こんな銀行とは縁を切ってやる! というのも、1つの選択ではありますが。それでも、やめておいたほうがよいだろうという事例について、お話をしていきます。
たしかに、1つの選択ではあるけれど。
会社が銀行とお付き合いをしていると、「こんな銀行とは縁を切ってやる!」と考えることがあるかもしれません。
いままでは融資を受けていたけれど、今後はもう、融資を受けない。というよりも、むしろ。いますぐにでも、借りているおカネは返済して、関係性を切ってしまいたい。といったケースです。
たしかに、それはそれで1つの選択ではありますが。それでも、やめておいたほうがよいだろうという事例について、お話をしていきます。次の3つです↓
- 担当者・支店長がイヤだ
- 一行取引になる
- 取引不調の原因がつかめていない
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
こんな銀行とは縁を切ってやる!がダメな事例3選
【事例1】担当者・支店長がイヤだ
銀行担当者が気に食わない、支店長と合わない。だから、こんな銀行とは縁を切ってやる。という話は、ちょくちょく見聞きします。が、そいういう理由であれば、やめておいたほうがよいでしょう。
なぜなら、また同じようなことは起きるからです。
A銀行とのお付き合いをやめて、今後はB銀行とお付き合いをするとします。B銀行の担当者も支店長も、すごくよい人たちだ。としても、数年後には替わります。銀行には定期的な異動があるからです。
A銀行についても、同じことが言えます。いまは、担当者や支店長と合わないとしても、数年後には別の人に替わるわけです。こんどは、よい人たちにめぐりあえるかもしれません。
ということですから、担当者がイヤだから、支店長がイヤだからといって、お付き合いする銀行を替えているのではキリがありません。そんなことばかりしていると、お付き合いする銀行がなくなってしまいます。
ですから、少々イヤだとしても、縁を切るまではしないようにしましょう。イヤなら、その担当者・支店長が替わるまでのあいだは、できるだけかかわらないようにすればすむ話です。
いま借りているおカネは、繰り上げ返済してスッキリしたい。と、考える社長もいますが。そこまではせず、約束どおりに粛々と返済を続けていくのがおすすめです。
それであれば、いつか担当者・支店長が替わったときにでも、またお付き合いをあたためなおすこともできます。いっぽうで、繰り上げ返済となると、関係は切れてしまいますし、けんか腰にも映るものです。
もちろん、これは腹に据えかねる!という状況もあるでしょう。ときおり、「そんなひどい話があるのか?」という話は見聞きします。ただ、そんなときにでも、まずは冷静に。
担当者がひどいのであれば、支店長に相談をしてみる。支店長がひどいのであれば、本店のお客様相談室(意見・苦情を受け付ける窓口)を利用してみる。そこでさえも、けんか腰は避けましょう。
あくまで「相談」の姿勢で望むこと、関係性を持続する前提で改善を求めることです。
[ad1]【事例2】一行取引になる
ひとつの銀行からしか融資を受けていないことを「一行取引(いっこうとりひき)」と呼びます。銀行融資を必要とする会社であれば、一行取引には気をつけなければいけません。
なぜなら、業績悪化時に困ります。もし、その銀行に融資を断られた場合、ほかに選択肢がありません。そこから、ほかの銀行をあたったとしても、やはり断られることが多くなるでしょう。
すでに業績が悪化して、返済に不安があるうえに、既存の取引銀行に見切られたことが「見え見え」だからです。だったら、ウチだって貸せない。と、ほかの銀行は考えるでしょう。
また、一行取引の場合、融資条件が銀行の「言い値」になってしまいがちです。銀行としては、競争相手がいない状態になりますから、必要以上に金利が高い・必要以上に担保や保証をとられる、といったことが起こります。
逆に、複数の銀行とお付き合いをしていれば、融資を受ける際の選択肢が広がりますし、融資条件も「相見積もり」で競争させることが可能です。ゆえに、複数の銀行と取引できるのが望ましい状況になります。
ところが、銀行と縁を切ることによって、一行取引になってしまう。これは、いけません。
たとえば、これまではA銀行とB銀行から融資を受けていました。そこにC銀行があらわれて、融資提案がありました。とてもよい融資条件で、A銀行とB銀行の融資もまとめて、C銀行で借り換える。
すると、今後はC銀行との一行取引になります。C銀行はよい銀行だからだいじょうぶ、と思われるかもしれませんが。将来はどうなるかわかりません。会社の業績が傾けば、手のひら返しもありえます。
A銀行やB銀行であれば、業績が悪いときでも話を聞いてくれたのに… と嘆くのでは遅すぎます。ですから、縁を切った結果、一行取引になるようなケースには、じゅうぶん気をつけましょう。
[ad1]【事例3】取引不調の原因がつかめていない
ある銀行に融資を依頼したら、断られた。その断りかたが気に食わないので、もう縁を切ってやる! というのも、見聞きするケースです。ここで注意すべきは、「なぜ断られたのか?」になります。
たとえば、断られた原因が「業績が悪い」ということであれば、ほかの銀行に行ったところで、結果は同じようなものになるでしょう。業績以外にも、すべての銀行に共通して断られる原因になるものはあります(担保不足や信用情報の問題など)。
これに対して、その銀行特有の原因で断られたのだとすれば、ほかの銀行から融資を受けることはできるかもしれません。たとえば、担当者と大げんかをしたとか、プロパー融資で資金使途違反をしたとか。
したがって、融資を断られた原因を確認することが大切です。直接聞けば教えてくれるときもあれば、お茶をにごして教えてくれないこともあります。そのときは、「推測」できるかどうかです。
原因を確認できない、推測もできない、となると。縁を切るのは、やめておいたほうがよいでしょう。将来的には、融資を受けられる可能性があります。
なお、ふだんのコミュニケーションが原因、というケースにも注意が必要です。担当者が会社に来ても、社長が会おうとしない。期の途中で、試算表を提示することもない。
そのくせ、融資が必要になると、一方的に担当者を呼びつける。これでは、銀行から嫌われたとしてもおかしくありません。結果、融資が受けられない・受けにくくなるのはありうることです。
融資を断られたり、銀行の態度が冷たいなどというのであれば。ふだんのコミュニケーションに原因があるのではないか、自社のコミュニケーションに原因があるのではないか、も疑ってみましょう。
まとめ
こんな銀行とは縁を切ってやる! というのも、1つの選択ではありますが。それでも、やめておいたほうがよいだろうという事例については押さえておきましょう。
縁を切ったのちに後悔をしても、あとの祭りです。
- 担当者・支店長がイヤだ
- 一行取引になる
- 取引不調の原因がつかめていない