「お客さま」のことを考えたときに、「ひとり(独立開業)」の強みってなんだろう?
ということで、「会社員」よりも「ひとり」の顧客志向が勝る5つのポイントについてお話をしていきます。
「会社員」よりも「ひとり」の顧客志向が勝る5つのポイント
大学を卒業してから18年間、会社員を続けたのち。「ひとり税理士(≒フリーランス)」として独立開業をしてから、2年と7ヶ月が経過しました。
「会社員」と「ひとり」とを経験したうえで、「ひとり」のほうが顧客志向で勝る、つまり、お客さまにとってメリットがある、というポイントを挙げてみます。こちらの5つです ↓
- 組織の病いがない
- ノルマを要求されない
- お客さまとのミスマッチがない
- お客さま対応に上司を要しない
- オンとオフのメリハリがない
それでは、このあと順番に見ていきましょう。
「ひとり」が、顧客志向のすべてにおいて「会社員」に勝る、という話ではありません。
会社員には会社員の強さがあり、ひとりにはひとりの強さがあります(弱さもまたしかり)。そのうえで、ひとりの強さに着目をすると… というお話になります。
組織の病いがない
会社員は、会社という「組織」に属しています。そして、組織には「組織の病い」というものがあります。
細かく挙げればキリがありませんが、大きなところではこの2つです ↓
- 巨大化・複雑化
- ことなかれ主義・日和見主義
えーっと、いちおう言っておくと。すべての会社に組織の病いが必ずある、というわけではありません。病いが無い会社もなかにはあるでしょう。
けれども。「ひとり」と比較をしたときには、圧倒的に病んでいる確率が高い。と、ご理解をお願いいたします。
で、巨大化・複雑化のハナシ。多くの会社は、「拡大を良し」としています。大きくなるのはイイことだ、と会社は巨大化します。
するとヒトが増え、お客さまが増え、扱う商品やサービスが増え、会社は複雑化します。あれやこれやとやることが増えて、各々のチカラが分散し始めます。
ひとつの実例として、わたし自身の経験を挙げれば、「社内管理業務」に多くのチカラを必要とするようになりました。税理士業務+社内管理業務です。
結果、お客さまに向かうはずのエネルギーが不足します。枯渇します。お客さまから見れば、「サービスの低下」が生じます。
そのような危機的状況にありながらも、「ま、いっか」「まぁ、しかたない」と考えてしまうのが、ことなかれ主義・日和見主義です。
会社のなかを見渡せば、たくさんのヒトがいますから。じぶんがやらなくても、きっと誰かが… という思考になりがちです。わたしだけではなく、そもそもみなが複雑化への対応で手一杯なのです。
当然、誰かがやってくれた、などということもなく。お客さまに対するサービス・思いはますます低下します。繰り返しますが、みながじぶんのことで手一杯だからです。
この点で、「ひとり」はもともと巨大化・複雑化が厳しい状況にあります。だって、ひとりしかいないから。ひとりでできることは限られているから。
また、じぶんひとりしかいないのですから、「きっと誰かが」などと他人に期待する余地もありません。会社員よりも、ひとりの顧客志向が勝ると言えるポイントです。
ノルマを要求されない
「ノルマ」という言葉があります。会社には多かれ少なかれ、その「ノルマ」が存在しているものです。
ひとり〇〇個売ってこい! とまではいかないにしても。この商品・このサービスを「ひとまず」ご案内してきなさい、ということがあります。
このときの「ひとまず」は、広い意味での「ノルマ」だと言えます。
ご案内するほう(会社員)は「このお客さまには、なんか違う気がするんだけどなぁ」とは思いつつも、ひとまず案内をします。ノルマだから。
お客さまにしてみれば、なんの脈絡もなく、ある商品・あるサービスを勧められることがあるのはこのためです。
前述したとおり、組織は巨大化・複雑化する傾向にあるため、どんどんあたらしい商品・サービスを展開しようとします。
ゆえに、お客さまはなんどもなんども繰り返し、ノルマの押し売りを受けることになります。不信感が生まれ、信頼関係を損なう原因になります。
この点、「ひとり」はノルマを要求されていません。扱う商品・サービスも、それを提供するお客さまも、じぶんで決めることができます。
お客さまに合った商品・サービスを提供しやすい環境にある。会社員よりも、ひとりの顧客志向が勝ると言えるポイントです。
お客さまとのミスマッチがない
しつこいようですが、会社は巨大化・複雑化をする傾向にあります。
お客さまが増えて、商品・サービスが増えて、ヒト(社員)も増えていきます。相応のヒトがいなければ、成り立たないからです。
ヒトと言っても、いろいろなヒトがいるわけで。新人もいれば、ベテランもいます。優秀なヒトもいれば、そうでもないヒトもいます。優秀だけど、人間的にちょっと… なんてヒトもいます。
では、もしも。右も左も分からないような新人がやってきたら? お客さまは困ってしまうでしょう。 優秀ではない社員がやってきたら? お客さまは不満でしょう。
人間的にちょっと… という社員がやってきたら? 言うまでもありません。
極端な例ではありましたが。実際、会社では「社員とお客さまとのミスマッチ」があちこちで発生しています。
行き過ぎた巨大化・複雑化の弊害。この害を被るのはお客さまです(幸か不幸か、お客さまが気づいていないこともありますが)。
この点、「ひとり」であれば、ヒトを増やす必要がありません。ヒトが増えることがありません。巨大化した会社の規模を維持するために、ヒトを雇う必要がないからです。
じぶん自身を除けば、お客さまとのミスマッチは起こらない。会社員よりも、ひとりの顧客志向が勝ると言えるポイントです。
お客さま対応に上司を要しない
会社員に「上司」はツキモノです。たくさんのヒトがいる会社では、たくさんのヒトを管理するために「上司(管理者)」が必要になります。
ではいったい、上司は「なに」を管理しているのかと言うと。その定義は「とてもあいまい」であることが少なくありません。
結果として。聞かなくてもいいことまで、いちいち上司の判断をあおぐ。という会社員が出てきます。
そのアオリを受けるのは、お客さまです。なにかを質問しても、いつも回答を待たされる。なにかを依頼しても、いつも対応を待たされる。
なぜ、そんなことが起きてしまうのか? 「上司がいるから」です。上司がいるから、判断が必要になる。お客さまが待たされるのです。
なんでもかんでも上司に依存する会社員はともかくとしても。会社員である以上、多かれ少なかれ、上司の判断を要することになります。
上司に判断をゆだね、上司の判断を待ち、上司の判断を伝えるのには時間がかかる。そのあいだ、お客さまは待たされることになります。
この点、「ひとり」であれば、じぶんが判断をするしかありません。即判断・即対応がしやすい環境にあります。
お客さま対応に上司を必要とせず、お客さまを待たせずにすむ。会社員よりも、ひとりの顧客志向が勝ると言えるポイントです。
オンとオフのメリハリがない
独立開業してからわかったことですが。「ひとり」には会社員ほど、オンとオフのメリハリがありません。
会社員のときには、「休日は休日、仕事のことは忘れよう」でした。ひとりになってからも休日は休日ですが、ほとんどいつも仕事のことがアタマのどこかにあります。
休んでいても遊んでいても。いまやっている仕事のこと、将来の仕事のことなどを、ふと考えているものです。
おぉぉ、なんと嘆かわしい。仕事に縛られるフリーランスの悲しさよ… というハナシではありません。また、わたしが特別に勤勉というわけでもないでしょう。
「ひとり」になって、おのずと仕事に対する当事者意識が上がったものと理解しています。だから、仕事のことばかり考えてしまう。
もちろん、会社員にだって当事者意識はありますが。会社員にとっての当事者の範囲・領域は、すべてを担う「ひとり」よりも狭いものです。そこに意識の差があらわれるのでしょう。
「ひとり」になると、仕事のことを考える量が増えます。仕事のことを考える量が増えれば、お客さまのことを考える量の増加にもつながります。
思考量が増加して質も上がれば、お客さまにとってはメリットになる。会社員よりも、ひとりの顧客志向が勝ると言えるポイントです。
ちなみに。オンとオフのメリハリがない、には別の一面もあります。「ひとり」は、オンのなかにもオフの要素をミックスしやすい、という一面です。
会社員のように時間の拘束を受けませんから、定時・休日の概念がありません。平日日中になにをするのも自由です。
また、思考の拘束・行動の拘束も受けませんから、その手のストレスがありません。仕事と言ってもやりたい仕事・好きな仕事を選べますから、オン・オフの境がよい意味であいまいだと言えます。
まとめ
「会社員」よりも「ひとり」の顧客志向が勝る5つのポイント、についてお話をしてきました。
一見、小さくて弱そうな「ひとり」でも。大きくて強そうな「会社員」に負けない顧客志向のポイントがあります。
- 組織の病いがない
- ノルマを要求されない
- お客さまとのミスマッチがない
- お客さま対応に上司を要しない
- オンとオフのメリハリがない