2021年12月、カウンセラーがいるコーヒー豆専門店「KOFFEE MAMEYA」に行ってきました。その楽しさについて、体験レポートです。
KOFFEE MAMEYA=カウンセリング×コーヒー豆販売
2021年12月、原宿・表参道にあるコーヒー豆専門店「KOFFEE MAMEYA」に行ってきました。他店にはない特徴として、なんと「カウンセラー」がいます。
と言っても、いわゆる心理カウンセラーではなく。コーヒーに関するカウンセラーです。店員さんは、カウンセラー兼バリスタとして、カウンセリングによって客に合ったコーヒー豆を選び出し、豆に合った方法で美味しいコーヒーをドリップしてくれます。
カウンターのみ、スタンディング形式
前情報もあまりないままに、KOFFEE MAMEYAへ入店してみたわたしたち(妻と2人で行きました)。店内はカウンターのみ、カウンター越しには「白衣」の店員さんが2人、ほかに客はなし。
平日、開店と同時(10時)でしたから、客がいないのは想定内ではありますが。あれ、座るとこないの? とは思いました、瞬間的に。とはいえ、いまさらあとには引けません。
ちなみに、店内のようすはこんな感じです↓
ご覧のとおり、店員さんは「白衣」を着ています。このあたりが、バリスタというよりは、カウンセラーっぽいです。
それはそれとして、カウンターに並ぶことができる客は、5〜6名くらいが限度でしょう。上記の画像では、広そうに見えるかもですけど、「広角レンズ」で撮影をしているからです。
はっきり言って、店内は狭い。とても、狭い。しかも、座るところはない(←2回め)。スタンディング形式です。
そもそも、コーヒー豆販売が「メイン」の店であり、ゆっくり時間をかけてコーヒーを飲む店ではないことに気がついたのは、入店してからずっとあとのことになります。
まずはカウンセリングで豆選び
いきなり豆を買うこともできるのでしょうが。せっかく来たのですから、まずは一杯いただきつつ、豆を選ぶのがよいでしょう。というわけで、さっそく店員さんがカウンセリングしてくれました。
わたしたち、それぞれの好みを聞いたうえで、選択肢として「いくつかの豆」を案内してくれます。それぞれの豆の特徴も話してくれるので、じぶんで考えて選択をすることができますし、その満足感こそが、このお店のウリでもあるのでしょう。たぶん。
カウンターには、メニュー表と、サンプルの豆が並べられています。こんな感じで↓
メニュー表に並ぶ豆は、毎月数回ほど入れ替わるそうです。そのときどきで、いちばんよいものを並べてくれる、ということですね。
メニュー表には「色の濃淡」がありますが、濃いのは焙煎度が高い豆(深煎り)、薄いのは焙煎度が低い豆(浅煎り)をあらわしています。なので、そのうえに並ぶ豆の色も、同じような濃淡になっているわけです。わかりやすい。
このときの値段は、1杯 350円〜1,800円まで。1,800円のコーヒーは、有名な「ゲイシャ」です。
にしても、そんなにいっぱいあったら選べない、決められない、どうしよう… と思われるかもしれませんが。そこを、店員さんがカウンセリングしてくれますからご安心を。
客の選択を尊重する、という売り方
でもさぁ、1杯 1,800円もするコーヒーがあるんなら、もうそれをおすすめしちゃえばいいんじゃね? って、思いますよね。お店的には、それがもうかるはずです。
高いコーヒーをゴリ押しされるんなら、そんなお店には怖くていけない… と、思われるかもしれませんが、KOFFEE MAMEYAは違います。あくまで、カウンセリングです。
カウンセリングによって、お客自身が選択をして決める。お客自身の選択を尊重するというスタイルが、このお店の魅力だと言ってよいでしょう。
店員さんいわく、「じぶんの好みを、お客さまに押し付けない。ここは、じぶんがおすすめするコーヒーを買ってもらう店ではない」のだと。これには正直、感動しました。
コーヒーの販売に限らず、「汎用性があり、かつ、意義のある仕事観」だと言えるのではないでしょうか。
ヒトはたいてい、迷っているように見えて、実は、じぶんのなかに「答え」を持っているものです。あとは、その答えをあと押ししてくれる「材料」を待っているだけ。
って、なんのハナシをしているんでしたっけ? コーヒーのハナシです。KOFFEE MAMEYAの話に戻りましょう。とにかく、カウンセリングしてくれるんです。高いコーヒーをゴリ押しされたりもしませんのでご安心を。
目の前でプロのドリップが見られる
ようやく豆が決まりましたら、いよいよドリップ(抽出)です。棚から豆を取り出すと、ミルで粉に挽きます。あらかじめ挽いてあるわけではありませんので、「フレッシュ」です。
その後、カウンターには「器具」が並べられ、店員さんのドリップがはじまります。こんな感じです↓
ご覧のとおり、ドリッパーは「カリタ ウェーブ」。「ほしいけど、高くて持ってないやつだぁ」などと思いながら、眺めていました。はい。
でも、ちょっとドリッパーのことを知っているヒトは思いますよね。カリタ ウェーブって、わりと初心者向きのドリッパーではないのか? と。プロはもうちょっと「腕」のいるドリッパーではないのか? と。
このあたりは、わたしなりの考察もありますが。それはひとまず、置いといて。
コーヒーサーバーはKINTO製。そして、注目すべきはスケール(はかり)です。わたしも使っている、HARIO製のコーヒースケール(量と時間をはかれる!)を使ってドリップしていました。
ドリップをしているあいだも、店員さんはずっと話をしてくれます。こちらからの質問にも答えてくれるので、めちゃめちゃ勉強にもなりました。
そう考えると、コーヒー1杯の値段は安すぎるとも言えますが。そこは、「豆を売る」ことがメインなので成り立つのでしょう。きっと。いずれにせよ、客としては大満足です。
再現性、というこだわり
話をしているなかで店員さんが言っていたのは、「再現性」。コーヒー豆を買ったお客が、家でも同じようにおいしいコーヒーを淹れられるように、という話です。
そういう意味で、「スケールは使ったほうがいいですよね」と。たしかに、わたしがスケールを使っている理由も、再現性にあります。
まぁ、別に。そのときの気分で、気ままに淹れてもよいのでしょうが。いつもおいしい、というか、いつもじぶんが好みのコーヒーにしあげられるほうがよいはずです。
ここでわたし、ピンときちゃいました。ドリッパーのカリタ ウェーブもまた、再現性を高めるための要素なのではないかと。
カリタ ウェーブは「平底」の形状に特徴があります。コーヒーカップみたいに、底があるのは珍しい。その底には、「小さな穴」が3つあいています。
結果として、お湯をたくさん注いだとしても、底にお湯がたまるので、抽出スピードは「ほぼ一定」にコントロールされます。カリタ ウェーブが初心者向きと言われる理由です。
つまり、カリタ ウェーブを使えば、再現性はより高まるということ。そうだ、カリタ ウェーブを買おう。いつ買うの、いまでしょ。とかふざけていると、妻に怒られそうです。すでに、うちのキッチンにはドリッパーが7つあります。
話を戻しましょう。再現性の話です。コーヒーをいただいたあと、豆も購入したところ、レシピ(抽出方法)を説明してくれました。これもまた、再現性を高めるためですね↓
上の画像のとおり、豆の量、湯の量、抽出時間、湯温、挽き目について書かれています。もちろん、レシピは豆によって変わりますので、あくまでわたしが買った豆のレシピです。
買った豆は、コスタリカのシュマーバ(焙煎は、名古屋にあるボンタイン珈琲)。150gで 1,950円(豆によります)。全体的に、市販の豆と比べるとたかめですが、そこはやはり「カウンセリング料込み」と考えるべきでしょう。
それはそれとして、レシピはほんとうにそれぞれなので、バリスタごとにいろいろなことを言っているので、ある意味では混乱します。が、それぞれに「理屈」があるので、おもしろいところです。
KOFFEE MAMEYAの理屈を聞いて、じぶんのドリップにもまた少し幅ができました。
ついつい長居をしてしまう
ドリップがおわると、紙コップにコーヒーを注いでくれます↓
そのコーヒーをいただきながら、さらにいろいろな話を聞かせてもらい、こちらはいろいろな質問をさせてもらい。結局、延べ 45分ほど滞在していました。言っても、スタンディング。立ち飲みですからね。なかなかの長居です。
なお、わたしたちが入店してしばらくしてから、おひとりさまのお客が2人。これで、カウンターは3組、いっぱいの状態です。平日だったからか、ほかにお客が並ぶこともなく。おかげで、すっかり長居をしたしだいです。
あとになって、ネット検索をしていたところ。コーヒーを淹れてもらったら、すぐにコップを持って帰った人の話や、1時間半待ちの列ができていた話などを知りました。
さすがに列ができているときは、ドリップ後に長居はできませんね… それでも、カウンセリング〜ドリップまで、10分ていどの時間をかけてくれるようです。
そんなわけで、コーヒーにくわしい人も、そうでない人も。ほかではなかなかない「カウンセリング」によって、よりコーヒーを楽しめるお店なのではないか、と感じています。
ところで、ほかにいたお客さまのドリップをふと見たら、そちらのドリッパーは「HARIO V60」でした。
店員さんによって、あるいは豆によって、ドリッパーを変えている。もしかしたら、お客によって変えているのかもしれない。いずれにせよ、そのあたりは、やはりプロのバリスタですね。
さいごにお店の外観を
お店の場所は、JR原宿駅から徒歩で15分くらい。表参道ヒルズの裏手、住宅街のなかにあります。Google Mapを頼りに行きましたが、いちどは素通りしてしまいました。
なにしろ、この外観です↓
ご覧のとおり、大きな看板などはありません。門(?)から、ちょっと奥をのぞき込むとこんな感じ↓
人気(ひとけ)がないと、入るのになかなか勇気がいりそうな店構えです。実際、ちょっとばかり躊躇しました。でも、なかに入れば、やさしい店員さんがいますのでだいじょうぶです。
なお、KOFFEE MAMEYAは、清澄白河にもお店があります。そちらでは、コーヒーを「コース」で楽しめるのだとか。行ってみたいけれど、横浜からはちょっと遠い。
店員さんに「どちらから来られたのですか?」と聞かれ、「横浜のほうから…」とはるばる来た感をだしたのですが、わりと近くですね感で返されて。わたしたち夫婦からすると、原宿は「遠い」のですけど。いろいろな意味で。
まぁ、そう考えると、清澄白河も遠くはなさそうです。以上、KOFFEE MAMEYA(原宿)のレポートでした。本記事が、コーヒーを楽しまれる方のご参考になれば幸いです。