仕事にやりがいを感じなくなった・・・
給料が安い・・・
上司との折り合いが悪い・・・
などなど。人が会社を辞めるのには、当然、理由があります。裏を返すと、それは会社から人が辞めていく原因でもあります。
人が会社を辞める3つの理由、会社から人が辞めていく3つの原因について、お話をしていきます。
人が会社を辞める3つの理由
2016年3月末、わたしは勤め人を辞めました。「退職」はそのときがはじめてではなく、3度目でした。
そんな3度目の退職を経ての独立開業。あれから、ちょうど1年です。
キーワードは「未来、危害、貢献」
3度も会社を辞めてしまったわたしは、ちょっとした「退職のベテラン」とも言えるような気がします。
ベテランであることは自慢にはならないけれど。顧みると、人が会社を辞めるには大きく3つの理由があると考えています。
- あたらしい「未来」を手に入れるため
- 身におよぶ「危害」をしりぞけるため、あるいは逃げるため
- 会社に「貢献」できない自分が身を引くため
それぞれの理由について、少し具体例を出しておきましょう。
あたらしい「未来」を手に入れるため
- もっとやりがいのある仕事をしたい
- もっといろいろな能力を身につけたい
- もっと大きな経験を積みたい
- もっと自分にあった仕事を見つけたい
などなど。「未来」になにかしらの答えを求めて、会社を辞めていく。わたしの1度目の退職理由がコレでした。
大学卒業後、6年半お世話になった事務所でしたが。税理士資格を取得したところで、どうしても「あたらしい」を見てみたくなったんですね。若さゆえ、というやつでしょうか。
あたらしい「未来」を手に入れるため、というのは、ある種前向きな退職理由だと言えます。
身におよぶ「危害」をしりぞけるため、あるいは逃げるため
- 残業や休日出勤が多過ぎる
- 給料が安すぎる
- 上司との折り合いが悪い
- 理不尽な仕事をさせられる
などなど。心身の調子を崩すなど、自分の身に「危害」がおよぶことから避けるために会社を辞めていく。わたしの2度目の退職理由がコレです。
上記の例で言うと、「残業や休日出勤が多過ぎる」に当てはまります。
誤解のないように言っておきますが、勤め先がいわゆる「ブラック」だったということではありません。わたしにとっては、身を害するレベルだったということです。
「危害」と感じるかどうかのレベルは人それぞれなのです。それはそれとして、後ろ向きな退職理由だと言わざるを得ません。
会社に「貢献」できない自分が身を引くため
- 自分の役割を果たせない
- お客さまからクレームばかりでツラい
- 上司にいつも怒られてばかりいて気が滅入る
- 同期・同僚に比べて、遅れをとっている
- 平等に評価されていると感じられない
などなど。会社に「貢献」できていない自分が身を引くために辞めていく。わたしの3度目の退職理由のひとつがコレでした。
上記の例で言うと、「自分の役割を果たせない」に当てはまります。当時頂いていた管理職の役割でしたが、自分では適性がなかったと思っています。
ヒトに任せるのが苦手な性分で、誰かに頼むくらいなら自分でやる方がラク。それが日を追うごとにエスカレート、カラダの調子も崩してしまいました。
つまり、先ほどの「危害」との複合的な理由での退職だということです。
良くも悪くも「5分5分」の関係
人が会社を辞める3つの理由をお話してきました。あースッキリした。という、ハナシではもちろんありません。本題はここからです。
これまでお話してきた「人が会社を辞める」は、会社側から見ると、辞める人の問題として片づけられることが少なくありません。
端的に言うのであれば、「辞めたアイツが悪い」ということ。ほんとうにそうなのか? ほんとうにそうなのですか?
ということで、ひとつ言いたいことがあります。それは、勤めている人もその会社も「5分5分」だということ。
人と会社とはいつもイーブンだ、ということです。力関係も、権利も、義務も。
そう考えると。人が会社を辞める理由があるならば。辞めたアイツだけでなく、辞めさせた会社というハナシもあるはずです。
人が会社を辞める3つの理由のウラには、会社から人が辞めていく3つの原因もあるのではないか? というのがここからのお話です。
会社から人が辞めていく3つの原因
これまで見てきた、人が会社を辞める3つの理由「未来、危害、貢献」についてを逆から見てみます。
キーワードは「魅力、管理、育成」
人が会社を辞める3つの理由と、会社が人を辞めさせる3つの理由とは次のような繋がりだと考えています。
人が会社を辞める理由 | 会社から人が辞めていく原因 | |
未来 | ⇔ | 会社としての「魅力」が足りない |
危害 | ⇔ | 会社としての「管理」が足りない |
貢献 | ⇔ | 会社としての「育成」が足りない |
それぞれの繋がりについて、少し補足します。
未来 ⇔ 会社としての「魅力」が足りない
もっとあたらしい「未来」を求めるという退職理由は。一見、辞める人個人の問題であるようにも見えます。
けれど、その「辞める人」も。一度は、その会社に「未来」を見出して入社したのです。
その人が辞めていくというのは、会社に未来を感じることができなくなったから。未来を見せてくれるだけの「魅力」が無くなったからだ、とも言えます。
会社は理念や戦略、目標といったもので未来を魅せるもの。その未来は、魅力に溢れているか? 退職者はそう問うているのかもしれません。
危害 ⇔ 会社としての「管理」が足りない
自分の身に「危害」がおよぶことから避けるためという退職理由については、危害となった理由を追及しなければいけません。
たとえば、残業や休日出勤をほんとうに管理できているか? ほんとうに管理するとは、「早く帰れ」と命令・指示することではありません。実際に、早く帰すことです。
もちろんその結果、自宅に仕事を持ち帰る。なんてことがあってもいけない。そこまで管理できているかどうか。
人事評価・給与体系にしても、上司と部下の関係を示す組織図にしても。「机上の理想」と「現場の現実」とのズレは少なくないものです。
それについて「しかたない」「そういうこともある」という会社の姿勢や言動はないだろうか? 退職者はそこに、嫌気したのかもしれません。
貢献 ⇔ 会社としての「育成」が足りない
「貢献」できていない自分が身を引くためという退職理由については、会社側の誤解がずいぶんと多いように感じます。
たしかに、辞めていく人個人の努力や能力に問題はあったかもしれませんが。
それでも、ほんとうに育てようとしたか? 途中で見限ることはなかったか? その点については会社も、徹底的に自問すべきでしょう。
お客さまからのクレームが多いことを、当人だけのせいにはしていないか。叱り方を誤ってはいないか、というのは基本的なこととして。もっと奥深いこともあります。
人は「相対的な基準」だけで、自分を評価しているわけではありません。誰もが仕事ができると認める社員が、「貢献」できないと感じて辞めることだってあるのです。
「貢献」のカタチは人それぞれ。社員ひとりひとりにとっての「貢献」とは何かに気づき、理解して。それを会社が一緒になって伸ばすことが「育成」なのではないか。
通りいっぺんの研修制度や教育カリキュラムが充実していることと、「育成」の充実とはイコールではない。そういう話です。
綺麗事からしか始まらない、退職は止まらない
人が会社を辞める3つの理由、会社から人が辞めていく3つの原因について、お話をしてきました。
人が会社を辞めること、退職するということは、決して「負の側面」ばかりではないはずですが。
どうも世の中には「負の退職」が多いように感じたわけで、ふとこのような記事を書いてみました。
ところで記事中、こんなことを書きました。
人と会社とはいつもイーブンだ。5分5分だ、と。
これを見て、「そんなことはないだろう」「それは綺麗事だろう」と思われたかもしれません。その通りです。
雇う側である会社が、その権利を振りかざすこともあれば。雇われる側である人が、その権利を強く主張する場面もある。それが現実です。
お互いが自らを正当化して、相手を非難するのが、現場のよくある光景だと言えるでしょう。
だからこそ。綺麗事から始めるしかないのです。
人も会社も、相手を責めるばかりでは何も変わりません。なにもかもが「お互いさま」であり、翻って自分はどうなのか?
そんな「イーブン」から、負の退職は減っていくのではないか。そうあって欲しい。ただただ、そのように考えています。
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きょうの執筆後記
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