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無借金経営を目指す≠無借金経営を続ける

無借金経営を目指す≠無借金経営を続ける

無借金経営ができるのは、すばらしいことです。

けれども、「無借金経営を目指す」のと「無借金経営を続ける」のとはまったくの別モノ。という、お話をしていきます。

目次

無借金経営はすばらしい

無借金経営を目指しましょう、というハナシがあります。これを聞いて、その瞬間から「無借金経営をはじめよう」と考えるのであれば気をつけましょう。

なぜなら、「無借金経営を目指す」のと「無借金経営を続ける」のとは、まったくの別モノだからです。

たしかに、無借金経営ができるのは、すばらしいことではあります。が、無借金経営にはまだ早いのに、ムリをして苦労をしている社長がいるのも事実です。

というわけで。「無借金経営を目指す」のと「無借金経営を続ける」のとを、同じに見てしまっている場合に起きる問題と、その解決策についてお話をしてみます。

本記事のお話の内容
  • 【問題】はじめから無借金で起きること
  • 【問題】無借金を続けていると起きること
  • 【解決策】無借金をめざして、いまは借金するということ

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

【問題】はじめから無借金で起きること

はじめから、つまり、起業のときから無借金経営を目指そうとする社長がいます。自己資金だけで、起業をしようとする社長です。ところが、その自己資金は多くの場合、「限られた金額」になるでしょう。

その結果、まもなくおカネが足りなくなる… というケースが少なくありません。起業後しばらくは、「想像を超えて」売上が伸び悩むものだからです。

もちろん、例外はありますが、どちらかと言えば少数派でしょう。なので、多くの場合、少ない自己資金がアダとなり、資金繰りに苦しむことになります。そこで、「借金」です。

まずは、銀行から融資を受けようと考えます。しかし、売上が伸び悩んでいることを知った銀行は、融資をしたいとは考えないでしょう。ぜったいに借りられないわけではないものの、断られる確率は高く、借りられたとしても、借りるまでに時間がかかったり、金額が少なかったりが多くなります。

ではもし、借りられなかったらどうするか? 身内にアタマを下げることになるかもしれません。親兄弟、その他親戚、友人など。想像するだけでも、ツラいものだとわかるでしょう。

それでも借りることができなければ、さいごは、サラ金・街金・ヤミ金の世界です。ここまで踏み込むと、まずもって「挽回」は難しくなります。商売の利益率に対して、圧倒的に金利が高いからです。

では、どうするか? はじめから無借金ではなく、はじめは借金をすることです。ちなみに、ここで言う借金は「銀行融資」に限られます。

起業に関しては、公的金融機関である日本政策金融公庫が、「創業融資」を積極的に実行していることを覚えておきましょう。売上が伸び悩んでからでは困難ですが、起業前・起業直後であれば、借りやすいのが創業融資になります。

起業を決めた以上、社長には「熱意」と「能力」があるはずです。おカネがあって、売上が安定するまでの時間をかせぐことができれば、事業を継続・成長させることができるはずです。

にもかかわらず、無借金ではじめたばかりに、おカネが足りず、会社をつぶしてしまうのは残念なことだと言えます。あともう少しおカネがあれば… はじめにおカネを借りておけば… という後悔はないようにしましょう。

【問題】無借金を続けていると起きること

ムリをしてでも無借金を続けようとする社長がいます。創業以来、おカネを借りたことがない。借りたおカネも繰り上げ返済をした、という社長です。

いっぽうで、手元の預金はカツカツ。場合によっては、仕入代金の支払や経費の支払が遅れている。税金や社会保険料を滞納している、ということさえあります。

結果、社長は「目先の資金繰り」に、身体も心も奪われてしまう。おカネの算段に時間をとられ、いつもおカネの悩みを抱えながら過ごしている。これまた、想像するだけでもツラいものだとわかります。

ツラいだけではすみません。資金繰りばかりしなければならない社長は、「社長がすべき仕事」ができなくなります。社長がすべき仕事とは、言うまでもなく「経営」です。

中小企業にあってはとくに、社長に代わって経営を任せられるような人材はありません。社長が経営の仕事をできなければ、経営は「放置」になってしまう。すると、ますます状況は悪化します。

経営改善ができないものだから、利益が伸び悩む・利益が落ち込む。利益が減れば、おカネも減る。ますます資金繰りが厳しくなる… という悪循環です。

ここでようやく「借金」を考えても、ときすでに遅し。経営の状態も悪い、財務の状態も悪い会社を見れば、銀行はなかなかおカネを貸しません。

銀行がおカネを貸すのは、利益を出している会社、おカネがある会社です。銀行は、けして「人助け」でおカネを貸すことはありません。「商売」で貸していることを理解しておきましょう。

銀行がムリなら、親兄弟、親戚、友人となるわけですが。状態が悪いだけに、返せる見込みが小さな借金になります。約束どおりに返済できないとなれば、おカネよりもだいじなものを失うことになるでしょう。

だからと言って、サラ金・街金・ヤミ金に手を出してはいけないのは、言うまでもありません。

こういった事態を避けるためには、ムリをしてまで無借金を続けようとしないことです。借りてでもおカネを持っていれば、繰り上げ返済をせずにおカネを持っていれば、社長は社長の仕事に集中できます。

経営が良くなれば、利益が増える、おカネも増える。社長は資金繰りの心配をせずに、ますます経営に集中できるから、ますます利益が増える、おカネも増える。好循環です。

【解決策】無借金をめざして、いまは借金するということ

ここまで、「はじめから無借金で起きる問題」と「無借金を続けていると起きる問題」を見てきました。これらの問題をふまえて、おすすめするのは「無借金経営をゴールとして位置づける」ことです。

これに対して、ゴールを目指す「道のり」においてまで無借金経営を位置づけると、経営や財務に悪い影響を与えかねない。これは、お話をしてきたとおりです。

無借金経営というゴールにたどりつくために、はじめから無借金であり続ける必要はありません。

「さいごは無借金」を目指して、いまは必要な借金をしながら進む道もあります。実は、そのほうが「近道・ラクな道」ということはあるものです。

「無借金経営を目指す」のと「無借金経営を続ける」のとは、まったくの別モノであることを理解しておきましょう。

まとめ

無借金経営ができるのは、すばらしいことです。

けれども、「無借金経営を目指す」のと「無借金経営を続ける」のとは、まったくの別モノであることを理解しておきましょう。同じに見てしまうと、苦しい経営・苦しい財務に陥ることがあります。

本記事のお話の内容
  • 【問題】はじめから無借金で起きること
  • 【問題】無借金を続けていると起きること
  • 【解決策】無借金をめざして、いまは借金するということ
無借金経営を目指す≠無借金経営を続ける

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