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売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策

売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策

新型コロナウイルスの影響もあって、少なくない会社の売上が減っている状況にあります。

というわけで、売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策についてのお話です。

目次

他人事ではない貸し渋り・貸し剥がし

銀行から融資を受けている会社、融資を受けようとしている会社について。

会社の売上が減ると、なかなか融資が受けられなくなったり、早く返済を求められたり… いわゆる「貸し渋り・貸し剥がし」にあう、ということがあります。

でもなぜ、売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあうのでしょうか? その理由を知ることが、対策を講じるのに役立ちます。というわけで、3つの理由を押さえておきましょう↓

売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策
  1. 借入金月商倍率が悪化する
  2. 経常運転資金が減少する
  3. 将来性に不安が生じる

新型コロナウイルスの影響もあって、少なくない会社の売上が減っている状況でもあります。貸し渋り・貸し剥がしにあわないよう、対策も含めて、このあと順番に見ていきましょう。

売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策

【理由1】借入金月商倍率が悪化する

会社が「借りすぎかどうか」をはかる指標として、「借入金月商倍率」があります。その借入金月商倍率を算式であらわすと ↓

借入金月商倍率の算式

借入金月商倍率(倍) = 借入金の残高 ÷ (年間売上高 ÷ 12ヶ月)

このとおり、いまある借入金の残高を、平均月商(年間売上高 ÷ 12ヶ月)で割り算します。つまり、「借入金が月商の何ヶ月分に相当するのか」が、借入金月商倍率です。

その借入金月商倍率の値が大きくなると危険。値が小さいほど安全、との目安にされています。一般には、借入金月商倍率が3倍を超えると要注意、6倍を超えると危険、などと言われるところです。

この点で、売上が減ると借入金月商倍率が大きくなる、悪化することがわかります。銀行としても危険を感じるところでしょう。ゆえに、貸し渋り・貸し剥がしにあう理由になるわけです。

とはいえ、この借入金月商倍率には「アテにならない」ところもあります。ひとつは、会社がおカネ(現金預金)を持っているケースです。

もしも、借入金が1億円ある、でもおカネも1億円持っている会社があるとしたら。その借入金は完済しようと思えば完済できますので、借入金は無いのといっしょです。少々極端な例ではありますが、おカネがあれば、その分の借入金はないものと考えることができます。

したがって、おカネを多く持つことが、貸し渋り・貸し剥がしの対策になる。これを覚えておきましょう。借りてでもおカネを持つことには、メリットがあるということです。

また、「借りすぎかどうか」をはかる指標にはもうひとつ、「債務償還年数」があります。算式であらわすと、

債務償還年数の算式

債務償還年数(年) = 借入金の残高 ÷ (税引後利益+減価償却費)

これにより、「いまある借入金を、いまの利益ペースだと何年で完済できそうか?」がわかります。10年以内がひとつの目安であり、短ければ短いほど安全との見方です。

であるならば。たとえ売上が減少していても、利益を確保できていれば問題はない! とも言えますよね。

というように。売上が減って借入金月商倍率が悪化したとしても、「おカネを持っていること」や「利益を確保すること」が、貸し渋り・貸し剥がしへの対策になります。

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【理由2】経常運転資金が減少する

銀行融資の資金使途(借りたおカネの使いみち)に「運転資金」があります。融資にあたって、資金使途は必ず銀行から聞かれるところであり、重要なポイントです。

その運転資金をどれくらい借りられるのか? は、次の算式が目安になります↓

経常運転資金の算式

売上債権(売掛金・受取手形)+たな卸資産(在庫)ー仕入債務(買掛金・支払手形)

これは「経常運転資金」などと呼ばれるもので、会社が資金繰りをまわすために必要になる金額です。つまり…

売上債権とは、売上代金の入金を待っている金額。たな卸資産は、売れるのを待っている金額。いずれも、おカネになるのを待っている金額です。この金額が大きくなるほど、資金繰りは厳しくなります。

逆に、仕入債務は仕入代金の支払いを待ってもらっている金額。この金額が大きくなるほど、資金繰りはラクになります。

したがって、これらの売上債権・たな卸資産と仕入債務とを相殺した金額(経常運転資金)が、会社が資金繰りをまわすために必要になる金額だ、というわけです。だから、銀行も経常運転資金分の金額は「運転資金」として融資OKと考えています。

ではここで、売上が減った場合に経常運転資金はどうなるでしょうか?

ふつうは、売上が減ると売上債権やたな卸資産も減ります。売上が減ると仕入も減るので、仕入債務も減りますが、売上債権・たな卸資産ほどには減りません。

結果として、経常運転資金は、売上が減る前よりも減ったあとのほうが少なくなります。売上が減ると、経常運転資金は少なくなる。銀行が融資OKと考える金額も少なくなる。これが、貸し渋り・貸し剥がしにある理由になるわけです。

この点で、売上の減少が「一時的」ということもあるでしょう。突発的要因、季節的要因などで、一時的に売上が減る。そのタイミングだけを銀行が見ている可能性はあります。

であるならば、会社は「売上の減少が一時的であること」を銀行に説明するようにしましょう。売上計画や仕入・在庫計画を示すなどして、経常運転資金の減少が一時的あることを説明できるはずです。

一時的であることを銀行が理解すれば、貸し渋り・貸し剥がしを回避できます。銀行は、決算書や試算表といった「一時点」しか見えていない可能性がありますので、必要な情報は会社のほうから提供するようにしましょう。

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【理由3】将来性に不安が生じる

銀行が融資をするにあたって、もっとも重視しているのは「過去」です。ゆえに、決算書の良し悪しが、銀行融資に大きく影響します。決算書とあわせて、提示を要求される試算表もまた「過去」です。

銀行は、その過去を見て、「将来は過去の延長線上にあるもの」という見方をしています。だから、売上が増えていれば、将来も増えそうだという見方になる。売上が減っていれば、将来も減るかもしれないとの見方になるものです。

もちろん、将来が過去の延長線上にないことはありますが。それでも過去は過去であり、ひとつの信頼しうるデータとして、銀行は過去から将来を見ているわけです。

したがって、売上が減ると将来性に不安が生じることから、売上の減りかたによっては貸し渋り・貸し剥がしにあう理由になります。これへの対策は大きく2つです。

ひとつは、売上改善の計画を示すこと。いま、売上が減っているのであれば、どのようにして改善していくのか。原因分析にはじまり、具体的な売上増加策を計画にまとめて、銀行に説明するのがよいでしょう。銀行の不安を軽減することができるはずです。

もうひとつは、売上減少はむしろ狙いどおりだと伝えること。世の中一般に「売上増加がマル・売上減少はバツ」と考えられていますが、けしてそんなことはありません。質の悪い売上(利益率が悪い)であれば、ないほうがいいという考え方もあるはずだからです。

実際に、質の悪い売上を減らしていこうとする会社もあります。もちろん、いつもいつも減らしているのでは問題がありますが。事業を続けている過程で、一時的に、質の悪い売上を減らしていくことは有意義な取り組みだと言えるでしょう。

ですから、もし自社の状況がそれに該当するならば。銀行に対して、きちんと伝えることが大切です。銀行にもまた、「売上増加がマル・売上減少はバツ」というアタマがあります。そのような一般的な枠組みのなかでくくられてしまうことがないように、会社のほうから話をすべきだと覚えておきましょう。

まとめ

新型コロナウイルスの影響もあって、少なくない会社の売上が減っている状況にあります。

売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由を押さえておきましょう。理由を知ることが、対策を講じるのにも役立つはずです。

売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策
  1. 借入金月商倍率が悪化する
  2. 経常運転資金が減少する
  3. 将来性に不安が生じる
売上が減ると貸し渋り・貸し剥がしにあう理由とその対策

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