あの質問状から2年。1枚の紙に記された妻からの質問。ひとり税理士のわたしが、ひとり税理士の妻から受け取った質問状に回答します。
妻からの質問状、ふたたび。
2018年3月、妻から受け取った「質問状」について記事にしたことがありました ↓
2016年4月に、「ひとり税理士」として独立したわたし。ひとり税理士とは、文字どおり、ひとりの税理士。雇われず・雇わずで、単身、業を営む税理士です。
そんな「ひとり税理士」のわたしの元へ、ある日届いた(っていうか手渡された)のが妻からの質問状でした。内容はこんな感じ ↓
- ひとりってラク?
- 世間から取り残された気分にならない?
- どうやってリフレッシュする?
- ことこまかに自分のデータ取るもの?
- どういう状態が最終形? 満足することってある?
- いつまで働くつもり?
- 仕事、仕事に追われない?
- 年金(老後、遺族)はどうなるの?
この質問状から約2年。ふたたびの質問状を受け取りましたので、この場を借りて回答をしてみようかと思います。で、このたびの質問状の内容がこちらです ↓
- コロナによってめばえた税理士としての使命感は?
- コロナによる悪い影響、できなくなったこととか?
- コロナだけど良い影響、頑張れていることなど
- この状況でも平常心、モチベーションの保ち方
- 常に家族が一緒にいることで仕事に支障はあるか
これらの質問は、わたし個人に向けられた質問であると同時に。コロナ禍を行く世のひとり税理士やフリーランス、ともすれば、すべての働く人たちに向けられた家族からの質問でもあることでしょう。たぶん、きっと。
というわけで。読者であるあなたもいっしょに、回答を考えていただけましたら、そして、家族とコミュニケーションを深めるきっかけになりましたら幸いです。
それではこのあと、それぞれの質問を順番に見ていきましょう。
ひとり税理士の夫より、妻への回答。
《質問1》コロナによってめばえた税理士としての使命感は?
のっけから「使命感」とは。なかなかに重く、核心をついた質問ですね…
わたしの場合。「コロナによってめばえた」というよりは、「コロナによってより強まった」という思いがあります。
それは、「手元資金の最大化」です。できるだけ多くの会社、多くの個人事業者に、「手元のおカネをできるだけたくさん持つ」ことの重要性と方法とを伝えていく。
これは、以前からわたしが取り組んでいることではありますが。コロナの影響によって、たくさんの会社・個人事業者が資金繰りに苦しむいま。コロナを経て、よりいっそう思いを強くしたところでもあります。
コロナ収束後、「手元資金の最大化」への関心は高まることでしょう。いっぽうで、コロナ後の資金調達(とくに銀行融資)には「変化」が生まれるものとわたしは考えています。
高い関心とはウラハラに、資金調達がなかなかうまくいかない… というケースは増えるようにも思われる。そういうことです。
そんなときにでも、変化に対応できる資金調達、変化に対応できる銀行融資について、考え方や方法を伝えていく。できるだけ多くの会社・個人事業者に伝えていく。というのが、いまわたしが強く考えていることになります。
社長・個人事業者が「カネ繰り」に追われることなく、「本来の仕事(経営)」に安心して集中できるように。そのための「手元資金の最大化」でもあります。
《質問2》コロナによる悪い影響、できなくなったこととか?
この質問の延長線上には、「ウチ、だいじょうぶ? この先もやっていけるの?」との不安や心配も含まれているものと推測します。
この点をふまえて、「税理士の仕事」というものを考えたときに。コロナによる影響として「税務顧問の減少」はあるでしょう。
もう少し具体的に言うと。コロナの影響を受けて倒産をしてしまう会社が増えれば、税務顧問先(候補先も含めて)が減少します。倒産しないまでも調子が悪くなれば、税務顧問料の支払いが難しくなる。これも減少です。
とはいえ。これらは「コロナ以前」から言われていたこと・進んでいたことでもあります。「ITの普及」をおもな背景に、税務顧問の減少は「すでに」進んでいることです。
ITを活かして(クラウドサービスを使う、なんでもネットで調べるなど)、自社・じぶんで経理をするとか、税金の申告をするとか。マイナンバーが普及すれば、税務調査の件数が減ることも考えられます。
結果として、「税務の自己完結化」が進む。べつに、税理士いなくてもだいじょうぶだし。みたいな。
このような「税務の自己完結化」の流れは、コロナという厳しい環境を経て加速するだろう。わたしはそう考えています。税務顧問料の見直しやITの普及がより進みやすい環境だからです。
税務顧問が減少する、という点では「悪い影響」になるでしょう。
ちなみに。従来の仕事の見直しやITの普及は、どのような職業にもあてはまることでもあります。したがって、税理士に限ったハナシというわけでもありませんね。
より早い対応、より早い改善が求められる。かなり抽象的な表現にはなってしまいましたが、コロナの影響を受けたいま、だいじなことだと考えています。
[ad1]《質問3》コロナだけど良い影響、頑張れていることなど
わたしはどうにも「腰が重い」ところがあります。なかなかあたらしいことにチャレンジすることができない… チャレンジまでに時間がかかる。
この点で。コロナには「チャレンジを後押しするチカラ」があるものと感じています。やらないとまずいことになるかもよ、という恐怖感とも言えますが。
いずれにせよ。チャレンジを躊躇していたことにも取り組むことができています。具体例としては、セミナーやコンサルのオンライン化、そして、You Tube動画のスタートです。
オンラインを取り入れることで、より「遠方」からセミナーを受講いただいたり、より遠方からの依頼を受けることも可能になりました。
副次的な効果として、わたし自身の「時間・おカネ・体力」に余力も生まれています。移動や会場準備の「時間」が減り、移動や会場準備にともなう「おカネ」も減り、「体力」も使わずにすむ。
結果として、生まれた余力を「別のなにか」に使うことができます。そのひとつが、YouTube動画です。やろうと決めていたことですが、コロナが決定的な「引き金」になりました。やるならいましかない、と。
前述した「手元資金の最大化」については、その考え方や方法を、動画でお伝えをしていきたいと考えています。ブログでもお伝えはしていますが、ブログとは違った層の人たちへ、そして、違った伝え方ができればいいな、という思いです。
また、前述した「税務の自己完結化」についても、動画やオンラインでのコンサルを通じたお手伝いができます。自己完結化しようとしている会社・個人事業者に対して、必要な考え方や方法をお伝えしていきたい。
これらを実現できれば、「税務顧問の減少」があっても、仕事を続けていくことはできるはずです。
オンラインや動画もまた、コロナを経て「加速」したもの、ますます加速するものと言えるでしょう。
腰が重いわたしには、時代の先を行く、あたらしい波を起こす、というような動きはなかなか難しく。それでも、来た波には乗る、少なくとも波にのみ込まれることがないように。
と、またまた抽象的なハナシをしておりますが。生き残るためには、そして、楽しく生きるためには「来た波にはせっかくだからノっておけ」です。
《質問4》この状況でも平常心、モチベーションの保ち方
コロナの影響によって、この先、どうなるんだろう? なにが起きるだろう? という漠然とした不安や心配はあります。
けれども、そのような不安や心配は、独立した当初からあるものであって、いまにはじまったことではありません。きょうは食えても、あすも食えるかはわからない。これが、独立をしたときからの不安であり、心配です。
そういう意味では、コロナとはいえども、状況はあまり変わらないんですよね。だから、変わらず平常心と言えば平常心です。
また、独立した当初から、わたしには「開き直り」があります。開業税理士としては食っていけなくなっても、ほかに仕事はある。いざとなったら「勤め人」に戻る道もあります。
もちろん、そういうことを望んでいるわけではありませんが。そういうふうに考えておいたほうが「気が休まる」というだけのハナシです。覚悟が足りん、と叱られるかもしれないけれど。必要以上に不安・心配を溜めないための知恵みたいなもんです。
それから、モチベーションについて。いまは、「チャレンジ」を楽しんでいる状況にあります。楽しむだなんて、この状況でフキンシンな! と思われるかもですが。
ただ、コロナに限らず。物事全般において、チャレンジは必要なことであり楽しいことです。
チャレンジがなければ、成長は望めず。チャレンジを経て成功することで喜びを感じることができます。そんなチャンスに挑むことができるのは、楽しいことに間違いありません。
と言いつつも、腰が重く保守的なわたしですから。ふだんはチャレンジがおっくうにもなるところです。それが、コロナというある種の困難が強制されるなかで、チャレンジせざるを得ない状況になったとも言えます。
強制されるのは辛いじゃないか? と言うと。わたしは保守的であると同時に「M気質」でもあるので、苦しい・辛いのは意外と嫌いではない。だから、ブログを毎日更新したり、マラソンを走ったりもするのでしょう。
そういう人(がどれくらいいるのか知りませんが)にとっては、コロナという状況は、チャレンジを楽しめる、モチベーションが上がる場になるようです。
[ad1]《質問5》常に家族が一緒にいることで仕事に支障はあるか
もともと「自宅兼事務所」で開業して、ずっとその環境なので、家族がいっしょにいることには支障ありません。
けれども、「常にいっしょ」となると、それなりの支障はありますね…
まず、子どもたちがケンカをしていたり、叫んでいたり(怒り、悲しみ?)する「声」が聞こえてくると「気持ち」が乱れます。「集中力」も途切れます。
それから、子どもたちのようすを見るたびに遊んでばかりいると、どうしても「勉強をしろ!」と言ってしまう。なにしろ、娘のほうは中3で受験生でもありますし。
基本、学校にも外にも行きませんから、朝からパジャマのまま… 「起きたら着替えなさい!」と小言だって言いたくたなる。とにかく、「常にいっしょ」だといろいろありますわ。
でもまぁ、「たいしたこと」ではありませんよね。
自宅兼事務所のメリットでもある「職住近接」は、わたしにとってはひとつの幸せです。家族のそばで、多くの時間を過ごせるのは、かつてのわたしがやりたくてもできなかったことです。
それが独立開業を経て、そして、コロナという苦境を迎え、よりいっそう「職住近接」が深まった。だとすれば、それはそれで幸せなことです。小言は言うけど。
いずれ「そんな時代もあったよねぇ」と笑って言える時間を、いまは過ごしているのだ。そう考えるようにもしています。過去にはない、貴重な体験をいままさにしているのです。
家庭ごとに、いろいろな問題があり、深刻さの度合いも異なることでしょう。ただそれでも、家族といっしょに過ごせる時間、ずっといっしょに過ごせる時間はやっぱり幸せなことだ、という考え方もあるはずです。
それはそれとして。逆に、家庭に対して支障を与えないように、もありますよね。たとえば、家族に対して生活上の制限をかけたりとか、じぶんがストレスを溜めて家族に当たったりとか。
そういう意味では、オンライン仕事が増えたので、そのときには制限をしてますね… 「静かにして」とか、「動画禁止」とか。すまぬ。YouTube動画を撮影するときも、「静かにして」と言っています…
なお、ストレスが溜まっている感覚はありません。前述のとおり、以前よりも余裕ができたので、ランニングが増えたり、ゲーム(FF7Rとあつ森)をやったり。
ゲームはじぶんでもちょっと心配をしています。家族的にヤバそうだったら、ぜひ止めてほしい。そんなお願いをしつつ、質問への回答を終わりにしようと思います。
まとめ
コロナ禍を行くひとり税理士の夫へ、妻からの質問状に対する回答についてお話をしてきました。
ひとり税理士に限らず、フリーランスやすべての働く人たちのも共通する「家族からの質問」と捉えることもできるでしょう。
あなたのご家族も、おなじようなことを疑問に思っているかもしれません。というわけで、いっしょに回答を考えていただけましたら、そして、家族とコミュニケーションを深めるきっかけになりましたら幸いです。