爆発」なんてウリ文句のCMもありましたが。そんなことで商売が成り立つのは「大資本」「大企業」のハナシです。
ヒトもおカネも時間も、資源に乏しい中小零細企業・個人事業主が「安さ」で勝負することはできません。してはいけません。薄利多売は、豊富な資源のもとに成り立つ戦略です。
限りある資源で実行する「安さ勝負」が行き着く先は、繁盛貧乏。貧乏暇なし。働けど働けどなおわが暮らし楽にならざり、の世界です。
「値決め」が決め手
そんな貧乏を見ないためにどうするか。「値決め」を誤らないことです。
売上にこだわるあまり、売ることにこだわるあまり。ワケもなく値段を下げてしまうのは、大きな誤りです。「仮に」売れたとしても、待っているのは暇なし貧乏。
わかっていながらも、追い込まれるとついついやりがりな勘違いでもあります。そんなときこそ、いちど立ち止まって考えてみなければいけないのが「値決め」です。
必要なのは「売上」ではありません。「利益」です。必要な「利益」をあげるための売上を。値決めを考えましょう。
「値決め」を決める「ウリ」
値決めをする際に考えるべきは「ウリ」です。あなたの商品・サービスの「ウリ」とは何か。いわゆる差別化、ということでもあります。
競合とのちがい?なんだろうねー。無いかなぁ。じゃ、値段を少し安くしとこっか。というのはただの「安売り」であり、差別化ではありません。
ほんとうにただの「安さ勝負」ならば。他にもっと安い競合が現れれば、すぐにお客は他に流れていきます。価格で差別化なんてできないのです。
自社の商品・サービスの「ウリ」は何か。この「ウリ」があるから、この値段なんだ。という値決めを考えてみましょう。それこそが「売り込み」です。
「経理はまとめてやる」のでダイジョーブ
5つ目の「間違いダイジョーブ」です。「経理はまとめてやる」ものだという勘違いです。
売上至上主義
経理(帳簿づけ)なんて、決算でまとめてやればいいんだ。なんてことにはなっていませんか?
いいんだよ、数字はだいたいわかっているんだから。とあなたは言うのかもしれません。その数字ってなんのことです?
返ってくるのは、ほぼ間違いなく「売上」のハナシです。ふーん。
では、粗利益はいくら?粗利益率が1%変わったときに、最終利益はいくら変わるんですか? 再三ですが、大事なのは売上じゃない、利益です。
確かな利益を知るために経理する
売上だけを知ろうというのであれば、それほどタイヘンなことはありません。だから、多くの人が売上ばかりをみたがるのかもしれませんが。
これからは「利益」を先に見ることにしましょう。ところが、「利益」を知ろうと思うと一筋縄ではいきません。さすがに経理が必要です。
じゃあ、決算のときにやるわ。と言われたのでは、これまでのわたしの話は水泡に帰します。
計画とのズレを知るのは、今でしょ
決算のときでは遅すぎるんです。計画はズレるものなのですから、そのズレをできるだけ早くつかんで、できるだけ速く軌道修正することです。
時間が遅くなればなるほどズレは広がります。手遅れになります。だから、ズレをつかむ「最低頻度」が「毎月」です。いわゆる月次決算。
月次決算の手段は多様化しています。税理士に丸投げするもよし、自分でやるもよし。ITの進化で、自分でやる敷居も相当に下がっています。
手段はなんだっていいのですから。
月次決算をしましょう。利益を知りましょう。ズレを知り、軌道修正に動きましょう。
まとめ
「5つの間違いダイジョーブ」を見てきました。
なりたて経営者を対象に書いてみましたが。「なりたて」でなくとも、当然に大切なことばかりです。
セルフチェックとして、折を見て、活用してみましょう。
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きょうの執筆後記
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