知らないよりも知っているほうが、より美味しいコーヒーを淹れられるはず。
というわけで。ハンドドリップでコーヒーを淹れるヒトが意外と知らずにいること、についてお話をしてみます。
なにも知らずにハンドドリップをしていたあの日。
新型コロナの影響もあり、おうち時間が増えたことで、自宅でコーヒーを飲む機会が増えたヒトも多いようです(そんなアンケート結果をどこかで見た)。
どうせ飲むなら美味しいコーヒーを!ということで、豆や粉を買ってきてハンドドリップで淹れるようになった。そんなヒトも増えているのではないでしょうか。
そこで。ハンドドリップでコーヒーを淹れるヒトが、意外と知らずにいることについてお話をしてみます。
なんかエラそうに言っていますが、かく言うわたしも、それほど長きにわたってハンドドリップをしているわけではありません。でも、だからこそ、まったくの初心者のときには「知らずにいたこと」を覚えています。
具体的には、次の5つです↓
- ドリッパーの形で味は変わる
- 粉で買うと味が落ちる
- 粒度で味は変わる
- 湯温で味は変わる
- スケールがないと味を保てない
これらは、ハンドドリップをはじめたばかりだったりすると、知らないこともあるのではないでしょうか。
別に知らなくったって、コーヒーは淹れられるんですけどね。でもやっぱり、知っているほうが、より美味しいコーヒーになると思います。そして、存分にウンチクを語るがいい。まぁ、たいていは嫌がられるでしょうが。
なにはともあれ。このあと順番にお話をしていきます。
ハンドドリップでコーヒーを淹れるヒトが意外と知らずにいること5選
【知らずにいること1】ドリッパーの形で味は変わる
ハンドドリップするのに、必要な器具として「ドリッパー」があります。コーヒーの粉を入れるやつですね。
そのドリッパーには、いろいろな形があるのをご存知でしょうか。そんなの知っているに決まってるだろっ! と叱られるかもしれませんが。わたしは知りませんでしたので…
で。ドリッパーの形は、大きく2つに分かれます。「円すい型」と「台形型」です。ドリッパーを真横から見たときに、円すいであれば「円すい型」。台形であれば「台形型」。そのまんまですね。
このうち、どちらを使うかによって、同じコーヒー豆でも味は変わります。このあたりが、ハンドドリップのおもしろいところでしょう。
では、どう味が変わるのかというと。
まずは、円すい型。台形型に比べると、「薄め」のコーヒーに仕上がります。理由は、お湯がドリッパーを通り抜けるのが速いからです。円すいの形状ゆえに、お湯がスーッと落ちていくイメージ。
これに対して、台形型は。お湯がドリッパーを通り抜けるのが遅くなります。円すい型と違って、ドリッパーに「底」があるので。そこにお湯が溜まってから、少しずつ落ちていくイメージです。結果として、「濃いめ」のコーヒーにしあがります。
つまり、「ドリッパーからお湯が落ちる速さ」は、コーヒーの濃さに影響する。そういうことです。
ちなみに。ドリッパーは、空いている「穴」の数にも違いがあります。円すい型の穴が1つなのはいいとして。台形型には、1つ穴もあれば、2つ穴、3つ穴のものもあります。
穴の数が多いほど、「ドリッパーからお湯が落ちる速さ」は速くなる。そう考えると、1つ穴・台形型のドリッパーよりも、3つ穴・台形型のドリッパーのほうが「薄め」にしあがる。ということがわかりますよね。
いくつかドリッパーを試してみて、じぶんの好みを見つけてみる。また、コーヒー豆や気分によって使い分けてみるのもいいでしょう。
【知らずにいること2】粉で買うと味が落ちる
ハンドドリップ用のコーヒーを買うときに、粉で買っていますか? それとも、豆で買っていますか?
いちいち家で挽くのはメンドーだから粉で買う。家にミル(豆を挽くやつ)がないから粉で買う。かつてのわたしがそうでした。
もし、同じように考えているのであれば、やめましょう。いますぐに、やめましょう。なぜなら、粉で買うとコーヒーの味が落ちるからです。
もう少し正確に言うと。買った直後はいいけれど、開封した瞬間から、ものすごい勢いで劣化する。豆とは比べものにならない勢いで劣化する。つまり、早々に味が落ちてしまうのです。
どうせ同じコーヒーを買うのなら、味が落ちるのはイヤですよね?
ちなみに。開封後にコーヒー本来の美味しさを保てる期間は、豆であれば1ヶ月、粉であれば1週間ていど、というイメージです。1週間で飲みきれない場合には、迷わず豆を選びましょう。
コーヒーは「空気(酸素)」にふれると酸化がすすんで劣化します。粉が豆よりも劣化するのは、粉のほうが「表面積」が圧倒的に大きいからです。
というわけで。酸化を防ぐために、開封後はなるべく空気にふれないようにするとよいでしょう。袋の開け締めは光速で、否、できるだけ高速で。シャシャシャ! っとやりましょう。
透明のガラス瓶などに入れておくとオシャレですが、空気にふれやすくなるのでおすすめできません。また、コーヒーは光にも弱いらしく(繊細すぎる)、その点でもガラス瓶はイマイチです。
オシャレよりもまずは味。コーヒーは、人目を避けたところで、だいじにだいじに保管する。箱入り娘のように接するのがよさそうです。
【知らずにいること3】粒度で味は変わる
コーヒーの味は「粒度」でも変わります。粒度とは、コーヒー豆を挽いたときの「粉の粗さ具合」のことです。「粗挽き」とか「細挽き」とか、そいういうことです。
結論として、粗く挽くほどコーヒーは薄くなります。逆に、細かく挽くほど、コーヒーは濃くなります。
その理由は、細かく挽くほど表面積が大きくなるためです。表面積が大きくなれば、お湯と粉との接点が増えます。すると、よりコーヒーの成分が抽出されやすくなるわけです。
ところで。さきほど、ドリッパーの違いで濃さが変わるという話をしましたが。粒度の違いによる濃さの変化は、ドリッパーの比ではありません。
正直言うと、わたしの舌では、ドリッパーの違いによる濃さの変化をとらえるのはかなり厳しいです。なのに、いろいろとエラそうに、ウンチクだけは語ります。
それはともかく。粒度を変えた場合には、明らかに濃さの違いを捉えることが可能です。見た目の色合いも変わりますしね。たぶん、だれにとってもわかりやすいはずです。
それだけに。どういう粒度で豆を挽くかは重要だ! ということです。
そう考えると。粉になっているコーヒーを買ってくると、粒度は調整のしようがありません。もう、その粒度であきらめるほかありません。コーヒーの楽しみをひとつ失うことになります。
というわけで。ぜひ、ミル(豆を挽くやつ)を買って、じぶんで好みの粒度を探してみる。コーヒー豆や気分によって、粒度を使い分けてみる。すると、コーヒーの楽しみも増えるでしょう。
わたしは、こちらのハンドミル(手動で豆を挽くやつ)を使っています↓
リーズナブルながらも、ダイアル式で粒度の調整ができるなど、とくに大きな不満はありません。ものすごい値段のハンドミルもあったりして、気にはなりますが。まずは、このくらいからでじゅうぶんだと自覚しております。はい。
【知らずにいること4】湯温で味は変わる
コーヒーの味を変えるものとして、「湯温」もあります。コーヒーを淹れるときの「お湯の温度」によっても、味は変わるのです。
お湯を沸かすときに沸騰させれば、湯温が 100度になるのは当然として。火を止めて時間がたつほどに、湯温は下がっていきます。では、湯温によって、コーヒーの味はどうなるのか?
湯温が高いほど、コーヒーは濃くなります。逆に、湯温が低いほど、コーヒーは薄くなります。湯音が高いほど、コーヒーの成分が水に溶け出しやすくなる。そんな感じです。
また、「濃くなる」というのは、「苦味」が強く出るということでもあります。逆に「薄くなる」と、苦味よりも「酸味」が強く出るようになります。
苦味と酸味とは、基本的に「相反する」ものであり、いっぽうを立てればもういっぽうが引っ込むものと考えておきましょう。
ですから、じぶんが濃いコーヒーが好き、つまり、苦味の強いコーヒーが好きなら、熱めのお湯を使うことになります。薄めで酸味の強いコーヒーが好きなら、少々湯温を下げてみることになります。
具体的には、100度から 80度くらいのあいだで調整するもの。と、言われているところです。どこまで厳密にはかるか? ですが。湯温で、味が変わることは知っておきたいところです。
もちろん、豆自体が持つ苦味や酸味の強さもあるので、湯温だけで決まるものではありません。また、豆の特徴にあわせて湯温を調整するという考え方もあるでしょう。
いずれにせよ、沸騰したお湯をただただ注げばいいわけではない、との理解が大切です。
この点で。さきほどふれた「ドリッパー」の材質によっても、湯温は影響を受けます。ガラス製や陶器製のドリッパーは冷えやすく、冷えたまま使えば、湯温は当然さがってしまう…
ですから、使う前にいちどお湯であたためておくことが必要になります。寒い冬の朝などはとくに。プラスチック製の場合には、比較的冷えにくいので、あたためるほどのことはないでしょう。
ドリッパーは形状だけではなく、材質もコーヒーの味に影響するということですね。
【知らずにいること5】スケールがないと味を保てない
ここで言う「スケール」とは、「重さをはかる秤」のことです。なにをはかるかって、コーヒーの量とお湯の量です。
かつてのわたしは、コーヒーは「計量スプーン」で、お湯はサーバー(ドリッパーから落ちるコーヒーを受けるやつ)に描かれた目盛りではかっていました。
でも、これはいずれも「不正確」なはかりです。だから、きちんとスケールを使ってはかったほうがいい。というのが、いくつかのコーヒー本を読んでわかったことでした。
そもそも計量スプーンとは「体積」ではかっているわけですが、コーヒーは豆によって、「重量」が違います。同じスプーン1杯でも、重量が違うのです。これだと、水の重量と対比できませんよね…
また、サーバーに描かれた目盛りは「参考ていど」です。試しに、目盛りを目安に入れた水の量を、なんどかはかってみましょう。たぶん、はかるたびに量は違っているはずです。結局、目分量ですからそんなもんです。
これだと、コーヒーの味は「いつも違う」ということになってしまいます。きのうはうまく淹れられたけど、きょうはイマイチ… ということになってしまいます。
じぶんが美味しいと思うコーヒーを、安定して淹れられるように。スケールを使うのがいいだろう、ということです。
なので、わたしはいま、こちらのスケールを使っています↓
これがあると、コーヒーの量、お湯の量をはかることができるのはもちろん。タイマー付きなので、お湯を注ぎながら、蒸らしの時間や、お湯を注ぐ速度の調整がしやすくなります。
わたしがいまやっているのは、コーヒー6gに対して、お湯は 100g。淹れたいコーヒー量の 20%のお湯をまず投入。投入しはじめてから1分後に、また 20%のお湯を投入。さいしょの投入から2分後に、残りの 60%のお湯を投入。という感じです。
いろいろな淹れ方があるのだと思いますので、スケールを使いながら、じぶんなりの淹れ方を「確立・再現」できるようになるといいですね。
まとめ
知らないよりも知っているほうが、より美味しいコーヒーを淹れられるはず。
というわけで。ハンドドリップでコーヒーを淹れるヒトが意外と知らずにいること、についてお話をしてきました。
本記事が、美味しいコーヒーに役立てるようでしたら幸いです。
- ドリッパーの形で味は変わる
- 粉で買うと味が落ちる
- 粒度で味は変わる
- 湯温で味は変わる
- スケールがないと味を保てない