賞与の支払や納税について、手元のおカネで支払うのがあたりまえではありません。
あえて、銀行から短期融資を受けて支払うことにはメリットがありますよ。という、お話をしていきます。
あたりまえじゃねぇからな。
会社が賞与の支払や納税をするとき、手元のおカネ(現金預金)で支払うのがあたりまえだ。と、思ってはいませんか? たしかに、そういう会社がほとんどですが。あたりまえではありません。
なぜなら、賞与の支払や納税であれば、銀行から短期融資(返済期間1年以内)を受けることもできるからです。
これを聞いて、「いやいや、わざわざ利息を払ってまで借りるだなんてもったいない。しかも短期だなんて意味がない」と思われるかもしれません。ですが、わざわざ利息を払うだけのメリットはある、短期であっても借りるメリットがあることは理解しておきましょう。
というわけで、おもなメリットがこちらになります↓
- 資金繰りがラクになる
- プロパー融資が受けられる
- 業績好調をアピールできる
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
賞与支払・納税のために短期融資をあえて受けるメリット3選
【メリット1】資金繰りがラクになる
賞与支払・納税のために短期融資をあえて受けるメリット、1つめ。それは、「資金繰りがラクになる」です。
ここで言う「短期融資」とは、返済期日が1年以内で、分割返済または期日一括返済の融資になります。賞与支払や納税のために、銀行から短期融資を受けることが可能です。
では、賞与や税金を手元のおカネで支払うと、なにが起きるのか? 言うまでもなく、手元のおカネが「急激」に少なくなります。これにより、資金繰りを厳しくしている会社はあるものです。
これに対して、短期融資を受けるのであれば、手元のおカネが急激に減るのを抑えることができます(分割返済の場合には、賞与や税金を分割払いするイメージです)。
賞与や税金を支払うタイミングでは、手元にじゅうぶんなおカネがないこともあるでしょう。たとえば、決算日直前に大きな売上があって、納税額が大きくなるケース。納税期限よりも売上入金があとになると、資金繰りはとても厳しくなります。
また、いつなにが起きるかはわかりませんので(最近だと新型コロナ)、できるだけ手元のおカネを増やしておくことは、会社を守るためにはだいじなことです。
そこで、「借りる理由があるとき」には、あえて借りておく。借りることで、手元のおカネを減らさないようにしておく。という方法も、選択肢のなかに加えておきましょう。
あとになって資金繰りが厳しくなってから、「あのときの賞与、あのときの納税」のために融資を受けることはできません。融資を受けるのにはタイミングがあります。
借りられるときに借りる、これは銀行融資の鉄則です。
【メリット2】プロパー融資が受けられる
銀行融資には大きく分けて2つあります。信用保証協会の保証付き融資と、プロパー融資です。
このうち、信用保証協会の保証付き融資とは。会社が返済できなくなった場合に、信用保証協会が返済を肩代わりしてくれる融資です。銀行にとってはリスクが小さい融資であり、貸しやすい融資になります。
いっぽう、プロパー融資とは。信用保証協会の保証がない融資です。ゆえに、銀行にとってはリスクが大きい融資であり、銀行にとっては貸しにくい融資になります。
結果、銀行は「保証付き融資で貸したい」と考えるわけですが。会社にとっては、保証付き融資には「限度(上限)」もあるうえに、信用保証料の支払いも必要です。
借りやすくはありますが、借りやすいからこそ、いざというとき(業績悪化時)のために温存しておきたいものでもあります。なので、できればプロパー融資で借りるべきです。
とはいえ、銀行はプロパー融資に慎重ですから、そうかんたんにはいきません。
そこで、賞与支払や納税のための短期融資です。短期であれば、銀行にとってはリスクが小さくなりますから(長期になるほど返済できない可能性が高まる)、貸しやすい。
また、賞与や税金という「使いみち」がはっきりしていることも、貸やすさにつながります。これが、「運転資金(売掛金+棚卸資産ー買掛金)を借りたい」となると、銀行も精査が必要です。
というわけで、賞与支払や納税のための融資は、銀行にとって貸しやすい。であるならば、会社は「プロパー融資でお願いします」とも言いやすくなるはずです。
ちなみに。会社がなにも言わないのに、銀行のほうからプロパー融資を提案してくれるケースはないものと考えておきましょう。繰り返しになりますが、プロパー融資は銀行にとってリスクがあるからです。
なお、いちどプロパー融資を受けることができると、それが実績となり、次はさらに大きな金額・さらに長期のプロパー融資が受けやすくなります。
銀行融資は、実績を重ねることで、より大きな金額・より有利な融資条件で借りられるようになるものです。賞与支払や納税を、「実績づくりのチャンス」と考えてみましょう。
【メリット3】業績好調をアピールできる
賞与支払・納税のために短期融資をあえて受けるメリット、3つめ。それは、「業績好調をアピールできる」です。
銀行は、「業績好調」な会社を好みます。逆に、業績不調の会社を好みません。おカネがないことが多く、融資をするにも返済に不安を感じるからです。
したがって、会社はいつでも「業績好調」であることが、銀行融資においてはだいじなポイントになります。とはいえ、いつもいつも業績がよいときばかりではありません。
だからこそ、業績好調をアピールすること、業績好調をイメージづけることもだいじになります。賞与支払や納税は、そのチャンスにもなるものです。
賞与を支払うことができるのは、業績が好調だからこそ。たとえ、いまちょっと業績が低迷していても賞与を支払うことができるのは、業績の回復を見込んでいるからこそです。
また、納税をするのは、利益があるからにほかなりません。納税は、業績好調の証です。
銀行は、業績好調な会社に融資をして、お付き合いを深めたいと考えています。その会社がさらに業績を伸ばすことで、さらに融資を増やしていきたいと考えています。
ですから、銀行に「融資を増やしたい」と思われるよう、業績好調をアピールしていきましょう。この点で、賞与支払・納税のために融資を受けることは、よいアピールにもなるはずです。
なお、融資を受けるのであれば、毎回同じ銀行のほうがよいものと考えます。融資を受けるたびに実績が積み上がりますので、少々業績が悪化したときなどでも、融資に応じてもらいやすくなるからです。
業績が厳しいけれど、賞与の支払をせざるをえない… ということもあるでしょう。そういったときには、実績がない銀行よりも、実績がある銀行からのほうが、融資を受けやすいものです。
まとめ
賞与の支払や納税について、手元のおカネで支払うのがあたりまえではありません。あえて、銀行から短期融資を受けて支払うことにはメリットがあります。
利息がもったいない、短期なんて意味がない。とばかりを考えず、メリットにも目を向けてみましょう。
- 資金繰りがラクになる
- プロパー融資が受けられる
- 業績好調をアピールできる