設備投資をするにも自己資金では厳しい…
そこで、銀行から設備資金を借りるなら。「設備投資計画」が必要だ、と言える理由について、お話をしていきます。
設備投資をするおカネが無いのなら。
会社で設備投資をしようと考えている場合。たとえば、新店舗を出店する、工場にあたらしい機械を入れる、配送用のクルマを買う、開発用のパソコンを入れ換えるとか。
でも、けっこうおカネがかかるので、自己資金では厳しい。いま手元にあるおカネでは厳しい… そこで、「そうだ、銀行から融資を受けよう!」と考えることでしょう。
というように、設備投資をするためのおカネを借りることを、「設備資金の借入」と呼びます。ここで重要になるのが、「設備投資計画」です。設備投資計画とは、文字どおり、設備投資をするにあたっての計画のこと。
端的に言えば。どんな・いくらの設備を買うのか? その設備投資をすることで、利益はどれだけ増えるのか? といったことをまとめたものが、設備投資計画になります。
設備資金の借入をしたいのであれば、その「設備投資計画」をつくりましょう。借入の申込みをする際、銀行に提示できるようにしましょう。でもなぜ、設備資金の借入をするのに、設備投資計画が必要なのか? その理由がこちらです↓
- そもそも無いと借りにくい
- 見通しが甘いと追加融資が必要になる
- 運転資金も借りるため
それではこのあと、これら3つの理由を順番に見ていきましょう。
設備資金を借りるなら設備投資計画が必要である3つの理由
【理由1】そもそも無いと借りにくい
設備資金を借りるなら設備投資計画が必要である3つの理由、1つめ。それは、「そもそも無いと借りにくいから」です。
銀行から設備資金の融資を受けようとする場合、設備投資計画を提示できれば融資を受けやすく、提示できなければ融資は受けにくくなるものと考えておきましょう。
銀行は常に、「貸したおカネを回収できるのか?」という視点で見ています。設備資金の融資であれば、設備投資による効果(利益)で、貸したおカネを返済できるのか? ということです。
この点で、設備投資計画が役立ちます。設備投資計画のなかで、じゅうぶんな利益があること、そして、じゅうぶんな利益に根拠があることがわかれば、銀行は融資をしやすくなるからです。
いっぽう、設備投資計画が無い場合。銀行としては、判断材料がありません。もちろん、ヒアリングによって補うことはできますが、「口頭」と「書類」とでは説得力に差が出るものです。
設備資金の融資をスムーズに受けたいのであれば、設備投資計画を準備するようにしましょう。設備投資の金額が大きくなるほど、設備投資計画の必要性も大きくなります。
なお、計画作成のポイントとして、「なぜいま、その設備が必要なのか?」が伝わるようにしておきましょう。
たとえば、500万円の印刷機械を買うという場合。なぜいま、なのか? 印刷物のニーズが減っていると言われるいま、なぜ印刷機械が必要なのか。また、なぜその機種でなければいけないのか。といったことを、説明できるようにしておきます。
銀行は、そもそも必要でない設備や、過剰性能の設備ではないのか? という疑いを持っているものです。その疑いを解消できると、設備資金の融資は受けやすくなります。
[ad1]【理由2】見通しが甘いと追加融資が必要になる
設備資金を借りるなら設備投資計画が必要である3つの理由、2つめ。それは、「見込みが甘いと追加融資が必要になる」からです。
設備投資計画をつくらないまま、運良く(?)設備資金の借入ができたとして。ところが、計画をつくらないがゆえの「見通しの甘さ」から、じゅうぶんな投資効果を得られなかった… としたらどうでしょう。
じゅうぶんな投資効果が得られない、つまり、じゅうぶんな利益があがらない。設備投資の借入における返済原資は、利益です。設備投資によって増えた利益が返済原資です。
結果として、設備資金の借入返済が厳しくなります。
すると会社は、銀行に追加融資を求めるしかありません。これは、「返済をするための借入」ということになりますから、銀行としては好ましくない融資です。
好ましくない融資ですから、「そもそも借りにくい」ということはありますが。それでも、なんとか借りられたとして。良かったね、では済まされないことは覚えておきましょう。
なぜなら、このように「返済をするための借入」となると、融資条件は非常に厳しいものになるからです。
具体的には、金利が高くなる、返済期間が短くなる、追加担保を要求される、など。銀行としては、回収が危ぶまれるところですから、融資条件を厳しくするのは当然だと言えます。
融資条件が厳しくなれば、会社は「負担」が増えるわけで、ますます状況が悪くなるでしょう。まさに、弱り目にたたり目です。
したがって、設備投資をするにあたっての見通しが甘いと、追加融資が必要になってしまう。追加融資を受けられたとしても融資条件は厳しくなってしまう。そうならないように、設備投資計画をつくって、見通しを立てておくようにしましょう。
[ad1]【理由3】運転資金も借りるため
設備資金を借りるなら設備投資計画が必要である3つの理由、3つめ。それは、「運転資金も借りるため」です。
設備投資をする場合、設備資金ばかりではなく、運転資金が必要になることは少なくありません。運転資金とは、設備資金以外にかかるおカネのこと。
たとえば、設備投資によって売上が増える場合、「売上代金の回収」までに1ヶ月かかるとします。では、その手前で、「材料の仕入代金」や「設備を動かすための人件費」の支払いが必要だとしたらどうでしょう?
手元のおカネが不足すれば、支払いができなくなってしまいます。そうならないように借りるおカネが「運転資金」です。
にもかかわらず、設備資金だけを借りて、運転資金を借り忘れてしまう会社があります。だいじな運転資金を借り忘れることがないように、そして、いくらの運転資金を借りればいいか把握するために、設備投資計画をつくりましょう。
また、忘れてはいないとしても、設備投資計画無しに運転資金を借りるのは難しいものです。設備資金だけを見ていても、どれだけの運転資金が必要になるかはわかりません。銀行が、運転資金の必要性を理解できるように、設備投資計画をつくりましょう。
具体的には、向こう1年ていどの資金繰り計画表をつくることです。そのなかで、「売上代金の回収」や「材料の仕入代金」「設備を動かすための人件費」などを明らかにしていきます。
設備投資は必ずしも、見込みどおりの成果をあげられるわけではないものです。そのときのことも考えて、「設備資金+運転資金」の借入をしておくのがよいでしょう。
ちなみに、設備資金を余分に借りておく、というのはいけません。ほんとうは 300万円の設備投資なのに、設備資金として 500万円を借りる。余った 200万円を運転資金につかう。これは、「資金使途違反」と呼ばれ、厳しいペナルティを受けることになります。
まとめ
設備投資をするにも自己資金では厳しい…
そこで、銀行から設備資金を借りるなら。「設備投資計画」が必要だ、と言える理由を理解しておきましょう。結果として、有意義な設備投資につながるはずです。
- そもそも無いと借りにくい
- 見通しが甘いと追加融資が必要になる
- 運転資金も借りるため