融資を受けている会社が、銀行対応するうえで。これを変更したときには気をつけるべき! ということについてお話をしていきます。
不安に思われたり、不審に思われたり。
融資を受けている会社が、銀行対応するうえで気をつけるべきことはいろいろありますが。これを「変更」したときには気をつけろ! というものがこちらです ↓
- 商号
- 本社
- 役員
- 税理士
- 決算月
- 経理担当者
- メインバンク
これらを変更したときには、銀行から不安に思われたり、不審に思われたりすることがありますので。実際に変更するにあたっては、銀行対応には配慮が必要であることを覚えておきましょう。
それではこのあと、順番に見ていきます。
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更7選
商号
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、1つめ。それは、「商号」の変更です。商号とは、平たく言うと「会社名」になります。
商号の変更に対して、銀行は「疑い」の目を持っていることを理解しておきましょう。
たとえば、取り込み詐欺。商品購入の支払いを「ツケ(後払い)」にしておきながら、雲隠れして踏み倒すのが「取り込み詐欺」です。商号変更は取り込み詐欺の常套手段であることから、銀行に疑われてしまう… という一面があります。
また、経営権が変わるのでは? との「疑い」もあるものです。事実、経営権が変わるときには、商号変更や代表者変更などが行われることから、銀行の疑いはもっともだと言えます。
とはいえもちろん、商号を変えること自体に問題はありません。正当な理由があってのことであれば、その旨を、銀行に対して説明しましょう。というのが、だいじなポイントになります。
本社
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、2つめ。それは、「本社」の変更です。本社の「所在地」を変える、つまり、本社を移転するときには注意が必要になります。
あまり頻繁に移転しているようだと、前述の取り込み詐欺もありますから。やはり、どこかアヤしげには見えるものです。なぜ、移転をするのか? 移転にいたった経緯を伝えるようにしましょう。
より立地が良い場所に移りたかったから、とか。社員が増えて狭くなったから、とか。テレワークが増えてスペースが余っているから狭いところに、とか。前向きな経緯は、銀行にも好まれます。
いっぽうで、業績不振にともなう規模縮小… となると、銀行も不安になることは言うまでもありません。経緯の説明とあわせて、経営改善計画書を示すなどして、不安を解消できるように努めましょう。
なお、本社が遠方に移転する場合、これまで取引をしていた銀行の営業エリアから外れてしまいます。担当支店・担当者が変わったりすることがあるのはもちろん。信用金庫の場合にはそもそも営業エリアが狭く、その信用金庫自体との取引ができなくなるかもしれませんので気をつけましょう。
役員
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、3つめ。それは、「役員」の変更です。
長年勤めていた役員が退任をしたことがわかると、銀行はその「理由」を気にします。その役員が親族であれ、親族以外であれ、なにか「内紛」があったのではないか? 他の社員や顧客を引き連れて退任をしたりしていないか? といった疑いがあるからです。
したがって、役員の変更があった場合には、変更があったことだけではなく、その「理由」までを銀行に伝えるようにしましょう。
また、あらたに就任する役員が親族以外である場合、「関係性」を説明することも大切です。社内からの抜擢なのか、社外から引き抜いたのか、など。あらたな役員が強い立場で経営に関与することもありますので、銀行はそのあたりにも関心を持っています。立場・役割などについても説明をしましょう。
税理士
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、4つめ。それは、「税理士」の変更です。ここで言う「税理士」とは、顧問税理士のことを言います。
銀行に提示をする法人税申告書(別表1の右下)を見ると、「顧問税理士がだれか」がわかるようになっています。銀行は、顧問税理士を確認していることを覚えておきましょう。
そのうえで、顧問税理士が頻繁に替わっているようだと、「なにかトラブルがあったのではないか?」という目で見られます。たとえば、粉飾決算を税理士に依頼して断られたとか。脱税を依頼して断られたとか。だから、税理士が変わったのではないか? ということです。
銀行からあらぬ疑いをかけられないようにするためにも、税理士が替わったときには、その「経緯」を銀行に伝えるようにしましょう。あたらしい税理士が、資金繰りや事業計画にも関与があることも伝えられると、銀行の安心感につながるはずです。
[ad1]決算月
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、5つめ。それは、「決算月」の変更です。
ときおり、「決算月を変更して黒字を確保する」というテクニックを見聞きします。たとえば、3月決算の会社が 12月までは黒字で、そのあとは大きく赤字になるであろうことがわかっているようなケース。
そこで、決算月を3月から 12月に変更することで、黒字の決算を確定させる。これなら銀行からの融資も受けやすい! という考えです。決算月は比較的かんたんな手続きで変えられることもあり、ひとつの選択肢ではあります。
ただし、1年未満の決算については、「通常の評価」をしない銀行はあるようです。いましがたお話をしたとおり、黒字を確保するためのテクニックかもしれませんので、1年未満の決算は「あくまで参考値」との見られ方をする可能性があります。
また、1年未満の決算となると、前年以前との比較が難しくなるのも問題です。いままでは、過去の決算書を並べれば比較できたのに。1年未満の決算が混じることで、比較がしづらくなってしまいます。銀行としてもやりにくいところなので、決算月の変更はあまり好まれることではないでしょう。
いずれにせよ、決算月の変更をするのであれば、やはり「理由」をきちんと説明することです。黒字を確保するため、というわけにはいかないのは言うまでもありません。
経理担当者
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、6つめ。それは、「経理担当者」の変更です。
銀行は、経理担当者が変わることにも疑いの目を向けています。経理担当者は、会社の「フトコロ事情」をよくわかっているものなので、「会社の厳しい状況を察して辞めたのではないか?」などと想像するのが銀行です。
事実、そういうこともあるわけですから、もし経理担当者が辞めるようなときには、その「理由」を銀行に伝えるようにしましょう。
なお、ふだんから銀行担当者と経理担当者とでやりとりをしていたのであれば、辞める前に、経理担当者本人から挨拶をしてもらう場をつくるのがおすすめです。いきなり挨拶もなく辞めたとなれば、銀行としては疑いが大きくなるものなので。
メインバンク
会社が銀行対応で気をつけるべき〇〇の変更、7つめ。それは、「メインバンク」の変更です。メインバンクとは、文字どおり、会社にとってメインの銀行を言います。
メインバンクの明確な定義はありませんが、表面的には「(取引銀行のうち)融資残高が一番大きい銀行」ということが少なくありません。この点で、「ある日突然、別の銀行が融資残高が一番になる」というケースには注意しましょう。
メインバンクには、メインバンクとしての自覚があるものです。融資残高一番ということにこだわりを持っているものです。
にもかからず、他の銀行に融資残高で抜かれてしまったとなると。メインバンクとしては、屈辱的なことであり、その矛先は怒りとなって会社のほうに向くこともあります。すると、当然、その銀行(元メインバンク)からの融資は受けにくくなる。会社にとっては困ったことです。
また、あまり頻繁に融資残高一番の銀行が入れ替わるようだと、どこがメインバンクかわからなくなってしまいます。銀行の側にも、メインバンクの自覚ができません。結果として、会社の状況が厳しいときに、どこの銀行も支援をしてくれない… ということが起こりえます。気をつけましょう。
まとめ
融資を受けている会社が、銀行対応するうえで。これを変更したときには気をつけるべき! ということについてお話をしてきました。
実際に変更するにあたっては、銀行対応には配慮が必要であることを覚えておきましょう。
- 商号
- 本社
- 役員
- 税理士
- 決算月
- 経理担当者
- メインバンク