じぶんが書いたことを読む人、じぶんが話したことを聞く人にとっての「わかりやすさ」を考えて。
あえて「厳密に書く・話す」のをやめている5つのポイントについてお話をしていきます。
厳密さを欠くと叱られる。
わたしは、こうしてブログを書いたり、メルマガを書いたり。日々、「書く」ことを続けています。
また、自主開催のセミナーで話をしたり、 YouTube動画で話をしたり。継続的に、「話す」ことも続けているところです。
その「書く」と「話す」について。わたしは、「厳密に書く・話す」のをあえてやめています。
いやいや、そこはきちんと厳密に書きなさいよ・話しなさいよ。と、叱られてしまうかもしれませんが。わかりやすさを重視して、あえて「厳密」をやめています。
わたしが書いたことを読む人、わたしが話したことを聞く人にとっての「わかりやすさ」を考えたときに。必ずしも、「厳密」は必要ない。むしろジャマだとも言える。
というわけで。「厳密に書く・話す」のをあえてやめている5つのポイントについてお話をしてみます。こちらです↓
- 単純化する
- 数を絞り込む
- 例外を無視する
- 法律を理由にしない
- 専門用語を使わない
じぶんがなにか文章を書く、なにか話をするというときに、どれか1つでも参考にしていただけるポイントがあれば幸いです。
それではこのあと、5つのポイントを順番に見ていきましょう。
わかりやすさ重視で「厳密に書く・話す」のをあえてやめている5つのポイント
《ポイント1》単純化する
書く・話すときに、「単純化する」ことを考えています。
たとえば、「法人税の計算式」について。わたしは、「法人税 = 利益 × 税率」と書いたり、話したりすることがありますが。厳密さという点では間違いです。
正しくは「利益」ではなく、「所得」であって、「利益=所得」ではありません。だから、厳密には「法人税 = 所得 × 税率」と書くべきです。
さらに言えば、「控除税額」などもありますので。実は、「法人税 = 所得 × 税率 − 控除税額」のほうが厳密だと言えます。
けれども。読み手や聞き手に対して「ほんとうに伝えたいこと」が、「会社の利益が増えると法人税は増えるし、利益が減ると法人税は減るんだよ」である場合にはどうでしょう?
利益じゃなくて、所得ですっ!とか、控除税額もあります!といったハナシは、あまり重要なことだとは思えませんよね。
厳密さを求めるあまり、重要でないことを織り込めば織り込むほど、ハナシはわかりにくくなってしまいます。
だから、単純化する。あえて、「法人税 = 利益 × 税率」という、「厳密ではない計算式」で済ませているわけです。
じぶんが「ほんとうに伝えたいこと」に応じて、単純化して書く・話すようにしてみるとよいでしょう。読み手・聞き手にとっての「わかりやすさ」がアップするはずです。
《ポイント2》数を絞り込む
書く・話すときに、「数を絞り込む」ことを考えています。
たとえば、 「銀行融資を受けるときの決算書の見方」について。わたしは「見るべき数字が3つあります」と伝えることがあります。
決算書にはたくさんの数字が並んでいることを知っていれば、「たった3つだけでいいの?」と思われることでしょう。
もちろん、厳密に言えば、見るべき数字はもっとあります。いろいろあります。 けれども、すべてについて書いたり話したりしていたらキリがありません。
それに、すべてを読まされたり聞かされたりするほうも参ってしまうことでしょう。
この点で。「数を絞り込む」ことは、書く・話す人が果たすべき「役割」のひとつだと考えています。
「すべて」のなかから、重要なものを選び出す。あるいは、エッセンスを抽出する。そのうえで書く・話すことで、読み手・聞き手の「負担感」を減らすことができる。
ひいては、読み手・聞き手にとっての「わかりやすさ」がアップするはずです。
そう考えると、ただただ「すべて」を書く・話すのは、書き手・話し手側の「怠慢」でしょう。と、エラそうに言っているわたし自身、まだまだ足りない部分もありますが。
ひとまず、じぶんのことは棚に上げて、「だいじなことはだいじなんだ」と伝えることもだいじです。はい。
《ポイント3》例外を無視する
書く・話すときに、「例外を無視する」ことを考えています。
たとえば、「会社が銀行にウソをつく」ということについて。 ウソの決算書(いわゆる粉飾をした決算書)をつくったり、ウソの使いみちでおカネを借りたり。
会社はそのようなウソをつくと、銀行にバレますよ。バレたら重いペナルティを受けますよ。と、わたしは書いたり話したりしています。
でも、絶対にバレるのか? と言われれば。バレないこともあるでしょう。また、絶対に重いペナルティを受けるのか? と言われれば。やはり、そうでもないことはあるでしょう。
それでも、わたしは「バレるし、重いペナルティを受ける」と書くし話しています。
なぜなら、「バレない、ペナルティがない」のは例外的なケースであり、なにより、だいじなことは「銀行にウソをついてはいけない」ということだからです。
なにごとにも「例外」はあるものです。その例外をいちいち取り上げていたら、ハナシの本筋がブレてしまいます。伝えるべきだいじなことが薄まってしまいます。
さきほどの例で言えば、「どうやったらバレずに済むの?」なんて質問をされかねません。
だから、あえて例外は無視する。もし厳密でないことを責められたとしても、「だからなに?」でおしまいです。 だいじなのはそこじゃない、関係ない、ということです。
《ポイント4》法律を理由にしない
書く・話すときに、「法律を理由にしない」ようにと考えています。
書くにせよ話すにせよ、なにかを伝えるときには「理由」を添えることが重要です。理由がないばかりに、読み手・聞き手をモヤモヤさせてしまうことがあります。
たとえば、「社長の給料は1年に1度しか金額を変えられない」ということについて。その理由として、法律を挙げることができます。
つまり、「社長の給料は1年に1度しか金額を変えられません。なぜなら、法人税法34条にそう定められているからです」みたいな感じです。
たしかに、そうなのでしょうけど。法律は「根拠」であって、「理由」としては伝わりません。
ですから、わたしが「理由」を伝えるのであれば、こんな感じになります ↓
「社長の給料は1年に1度しか金額を変えられません。社長が自由に給料の金額を変えることができると、自由に利益を操作できてしまうことになります。結果として、税金を操作できることになってしまいます。だから法人税には、社長の給料は1年に1度しか金額を変えらないと書かれているのです」
読み手・聞き手は「理由」がわかると、話の理解度・納得度はグッと高まります。
ものごとのノウハウだけを教えられても、「理由」がわからないと効果は半減です。ノウハウそのものを忘れやすくもなりますし、別の場面で応用を効かせることも難しくなります。
というわけで、書く・話すときには「理由」を伝えるようにしましょう。法律を示すだけで、理由を説明したつもりにならないようにしましょう。
《ポイント5》専門用語を使わない
書く・話すときに、「専門用語を使わない」ことを考えています。
じぶんの専門分野・得意分野については、とかく専門用語を使いがちです。わたし自身、うっかり使ってしまうということはあるわけで…
それでも、専門用語をできるだけ使わないように、書く・話すようにしています。
理由は2つ。ひとつは、専門用語を知らない人もいるからです。たとえば「所得」、これも専門用語で。知らない人からすれば、「所得ってなに?」でしょう。
加えてもうひとつ、専門用語は使わない理由は、読み手・聞き手の「理解の速度」を落としてしまうからです。
知らない言葉・聞きなれない言葉があれば、読み手・聞き手はそこでいったん考え込むことになります。そのうえでスルーしたとしても、理解の速度がいったん落ちることになります。
せっかくペースもよく、理解を進めていたのに。専門用語の登場によって、理解の速度が落ちてしまうのでは、集中力も途切れてしまうことでしょう。
ですから、書き手・話し手は「うっかり」と専門用語を使うことがないように気をつけなければいけません。
とはいえ、いちいち専門用語を別の言葉に置き換えるのもメンドーだというケースもあるはずです。そういうときには、前もっていちど「解説」をします。
たとえば、「所得とは、利益と似たようなものです。利益のことを税法では所得と呼んでいます。所得は、税金のハナシでは頻繁に登場する専門用語ですから慣れるようにしましょう」みたいな感じです。
ところが、そのような前置きもなく、唐突に専門用語を書いたり話したりしてしまう… 意外と「あるある」です。わたしもこう書くことで、じぶんを戒めているところです。はい。
まとめ
あえて「厳密に書く・話す」のをやめている5つのポイントについてお話をしてきました。
じぶんが書いたことを読む人、じぶんが話したことを聞く人にとっての「わかりやすさ」を考えたときに。必ずしも、「厳密」は必要ない。むしろジャマだとも言える。
と、わたしは考えているのですがいかがでしょうか。
- 単純化する。
- 数を絞り込む
- 例外を無視する
- 法律を理由にしない
- 専門用語を使わない