創業2期めの銀行融資が、実は難しかったりもします。というわけで、その理由と事前策についてのお話です。
後悔する前に、事前策。
創業2期め、いよいよこれから! というときには、おカネが必要になるものです。売上が伸びはじめると、仕入が増えたり、人手が必要になったり、おカネが必要になります。
そこで、「銀行から融資を受けよう」と考えるわけですが。創業2期めの銀行融資が、実は難しかったりもします。その理由は、次の3つです↓
- 赤字または利益が不十分
- おカネがない
- 融資実績がない
これらの理由によって、後悔することがないように。事前に策を講じることが大切です。順番に確認をしていきましょう。
創業2期めの銀行融資が難しい理由と事前策
【理由1】赤字または利益が不十分
銀行融資の審査では、「決算書」が大きなウエイトを占めます。つまり、決算書の内容が良ければ、融資が受けやすく、決算書の内容が悪ければ、融資は受けにくい。
この点で、創業2期めに融資を受けようとすると、審査の対象になるのは「1期め」の決算書です。では、その1期めの決算書の内容はどうなのか?
まずは、「赤字」のケースがあります。創業後しばらく、売上が伸びはじめるまでに時間がかかることは少なくありません。結果として、1期めを「通期」で見ると、赤字になるケースは多いのです。
赤字の「実績」が決算書に刻まれると、どうしても融資は受けにくくなります。返済原資は「利益」であり、利益のない会社は返済ができない。ゆえに貸せない、というのが銀行の考え方だからです。
また、黒字ではあるけれど「不十分」というケースもあります。1期めから好調な会社では、決算日が近づき、多額の納税が必要になるとわかると、経費を増やして利益を減らしてしまうことがあるのです。
すると、その分だけ融資は受けにくくなります。繰り返しになりますが、返済原資は利益だからです。
したがって、きちんと利益を出す。とくに、出せる利益は惜しまずに出すことが大切になります。が、売上が伸びるまでに時間がかかる場合には、なかなか利益が出ないこともあるでしょう。
事前策としては、創業時点、あるいは創業後なるべく早く、創業融資を受けることです。赤字の実績が出る前であれば、いくつかの要件(自己資金・経歴・事業計画など)を満たすことで融資は受けられます。
また、創業融資を受ける際に銀行に提示する事業計画(数値計画)と、実績との差異が大きくなければ、2回めの融資を受けることも可能です。
逆に、計画と実績の差異が大きいようだと、2回めの融資は受けにくくなります。ですから、創業融資を受けるときにつくる計画書には、「大きな数字」を書きすぎないのポイントです。
【理由2】おカネがない
さきほど、1期めは「赤字」になりやすい、という話をしました。赤字とは、「利益がない」ということですが。「利益がない」ということは、「おカネがない」ということにもつながります。
おカネがない会社もまた、銀行融資が受けにくくなることを覚えておきましょう。おカネがないから借りるのではないのか? と考えている社長がいますが、銀行融資に関して言えば間違いです。
銀行は、おカネのない会社を嫌います。言うまでもなく、返済に不安を感じるからです。逆に、少々赤字でも、おカネがある会社は融資を受けられたりします。しばらくのあいだは、返済ができるからです。
したがって、できるだけ手元におカネを残しておくことが、銀行融資をスムーズに受けるコツになります。事前策としては、やはり、創業融資を受けること。創業融資を受けて、自己資金は温存しておくことです。
借金を嫌って、「できるだけ自己資金で」と考える社長がいます。ですが、おカネが足りず、融資も受けられず、会社をつぶしてしまうのでは元も子もありません。
もし使わずにすめば、そのときは返済すればいい。そのように考えて、なにはともあれ創業融資を受けておくことをおすすめします。支払う利息は、いざというときのための「保険料」と考えましょう。
なお、創業融資を受けたはいいが、「資金使途違反」をしてしまう会社があります。たとえば、運転資金(仕入代金や経費を支払うためのおカネ)として融資を受けたのに、設備購入をしてしまう…とか。
会社におカネが余っているからと、社長に貸し付けてしまうケースもありますが、これもアウトです。これらは約束違反であり、2回めの融資が受けられなくなってしまいます。
すると、会社は必要なおカネを確保することができずに、困ったことになるでしょう。うっかり資金使途違反をしないように、気をつけなければいけません。
[ad1]【理由3】融資実績がない
銀行は融資審査の際、決算書とは別に、「融資実績」を重視しています。融資を受けたことがあるかどうか? どれくらいの金額の融資を受けたことがあるか? という実績です。
もし、過去に 1,000万円の融資を受けたことがあり、毎年 200万円ずつ、遅れなく返済を続けているとしたら。銀行は、その実績を評価します。つまり、「1,000万円までなら貸してもだいじょうぶだろう」と考えるわけです。
したがって、返済が済んだ分の金額を借り直す融資というのは、比較的借りやすい融資だと言えます。この点で、2回めの融資は「実績」があるだけに、実績がない場合よりも借りやすいのです。
創業時に融資を受けず、創業2期めに融資を受けようとすると、実績がないことがネックになります。逆に、創業時に融資を受けていれば、その実績が、2回めの融資をあと押しする材料になるものです。
2回めの融資をスムーズに受けるためにも、創業融資は受けておいたほうがいいと言えるでしょう。
なお、創業融資を受けるのであれば、まずは、日本政策金融公庫がおすすめです。公的な金融機関であり、民間銀行よりも融資が受けやすく、社長の連帯保証を必要としないのもメリットです。
日本政策金融公庫で創業融資を受けることができたら、民間銀行(おすすめは最寄りの信用金庫)にも創業融資を申し込みをしてみましょう。日本政策金融公庫で融資を受けた実績が活きます。
この流れをよりスムーズにするために、日本政策金融公庫の融資金の入金・返済口座を、「融資の申し込みをする民間銀行」に指定するのがおすすめです(日本政策金融公庫には預金機能がなく、口座をつくれないので、どこかの銀行口座を指定しなければいけません)。
民間銀行としては、日本政策金融公庫から融資を受けている・返済をしている実績がわかりますし、預金があれば安心感にもつながります。
まとめ
創業2期めの銀行融資が、実は難しかったりもします。
というわけで、その理由と事前策についてお話をしてきました。結論としては、なるべく早い段階で「創業融資」を受けておくことです。利益も大切ですが、おカネはもっと大切。創業後しばらくはとくに、です。
- 赤字または利益が不十分
- おカネがない
- 融資実績がない