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レビュー/『やる気が上がる8つのスイッチ』は本当にあるの?

レビュー/『やる気が上がる8つのスイッチ』は本当にあるの?

そんなスイッチ、本当にあるの? と言いたくなる、『やる気が上がる8つのスイッチ(ハイディ・グラント・ハルバーソンさん著)』をレビューします。

目次

君のやる気スイッチはどこにある?

〇〇をやろう、と決めたとしても。〇〇をやりたい、と考えたとしても。それらを「やる気」がなければ、取り組むことができない、途中であきらめてしまう、ということになりかねない。

かく言うわたしも、やる気が起きないときはあるもので。とはいえ、「さぁ、やる気を起こすぞー」と言って、起きるものでもありません。カラダのどこかに、やる気スイッチとかないのかなぁ… などと呆ける始末です。

そんなわたしにはうってつけとも言えるタイトルの本を見つけました。こちらです ↓

たったの 126ページ。1時間もあればじゅうぶんに読み終えることができる量なのですが、やる気を上げるヒントに満ちた本でした。

著者は社会心理学の先生(女性)で、「実験の結果」という根拠にもとづき書かれている点がいいですね。世の中には「もっともらしいけれど根拠無し」の話は少なくありませんので。

それでは、『やる気が上がる8つのスイッチ』をレビューしてみます。

 

やる気に影響を与える「3つの軸」とは?

著者のハイディ・グラント・ハルバーソンさんは、「まず、じぶんのなかにある3つの軸を確認しましょう」と言っています。

その「3つの軸」とは?

  1. 証明マインドセットか、成長マインドセットか
  2. 獲得フォーカスか、回避フォーカスか
  3. 自信はあるか、ないか

これら3つの軸についてそれぞれ、「じぶんはどっちなのだろう?」と確認をするところからはじまる、というお話です。

見れば、3つの軸は「2択」になっています。その2択の組み合わせにより、人は8つのタイプに分かれる。そのタイプ別の「特徴」と「やる気の上げ方」とは? というのが本書の流れです。

では、じぶんのタイプを知るにあたって必要な「3つの軸」について。それぞれの軸をカンタンに説明してみます。

《軸1》証明マインドセットか、成長マインドセットか

マインドセットとは、ひとことで言えば「(各自の)考え方のクセ」です。

そのクセを大きく2つに分けた場合にどうなのか? というのが1つめの軸になります。証明マインドセットか、成長マインドセットか、という2つです。

その違いを端的に言うと、

  • 証明マインドセット … すごい人と「思われたい」
  • 成長マインドセット … すごい人に「なりたい」

証明マインドセットな人は、じぶんの能力を周囲に証明させたいがためにがんばるタイプ。ゆえに、他人とじぶんとをいつも比較しているようなタイプ。正直、こういう傾向ありますわ、わたし…

いっぽうで。成長マインドセットな人は、じぶんの能力を高めることに目を向けてがんばるタイプ。比較対象は他人ではなく、あくまでじぶん。過去のじぶんと比べて成長できているか? に目を向けます。

はい、あなたはどっち?

《軸2》獲得フォーカスか、回避フォーカスか

2つめの軸は、じぶんの気持ち・関心がどこにフォーカスされているかどうか? です。どこに焦点が当てられているか? これも2つに分かれます ↓

  • 獲得フォーカス … いかに大きな利益をとるか、に焦点
  • 回避フォーカス … いかに損失を小さくとどめるか、に焦点

さきほどの「マインドセット」については、「証明マインドセットよりも成長マインドセットがよい」と優劣が決まっています。

それに対して、「フォーカス」については優劣があるわけではありません。どっちに焦点をあてるか? の違いがあるだけの話です。

どちらのフォーカスにも長所・短所があり、その長所・短所があることを理解することが重要である。そういうお話です。

で、わたしはと言えば。もともとは「回避フォーカス」だと自覚していますが、独立開業してからは「獲得フォーカス」な部分も出てきたかなぁ。そんな感じ。

いまのあなたはどっちですか?

《軸3》自信はあるか、ないか

さいご、3つめの軸は「自信」があるか、ないか? です。

ちなみにここで言う「自信」とは。ハイディ・グラント・ハルバーソンさんは、こんなふうに定義されています ↓

ここで私が言う自信とは、「俺様が最高だぜ」的な他人を力で圧倒するようなタイプのものではありません。もっと謙虚でしなやかな、静かに「私にはそれをやりとげる力がある」と確信しているタイプのものです。

これは、とてもわかりやすいですね。オレ様サイコー、は勘違い。

それはそれとして。ここで言う「自信」があるかどうか…? わたしはケースバイケースです。あることについてはそう思えるし、あることについてはそう思えない。モノによります。

さぁ、あなたはどっちでしょう?

 

3つの軸で分かれる8つのタイプ

前述した「3つの軸」の組み合わせによって、ハイディ・グラント・ハルバーソンさんは、人は8つのタイプに分かれるのだと言っています。次のとおりです ↓

 マインドセットフォーカス自信評価
中二病証明獲得なし破滅的
うざいやつ証明獲得あり問題あり
臆病者証明回避なし破滅的
退屈な人証明回避あり問題あり
やる気の空回り成長獲得なし問題あり
まじめな見習い成長回避なし問題あり
新星成長獲得あり最高
熟練の匠成長回避あり最高

これを見て、「じぶんはどのタイプだろうか?」と考えさせられるのがおもしろいところです。

本書のなかでは、それぞれのタイプについて、あらわれる「症状」や「治療法」がくわしく書かれています。

ちなみにわたしは、「臆病者(破滅的!)」とか「退屈な人(問題あり)」とか… おいおい、だいじょうぶか。でも、こととしだいによっては、異なるタイプにもなりそうです。

そう、実はそこがポイント! なんですね。

人はいつもいつも同じタイプというわけではなく。ときが経てば変わることもあるし、対象(仕事、家族、恋愛など)や状況しだいで変わることもある。

そのうえで、じぶんがどのタイプかを理解しつつ、じぶんのやる気にアプローチすることが大切なんだ。というところにポイントがあります。

「いま現在」のタイプを知るだけで一喜一憂しているようではダメだ、ということですね。

 

やる気を上げるためにだいじなこととは?

本書では、8つのタイプについて、あらわれる「症状」や「治療法」がくわしく書かれています。くわしくは、本書を読んでみていただければですが。

結論として。じぶんのタイプを把握したうえで、それぞれの治療法を実践していくことが、やる気を上げることにつながります。

それとは別に書かれているのが、いずれのタイプかにかかわらず共通した「処方箋」です。やる気を上げるためのヒントとして役立ちます。

そのなかから、わたしが気に入った部分を取り上げてみました。

成長マインドセットを持っていなければ、いくらスキルを教えても学ぶ器がなく、いくら自信を持つことを教えてもその自信が空回りしてしまう

いかに成長マインドセットがだいじか、なによりもまず成長マインドセットを身につけることだ、というのがわかる名言です。

とはいえ。マインドセットとは「考え方のクセ」。クセはそうかんたんには治らないからクセなんだろうよ、とも思うわけです。この点にも処方箋は用意されています。そのなかから1つ ↓

人に認められたい、人から褒められたいと思って目標を決めてしまっているときには、この目標を達成することがいかに自分を成長させてくれるかという観点から考えるようにしよう

これは、証明マインドセットな人の例ですね。もしも、証明マインドセット的な思考をしていることに気づいたら、じぶんの成長に視点を向けよう、みたいな。

このように。「もしも〇〇したら、△△をする」とあらかじめ決めておくことを「if-thenプランニング」と呼びます。

そして、if-thenプランニングをすることで、ものごとの成功率は2倍から3倍も上がることが実験で証明されているとのこと。「よく〇〇をやっちゃうんだよなぁ」ということがあれば、if-thenプランニングに取り組んでみましょう。

わたしもやってます。たとえば、「どうしても間食したくなったら、ナッツを食べる」とか。

基本、間食・食事は 12時から20時のあいだ(プチ断食)、と決めているので。それを成功させる(大崩れしない)ための if-thenプランニングです。食塩・油を使っていないナッツなら、間食・食事よりは「低糖質」で済みます。

話は変わって。「失敗を恐れる」ということがあります。本書によれば、証明マインドセットな人は、失敗を恐れる傾向にあるそうです。

この点で、ハイディ・グラント・ハルバーソンさんは次のように言っています ↓

数え切れないほどの実験で、不安感ほど人間のパフォーマンスを阻害するものはないことが明らかにされています。不安は生産性の敵です。

不安による「必要以上の緊張」で本来の実力が出せなかった、というような話もありますよね。

楽観すぎるのはよくありませんが、「じぶんには成功させる力がある」と考えること。そう考えられるように、ふだんからスキルを磨いておく努力も必要だと言えるでしょう。

そのうえで。成功や失敗に対する考え方として、次のように触れられています ↓

大切なのは成功や失敗の原因を自分がコントロールできるものにすることです。それはやる気の科学という観点からも正しいことなのです。

具体的に言えば。成功や失敗の原因を「才能」や「運」、「他人」や「環境」など、じぶんの手には負えないものにしてはいけない、ということです。

ハイディ・グラント・ハルバーソンさんは「成功できるか否かはDNAで決まっているわけではなく、私たちがどう考えどう行動するかにかかっています」とも言っています。

じぶんには才能がないから(DNAで決まっているから)、などとは考えないこと。あきらめないこと。「努力」や「計画」「行動」など、じぶんにコントロールできるものにこそ成功や失敗の原因がある。じぶんしだいだ、と考えること。

ふだんの考え方が「やる気」に影響することを教えてくれています。

じぶんの「やる気」について、悩みを抱えているのであれば。ぜひとも一読をおすすめする一冊です。

レビュー/『やる気が上がる8つのスイッチ』は本当にあるの?

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