”おカネもない、ヒトもいない、モノもない。無い無い尽くしの小さなシゴトはどうしたら・・・?”
そんな悩みににヒントをくれる1冊「小さくても勝てます(著・さかはらあつし さん)」を紹介します。
大きいだけが強さじゃない、でしょ?
きょう紹介する本はこちら ↓
『小さくても勝てます』 著・さかはらあつし さん
タイトルがイイですねぇ。
わたし自身、フリーランスであり「小さい」ですし。とくに、小規模零細な事業を応援する仕事をしている身としては、もう「タイトル買い」です。
で。タイトルだけではなく、中身もよかったよ! ということでご紹介です。
著者は、経営コンサルタントのさかはらあつしさん。さかはらさんは、経営コンサルタントという肩書のほかにも、作家と映画監督を挙げています。
そんな著者の化身とも言える「映画監督(昔は経営コンサルタント)・立三さん」と、新宿に実在する「理容室・ザンギリ」の物語。
たまたま客として訪れた立三さんが、閑古鳥鳴くザンギリの2代目である「オレ」のメンター(仕事や人生の指導者)となり、行列のできる理容室へと変わるまでの姿が描かれています。
あとがきによれば、フィクションではありながらも「その奇跡ともいえる成功もまた事実である」とのこと。
作中の「オレ」と似たような状況にある人には、興味が持てるおすすめの1冊と言えるでしょう。ちなみに、わたしが考える本書がおすすめの人とは、
- 小さな仕事・ビジネス(フリーランス、個人事業、小規模零細な会社)をしている
- 事業がうまくいっていない、と感じている
- おカネがない、ヒト(社員)がいない、モノ(設備)がない、と悩んでいる
- なにからはじめればいいか、なにから学べばいいかわらず、結局なにもできていない
ビジネスに必要ではあるけれど難しくておっくうな「経営戦略・マーケティング・人材教育」などの幅広いテーマを、易しく手軽な物語として概観することができます。
理容室の成功事例ではありますが、その元になる「考え方」は、どんな業種であれ場面であれ活かせるものです。
なにかをはじめたい(はじめなければいけない)けれど、なかなかはじめられずにいるあなたのきっかけに。おすすめの1冊です。
このあとは、わたしが本書から選んだ「名言」をご紹介しながらレビューします。
在りもしないものや無いものを言い訳にしない
『小さくても勝てます』から選んだ、さかはらあつしさんのひとつめの名言はこちら ↓
小さな組織に必要なのは、お金やなくて考え方なんや
小さい組織と大きな組織の違いのひとつに「資源の量」が挙げられます。
たとえば、ヒト・モノ・カネ。小さな会社には、大企業のようにヒト(社員)も居なければ、モノ(設備)も無く、カネ(資金)も限られています。
それは、「あたりまえ」のことです。
ですから、小さな組織がそもそも在りもしないものや無いものも羨んでいてもしかたありません。あきらめるわけにもいきません。
そんなことを戒めるかのように、メンターである立三(たつぞう)さんが、思い悩んでいるオレに向かって言ったのが上記の言葉です。
必要なのは「考え方」。考えることにおカネはかかりません。小さいも大きいも、考えることには制限がありません。
在りもしないものや無いものを言い訳にして、考えることまで放棄していないだろうか? どうせヒトが居ない、モノがない、カネがない。どうせ小っちゃいから・・・
逆ですね。考えることこそが、小さい組織が生き延びる道。その道から逃げていないか、避けていないかを自問してみましょう。
あきらめてしまった今日が、実はブレイクの前日かもしれない
2つめの名言はこちら ↓
わかりやすく言うと、最初は全然アカンけど、あるところまで行ったら一気に燃え上がる。そういう値があるんや。そこまでは絶対に続けなあかんのや
これも、立三さんからオレへの言葉です。
本書では、随所に経営や経済、マーケティングなどに関する用語が出てきます。そんな用語のひとつである「クリティカルマス」についての解説が上記の言葉になります。
つまり、商品やサービスなどが世の中に普及する過程で、一気に跳ね上がるポイントがある。そのポイントを指してクリティカルマスと言うわけです。
わたしたち(あなたは違うかもしれませんが)は、「なかなかうまくいかないなぁ・・・」と言って、途中であきらめてしまうことがあります。
けれどもそれは、次の瞬間にもブレイクするわずか一歩手前であきらめているのかもしれません。
ブレイクするポイントを知ることができないわたしたちは、「勝手に」あきらめていることがあるのではないのか?
「石の上にも三年」と言います。やると決めた覚悟なり、根拠なりがあるのであれば。かんたんに「続ける」ことをやめたりしないように、ということですね。
たとえひとり仕事でも手順をつくる
続いて3つめの名言はこちら ↓
なぜなら、手順を教え、他の人にやってもらえるようにする、と思って事にあたれば、仕事にごまかしがきかなくなり、部下に仕事を命じる力量がつくからだ。
これは、立三さんが「手順」の重要性について説明をしたときの言葉です。
わたしの経験則ですが、大きな企業ほど「手順」は存在し、小さな企業ほど「手順」は存在しない。
もう少し言うと、大きな企業ほど「手順」が文化として浸透しているが、小さな企業ほど「手順」が文化として浸透していない。そう感じます。
小さな企業についてイメージを挙げると、家内工業におけるオヤジが「仕事は背中で見せる!」みたいな。
まぁ、極端なイメージですが、家内工場に限らず、小さな企業ほど「手順」には疎いように思えてなりません。
立三さん風に考えれば、「だから(手順がないから)、部下に仕事を命じるのが下手、部下が育たない」のではないかとも。
それはそれとして。わたしのようなフリーランスは「手順」をどう考えればよいのか? 部下も、教える相手もいないし、手順なんて要らんか?
その答えは、上記の名言にありますね。「(手順があれば)仕事にごまかしがきかなくなり」と。
「手順」のような明確な拠り所がないと、「こんなもんかな」を許すことになります。「こんなもんでいっか」というごまかし仕事を許してしまうかもしれません。
そう考えれば、ひとりであれ「手順」は必要です。小さかろうが大きかろうが、あいまいさは甘さにつながる。そこは同じですから。
「手順」という言葉を他人事のように感じるのであれば要注意。そんなあなたにこそ手順が必要だということですね。
なにを「約束」できるのか
さいごの名言はこちら ↓
ブランドは『約束』やな
これは、理容室ザンギリのオレが、立三さんに尋ねた「ブランドって何ですか?」に対する回答です。
立三さんは「難しいなあ」としながらも、しいてひと言で答えたのが上記の言葉でした。
約束の例として、マクドナルドが挙げられています。馴染みのない場所(たとえば遠い外国)でも、マクドナルドに入る理由はなにか?
それは「失敗がないから」です。高価で高品質な料理は出てこないけれど、リーズナブルで後悔はしない品質の料理がでてくることを知っているからです。
このように失敗をさせない、後悔をさせないという「約束」がブランドだ、と。そういうお話です。
「ブランド」というと、どこか大企業をイメージしてはしまいますが。「約束」という点では、小さくてもいっしょです。
お客さまとの間に、明確な「約束」を打ち出すこと。そして、打ち出した「約束」を徹底的に守ること。これなら、小さくても勝てます。
おカネもない、ヒトもいない、モノもない、と嘆くその前に。できること、やるべきことはまだまだある。それを教えてくれた1冊でした。
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きょうの執筆後記
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