会社が受けられる銀行融資のひとつ、制度融資。保証付き融資との違い、メリット・デメリット・利用の流れなどについて、お話をしていきます。
制度融資ってなんだっけ。
会社が銀行から融資を受ける場合、いろいろな「かたち」がありますが。そのうちのひとつが、「制度融資」です。といっても、「制度融資」ってなに? と思われるかもしれません。
また、聞いたことはあるけれど、いまいちよくわかっていない… ということもあるでしょう。そこで、制度融資について、次のようなお話をしていきます↓
- 制度融資とは(保証付き融資との違い)
- 制度融資のメリット・デメリット
- 制度融資の利用の流れ
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
制度融資とは(保証付き融資との違い)
制度融資とは、銀行と信用保証協会、自治体の3者がいっしょになっておこなう融資を言います。
信用保証協会というと、いわゆる「保証付き融資」をイメージするかもしれませんが。保証付き融資との違いは、制度融資ではさらに「自治体」がかかわるという部分です。
つまり、制度融資とは「保証付き融資+自治体」とイメージしておくとよいでしょう。
なお、ここでいう自治体は大きく2つに分かれます。「都道府県」と「市区町村」です。つまり、各都道府県と各市区町村に、それぞれ独自の制度融資が存在するため、全国にはとんでもない数の制度融資がある、ということになります。
ではなぜ、自治体がわざわざ関わるのかといえば。地域を、より活性化させるためです。地域内の会社が融資を受けやすい環境をつくることで、会社の持続・成長を促そうと考えています。
そのために自治体は、銀行が融資をするのに必要なおカネを預託したり、信用保証料の補助・利子の補給制度を用意しているのです。すると、銀行は貸しやすく、会社は借りやすくなります。
なお、ひとつの自治体に、ひとつの制度融資というわけではありません。複数の制度融資をラインナップしている自治体もあります。
利用対象(業種や事業規模など)や融資条件(返済期間や金利など)は、制度融資ごとにさまざまです。まずは、自社所在地の自治体のWEBサイトで確認をしてみましょう。
制度融資のメリット・デメリット
制度融資とは? がわかったところで、制度融資のメリット・デメリットを確認していきましょう。
おもなメリットは3つ
融資が受けやすい
制度融資が、地域の活性化を目的にしていることは前述しました。したがって、基本的には利用対象が広く、多くの会社が利用しやすいというメリットがあります。
また、信用保証協会の保証(会社が返済できないときには信用保証協会が肩代わりする)があるため、銀行はリスクが小さく、貸しやすい融資だと言ってよいでしょう。
とくに、創業から間もない会社は実績もなく、信用力も小さいため、融資が受けにくいものです。この点で、制度融資を利用した資金調達は、会社にとって有効な選択肢になります。
利息や保証料が軽減される
融資を受ける会社は利息を支払わなければいけません。その利息が負担になって、会社の持続・成長をジャマすることもあるでしょう。そこで、制度融資によっては、会社の利息負担を軽減するために、利子補給の制度が用意されています。
また、会社が信用保証協会に支払う保証料も、負担になるものです(金利に換算すると、年利1%分くらいに相当することが多い)。そこで、保証料の補助制度を用意している制度融資もあります。
据置期間がある
返済期間のはじめのうちは、利息の支払いのみ。元金返済をあとまわしにする期間を「据置期間」といいます。この据置期間を設定できる制度融資もあります。
創業まもない会社はとくに、当初の返済は負担が大きくなりますから、据置期間を設定できるのはメリットです。ただし、その分、返済開始後の返済額は増えるので気をつけましょう。
おもなデメリットも3つ
融資を受けるまでの時間が長い
銀行や信用保証協会に加えて、自治体が関わるために、審査に時間がかかります。また、準備する書類も多くなる傾向があるので、その作成にも時間がかかります。
結果、融資を受けるまでの時間が長くなるのは、大きなデメリットだと言えるでしょう。ケースバイケースではありますが、申し込みから入金まで、おおむね2〜3ヶ月くらいかかるイメージです。
自治体がかかわらない「保証付き融資」であれば、おおむね1〜2ヶ月くらいになります。
制度が多すぎて銀行も把握しきれない
自治体ごとにさまざまな制度があるうえに、しばしば制度の変更がおこなわれます。そういった意味では「複雑」であり、制度の把握に時間がかかるのはデメリットです。
また、銀行も地域の制度融資をすべて把握しているかといえば、そうでもありません。制度融資に積極的かどうか、という「姿勢」も銀行によって異なります。
したがって、会社のほうから特定の制度融資を指定しても、必ずしも対応してもらえる銀行ばかりではないことを覚えておきましょう。
社長の連帯保証が必要になることもある
制度融資によっては、社長の連帯保証が必要になることがあります。すると、会社が返済できなくなったときには、社長個人が責任を負わねばならず、できれば連帯保証は避けたいところです。
この点、日本政策金融公庫の「新創業融資制度」などは、原則、連帯保証の必要はありません。ですから、ほかの融資制度との比較もしたうえで、制度融資の利用を検討するのがよいでしょう。
制度融資の利用の流れ
制度融資ごとに、利用の流れは異なります。大きく分けると2つ、「自治体への相談からはじめるケース」と「銀行経由ではじめるケース」です。
参考として、「自治体への相談からはじめるケース」の流れを確認しておきましょう。次のとおりです↓
- 自治体の窓口に相談申し込み
- 自治体の相談員と面談
- あっせん書の交付を受ける
- 指定の銀行にあっせん書を持参、融資を申し込む
- 銀行の審査
- 銀行経由で信用保証協会に保証の申し込み
- 信用保証協会の審査
- 保証の承諾後に融資実行
- 利子補給や保証料補助の実行
以上のように、多くのステップが必要になることから、制度融資の利用には時間がかかる(おおむね2〜3ヶ月くらい)ということになります。利用の流れを把握したうえで、手際よく進めていきましょう。
まとめ
会社が受けられる銀行融資のひとつ、制度融資。保証付き融資との違い、メリット・デメリット・利用の流れなどについて、お話をしてきました。
選択肢のひとつとして、内容を押さえておきましょう。
- 制度融資とは(保証付き融資との違い)
- 制度融資のメリット・デメリット
- 制度融資の利用の流れ