コーヒーをハンドドリップするときに、ペーパーフィルターをリンスするかしないか。長く論争は続いているようですが。
どっちでもいいんじゃね? ということで、「リンスする良さ」と「リンスしない良さ」についてお話をしていきます。
いまなお続く、千日戦争の行く末やいかに。
コーヒー好きが高じて、自家焙煎までいった税理士のモロトメジョーです。よくわかりませんが、とりあえず自己紹介をしておきました。
コーヒーに関する記事は、当ブログでもこれまでいろいろと書いておりますが。今回のテーマは「ペーパーフィルター」です。
具体的には、ペーパーフィルターを「リンスする良さ vs リンスしない良さ」について。ちなみに、ここで言う「リンス」とは、「湯通し」のことです。髪を洗うシャンプーとは、まったくの無関係になります。
それはそれとして。コーヒーをハンドドリップするようになって知ったことですが、ペーパーフィルターを「リンスするか、しないか」は長く論争が続いているようです。しかも、絶対的な正解はなく、いわば「千日戦争」状態。
リンスしたほうが美味いっ! いいや、リンスしないのが正統だっ! みたいな。
そんな争いをいろいろ眺めつつ、実際に検証(淹れ比べ・飲み比べ)もした結果。どっちでもいいんじゃね? リンスするのもしないのも、双方それぞれに良さがあるんじゃね? という結論に落ち着きました。
というわけで。コーヒーのペーパーフィルターを「リンスする良さ」と「リンスしない良さ」とをまとめてみることにします。これを見て、あなたのコーヒーライフにいっそう楽しさが増すようであれば幸いです。
それでは、いきましょう!
コーヒーのペーパーフィルターをリンスする良さ
まずは、「リンスする」ほうの良さから見ていきます。
紙臭を取り除ける
その昔、ペーパーフィルターのなかには「塩素で漂白」しているものがあったらしく。ニオイがちとキツかったためにリンスする、というのがそもそものはじまりだと言われています。
わたし自身は、塩素で漂白されたフィルターをつかったことはなく。もっとも、いまもまだそのようなフィルターがあるのかどうかは不明ですが。思うに、無さそうですよね。
それでも、根強くリンス派が残るのは、ペーパーフィルターゆえの「紙臭」に理由があります。たしかに、ニオイを嗅いでみると「紙臭」はしますよね。だって紙だもの、そりゃします。
では、リンスするとどうなるか? 紙臭は軽減されます。なので、わたしも以前は、基本的にリンスをしていました。というわけで、紙臭を取り除けるのは、リンスする良さのひとつでしょう。
ただ。リンスなしのペーパーフィルターでドリップしたあと、そのコーヒーから紙臭を感じるか? と言えば、わたしは感じません。いちぶの敏感な方を除いて、多くの人は感じないのでは? と思う。
言うまでもなく、コーヒー臭に比べたら、紙臭はだいぶ弱いからです。いやいや、「コーヒー臭」という言い方はよくありませんね。なんだかマズそうです。「コーヒーの香り」に訂正。
クリアな味わいになる
リンスをすると、当然ながらペーパーフィルターは「水(湯)」を吸い込むことになります。
この吸い込んだ水分が「膜」となり、もうひとつの「フィルター」の役割を果たす。結果として、よりクリアな味わいのコーヒーが抽出されると言われています。
って、ほんとうに「膜」になるのかね? と思われるかもしれませんが。コーヒー豆には油分が含まれます。いわゆる「コーヒーオイル」です。ここで、水と油の「関係性」に注目してみましょう。
水と油ははじきあう、のでしたよね。したがって、水の膜によってコーヒーオイルは透過しづらくなります。オイルと同じように、そのほかにも透過しづらい成分(雑味とか)があると考えれば…
なるほど! クリアな味わいになるではないか。と、アタマでは理解できるところです。アタマでは。じゃあ、実際にほんとうにクリアな味わいを体験できるのか? ということで検証をしてみました。
コスタリカはベジャビスタ農園のシングルオリジン。深入りで焙煎後 12時間経過(←早く飲みすぎw)の豆をつかって。
結果は… リンスありのほうが、より「酸味」が強く出ました。妻と2人で検証しましたので、わたし個人の「気のせい」ではないことを祈ります。
ポイントは、クリアかどうかはともかく「違い」は出る、ということです。あとは、好みの問題かと思います。じぶんで実際に淹れ比べ・飲み比べてみて、どっちがいいか試してみるのも楽しいのではないでしょうか。
ドリッパーが温まる
ドリッパーにペーパーフィルターをセットした状態でリンスをすれば、ドリッパーが「温まる」という効果があります。これも、リンスをする良さのひとつです。
同じお湯でドリップしても、ドリッパーの材質によって、出来上がるコーヒーの温度は変わります。たとえば、陶器のドリッパーはそのままだと、プラスチックのドリッパーに比べて、コーヒーの温度が下がります。
陶器のほうが熱を奪いやすいから、ですね。寒い冬場などはとくに、陶器のドリッパーは温めてからつかう。というのは、鉄則とされています。
そうしないと、思ったよりも「ぬるいコーヒー」になってしまう… また、抽出時の湯温が下がれば、味にも影響が出ます。湯温が低すぎれば、コーヒーの成分をじゅうぶんに抽出できないこともあるでしょう。
とはいえ、リンスと同時に温める必要はないわけで。ドリッパー単独で、温めればいいだけのハナシではあります。
コーヒーのペーパーフィルターをリンスしない良さ
続いて、リンスしない良さを見ていきます。
ガスの抜けが良くなる
ハンドドリップでコーヒーを抽出するときには、「蒸らし」が重要になります。というのは、広く知られているところでしょう。
まず、少量の湯を注いだら、しばらく待つ。諸説ありますが、数十秒から1分くらい。ではなぜ、「蒸らし」が重要になるのか? それは、コーヒー豆のなかに含まれるガスを抜いて、コーヒーの成分を抽出しやすくするためです。
コーヒー豆には、目には見えませんが、たくさんの穴が空いています。その穴のなかにはガスが含まれており、いきなり大量のお湯を注いでもガスが穴を塞いでいるために表面積が狭く、じゅうぶんな抽出ができない、というわけです。
そこで、しばらく蒸らすことでガス抜きをします。この点で、リンスをしたペーパーフィルターだと、その水分でドリッパーと「密着」しがちです。すると、「側面」からのガス抜きが難しくなります。
いっぽう、リンスをしていないペーパーフィルターの場合、ドリッパーとペーパーフィルターとのあいだに「すき間」が多くなるため、「側面」からも効率的にガス抜きが可能です。
実際、リンスをしたペーパーフィルターだと、側面からのガス抜きがしにくい分、上部からのガス抜きになるため、表面に気泡がボコボコと多くなるようすが確認できます。
というように。リンスをするのに比べて、コーヒー豆の成分をより抽出できると考えれば、それはリンスをしない良さだと言えるでしょう。
過抽出を防げる
リンスをした場合、ペーパーフィルターには「すでに」水分が含まれている状態で、コーヒー豆を投入することになります。結果、コーヒー豆を投入した瞬間から、抽出ははじまっている。
これに対して、リンスをしていない場合。コーヒー豆を投入する時点では、ペーパーフィルターに水分はありません。湯を入れるまで、抽出ははじまりません。
この差が、過抽出につながると考えるのであれば。リンスはしないほうがいい、と言えるところです。
過抽出、つまり、抽出し過ぎることのデメリットは「苦味や雑味」になります。コーヒー豆は、過抽出になると、苦味が増して、エグみのような雑味が増してしまうのです。
いやいや、ペーパーフィルターに含まれる水分なんてわずかなものだろう。それによる抽出の時間なんて微々たるものだろう。と、思われるかもしれません。わたしも思います。
けれども、コーヒー豆が「想像以上に繊細」であるのは間違いありません。
多かれ少なかれ、ペーパーフィルターをリンスしたことによる抽出の影響はあるでしょう。その影響もふまえて、いかにドリップするか? は、腕の見せどころであり、楽しさでもあります。
豆の特徴がよりわかる
さきほど、リンスする良さとして、「クリアな味わい」を挙げました。逆に、リンスしないと「豆の特徴」がよりわかる、という良さがあります。
リンスをすると、水の膜がフィルターを果たすことで、味わいがよりクリアになる。いっぽうで、リンスをしない場合には、水の膜はなく。豆の成分をよりストレートに抽出することができます。
これにより、それぞれの豆が持つ特徴がよりわかる。より味わうことができる。というのは、リンスをしない良さのひとつでしょう。
もっとも、豆の成分には良いもの(美味いもの)もあれば、悪いもの(マズいもの)もありますから。そういう意味では、諸刃の剣だとも言えますが。
ちなみに、より豆の特徴を味わいたいのであれば、ペーパーフィルターではなく「金属フィルター」もおすすめです。ペーパーフィルターでは抽出しにくい、コーヒーオイルでトロっとしたコーヒーを味わえます。
そのあたり、コーヒーグッズを紹介するこちらの記事もどうぞ↓
まとめ
コーヒーをハンドドリップするときに、ペーパーフィルターをリンスすするかしないか。長く論争は続いているようですが。
双方それぞれに良さがあり、じぶんの好みで、ケースバイケースで、良さを活かして使い分けるのが良いのではないでしょうか。
ちなみに。わたしは以前は「リンス派」、いまは「基本、リンスしない派」です。