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支店のなかで融資先上位を狙う、のも銀行対応

支店のなかで融資先上位を狙う、のも銀行対応

いつでも融資をスムーズに受けるために、会社がとるべき銀行対応はいろいろありますが。

そのうちのひとつとして、「支店のなかで融資先上位を狙う」について、お話をしていきます。

目次

上位を狙う、という銀行対応。

いつでも融資をスムーズに受けたい、と考えるのであれば。会社がとるべき銀行対応のひとつとして、「支店のなかで融資先上位を狙う」ということが挙げられます。

ここで言う「融資先上位」とは、端的に言えば、「優良な会社」です。そういった会社に対しては、銀行も安心をしておカネを貸せますし、たくさん貸せます。結果、利息収入が増えて、銀行はもうかる。

ですから、銀行は自支店内の融資先上位をだいじにしています。であるならば、会社は取引支店の融資先上位に入ることで、「いつでも融資をスムーズに受けられる」を実現できるはずです。

ではどうしたら、「融資先上位」に入ることができるのか? そもそも「優良な会社」とは、どのような会社をいうのか? 具体的なポイントは、こちらになります↓

取引支店で融資先上位を狙うときのポイント
  • 年商規模を上げる
  • 将来的な年商規模を上げる
  • 情報提供を充実させる

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

取引支店で融資先上位を狙うときのポイント

年商規模を上げる

銀行にとって「良い融資先」とは、言い換えると、「たくさん貸せる融資先」です。融資金額が多いほど利息収入が増えますし、1回あたりの融資金額が多いと事務効率も良くなります。

では、その「たくさん貸せる融資先」とは。さらに言い換えると、「たくさんの資金ニーズがある会社」です。資金ニーズ(おカネの必要性)が高いからこそ、たくさんの融資が必要になります。

この点で、資金ニーズの大きさは、おおむね「年商規模」に比例するものです。年商、つまり、年間売上高が大きくなるほど、会社はおカネが必要になる。

年商が増えるにつれて、仕入や経費の金額も大きくなります。あらたな人材の確保や、設備投資にもおカネがかかるでしょう。すると、どうしても自己資金だけでは足りずに、融資が必要になります。

よって、銀行は「年商規模の大きな会社=たくさん貸せる融資先」と考えるわけです。

もちろん、年商が大きくても大赤字… というのではダメですが。そうでなければ、年商規模が「融資先上位」かどうかの目安になるものと考えておきましょう。

年商が大きいということは、それだけ多くのおカネが定期的に入金されます。これもまた、ひとつの「返済力」ですから、銀行が融資をするうえでの安心材料にもなるものです。

では、はたしてどれだけの年商であれば、上位に入ることができるのか? それは、取引している銀行・支店によります。

まず、大きな銀行には、大きな会社が集まりますから、かなりの年商規模でなければ上位に入ることはできません。中小企業が、都市銀行で上位に入るのはムリだということです。

したがって、自社の年商規模にあわせて、地方銀行や信用金庫・信用組合を選ぶのがポイントになります。年商規模が数億円未満の会社であれば、まずは信用金庫・信用組合です。

また、支店のある地域によって、その融資先の年商規模には差があります。たとえば、都心部には比較的、年商規模の大きな会社が多く集まるといえるでしょう。

ですから、自社のある地域のようすも見ながら、自社の年商規模について考える必要があります。

将来的な年商規模を上げる

取引支店のなかでの年商規模を上げましょう、という話をしました。ではどのくらいの年商規模が目安になるのか? 上位2割くらい、がひとつの目安です。

いわゆる「80対20の法則(パレートの法則)」があります。世の中で起きるさまざまな事象にあてはまる法則ですが、ビジネスで言えば、「売上の8割は、顧客の上位2割による」みたいな。

これは、銀行内においてもあてはまる法則でしょう。というわけで、上位2割の年商規模はひとつの目安になります。

とはいえ、年商規模を上げたいからといって、いますぐに上げられるかといえば、それはムリな話です。売上高を増やすのにも、相応の時間はかかります。

では、どうするか? 将来的な年商規模を上げることです。「これから当社は、年商規模が上がります」と銀行に伝えられるかどうかがポイントになります。

もちろん、口頭で伝えるだけでは「口先だけ」となりかねませんので。銀行に対しては「書面」で伝えるようにしましょう。具体的には、「経営計画書」です。

まずは、「経営理念・方針」を明文化します。続いて、「現状分析(SWOT分析・3C分析)」によって、「経営戦略(事業領域)」と「現状の問題」を特定。そのうえで、問題の解決策を「行動計画」としてまとめます。結果、どのような数字になるのかを「数値計画」に落とし込むのが、経営計画書です。

念のために申し添えると、「数値計画だけ」では経営計画書とは呼べません。「数値計画だけ」を見た銀行は、「数字あそび」だと受けとることでしょう。

よって、将来的な年商規模を銀行に伝えるのであれば、前述したような「要素」を含めた経営計画書の作成が欠かせません。

現状、年商規模が小さな会社こそ、経営計画書をつくって、銀行に対してアピールをしていきましょう。ただし、年商規模が増えればいい、というわけではありません。

「根拠もないのに、年商が右肩上がり」の経営計画書は、ズサンな計画書の典型です。だから、数値計画の前提として、「現状分析」や「経営戦略(事業領域)」の特定、「行動計画」がの策定が必要にもなります。

また、必ずしも年商規模の拡大ばかりではなく、「利益金額」を増やすことで融資先上位を狙うのもよいでしょう。利益は借りたおカネの返済原資であり、利益金額が大きい会社ほど多くの融資を受けることができるからです。

年商と利益の両面から、自社の経営計画書について検討してみましょう。

情報提供を充実させる

年商と利益を増やすことで、融資先上位を狙いましょう、という話をしました。目指すは、取引支店内で上位2割です。

この点で、気をつけたいのが下位2割に入らないようにすること。「80対20の法則」に似たものとして、「2:6:2の法則」があります。

カンタンに言うと、世の中のさまざまなところで「上位2割、ふつうが2割、下位が2割にわかれるものだ」という法則です。銀行融資で言えば、下位2割の融資先は、銀行から見限られる可能性があります。

だから、下位にはならないように注意する。そのための方法として、前述した経営計画書が役立ちます。

また、下位2割まで低くはなくとも、上位2割に向けて、さらになにかよい方法はないのか? あります。それは、銀行に対する情報提供を充実させることです。

銀行は「融資先の情報がほしい」と考えています。融資先がいま、どのような状態にあるのか? 融資先には、どのような資金ニーズがあるのか? といった情報です。

これらの情報によって、銀行は「引き続き融資を続けてもだいじょうぶか、もっと融資ができるのか」を判断することになります。だから、情報がほしいのです。

ところが、情報収集をするにも時間がかかります。社長や経理担当者にヒアリングをしても、的を射た回答が返ってこない、具体的な数字ではなく感覚や感情面の話ばかり… という会社は少なくありません。

最近では、銀行でも人員削減が進んでいますから、そもそもヒアリングをする時間すらない… ということもあるようです。

だとしたら、会社のほうから「徹底的」に情報提供することで、情報量の融資先上位に食い込むことができるでしょう。

具体的には、定期的に試算表や資金繰り表を銀行に提示する。あたらしい期のはじめには、経営計画書を提示して、その後の進捗状況も報告をする。期のはじめに、向こう1年の借入計画を提示するのも有効です。

もっと言うと、会社概要や商品・サービス内容をまとめた資料を渡す、ローカルベンチマークを提示する、といったことも挙げられます。

ぜひ、情報提供での上位に取り組んでみましょう。年商や利益を増やすのが難しい、小さな会社ほど、積極的に取り組んでみましょう。忙しい銀行員から、好まれる会社になるはずです。

まとめ

いつでも融資をスムーズに受けるために、会社がとるべき銀行対応はいろいろあります。

そのうちのひとつとして、「支店のなかで融資先上位を狙う」について、お話をしてきました。そのときのポイントを押さえておくようにしましょう。

取引支店で融資先上位を狙うときのポイント
  • 年商規模を上げる
  • 将来的な年商規模を上げる
  • 情報提供を充実させる
支店のなかで融資先上位を狙う、のも銀行対応

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