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コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める

コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める
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新型コロナをへて、銀行からの借入が増えている会社が多いようです。とはいえ、借入が増えることが、必ずしも問題ではありませんので。コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める、というテーマでお話をしていきます。

目次

借入が多いことが問題なのではない。

新型コロナによる「外出自粛」や「生活様式の変化」によって、売上が減少した会社は少なくありません。その結果、実際に売上が減少した会社のほかにも、将来に備えて銀行から借入をする会社が増えているようです(見聞きする話や、わたしの肌感覚から)。

この点で、「過剰債務」が問題にされることがあります。つまり、借入が増加して、借入が多い状態にある。これって、問題なんじゃないの? ということです。

たしかに、「借入だけ」が増えるのであれば問題ではありますが。必ずしも、そういうケースばかりではありませんので。コロナ後を迎えつつあるいま(きょうは、2022年4月15日)、自社の「借入増加の良し悪しを見極める」というテーマでお話をします。

ほんとうは、けして悪くはない借入の増加なのに、「まずい、早く借入を減らさなきゃ…!」と不安になったり、あるいは、あわてて繰り上げ返済をしてしまったり。それこそ、問題が起きてしまいかねません。

では、借入金の良し悪しをどう見極めればよいのか? そのヒントは、自社の「貸借対照表」にあります。このあと、くわしく確認をしていきましょう。


コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める

まずは、コロナ以前の貸借対照表(決算書)と、現在の貸借対照表を用意します。そのうえで、2つの試算表を、並べて比較をしてみましょう。このとき、現在の「借入金」がコロナ以前よりも増えているようであれば、このあと、その良し悪しを確認していくことになります。

ちなみに、ここで言う「借入金」とは、貸借対照表の「負債の部」に記載されている、「短期借入金」や「1年以内返済長期借入金」「長期借入金」です。それらの金額の合計額を、ここでは「借入金」と定義することにします。

預金

まずは、貸借対照表に記載されている「預金」について、コロナ以前と現在とで比べてみましょう。

ここでのポイントは、預金が増えているかどうかです。たとえば、現在の借入金が、コロナ以前と比べて 3,000万円増えていたとしても、預金もまた 3,000万円増えて入れば、借入金が増えているのは問題ないと言えます。

預金 3,000万円で、借入金 3,000万円を返済することができるからです。ここまで極端ではないにしても、預金分の借入金はないのといっしょだ、と考えることができます。ですから、借入金が増えた部分だけを見て、問題だとは考えないようにしましょう。

問題になりうるのは、「預金の増加」よりも「借入金の増加」のほうが多いときです。たとえば、コロナ以前と比べて現在の預金は 1,000万円増えている。いっぽうで、借入金は 3,000万円増えている。だとすれば、その差の 2,000万円については、さらに良し悪しを考える必要がある、ということです。

売掛金

続いて、貸借対照表に記載されている「売掛金」を見てみましょう。

売上が伸びている会社は、基本的に(回収サイトが短くならなければ)、売掛金(売上代金の未回収)も増えるものです。売掛金が増えれば、その分だけ入金待ちとなり、手元のおカネは少なくなります。その少なくなったおカネを、借入金で補っていると考えてみましょう。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の売掛金が 500万円増えている。いっぽうで、借入金は 2,000万円増えている。であるならば、2,000万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 500万円は売掛金に置き換わっているということです。

これは、良いのか悪いのか? 売掛金がきちんと回収される限り、悪いことはありません。回収されれば、預金が増えるからです。預金が増えれば、前述のとおり、その分の借入金の増加は無いのといっしょだと言えます。

問題があるとすれば、増えた売掛金のなかに、回収ができないような売掛金(売上先が倒産した・倒産しそう、など)があるケースです。増えた売掛金のなかみを、きちんと確認するようにしましょう。

棚卸資産

続いて、貸借対照表に記載されている「棚卸資産」を見ていきます。いわゆる「在庫」です。

棚卸資産もまた、考え方はさきほどの「売掛金」と同じになります。棚卸資産は、販売されるのを待っている商品であり、いずれ販売されればおカネに変わるものです。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の棚卸資産が 500万円増えている。いっぽうで、借入金は 1,500万円増えている。であるならば、1,500万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 500万円は棚卸資産に置き換わっているということになります。

その棚卸資産が売れるものである限り、悪いことはありません。売れれば、やっぱり預金が増えるからです。問題があるとすれば、増えた棚卸資産のなかに、売れないような棚卸資産(不良在庫)があるケースになります。増えた棚卸資産のなかみを、きちんと確認をするようにしましょう。

固定資産

続いて、貸借対照表に記載されている「固定資産」を見ていきます。具体的には、「土地」や「建物」「機械設備」「車両運搬具」「器具備品」「ソフトウェア」などです。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の固定資産が 1,000万円増えている。いっぽうで、借入金は 1,500万円増えている。であるならば、1,500万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 1,000万円は固定資産に置き換わっていると考えることができます。

つまり、借入をして固定資産を買った、ということです。これは、良いのか悪いのか? 言うまでもありませんが、その固定資産が「なんらかの利益」を生み出しているかどうかになります。

利益を生み出しているのであれば、利益から借入を返済できるわけですから悪くはありません。が、利益を生み出していなかったり、利益がじゅうぶんではなかったりすれば問題ありです。

たとえば、華美にすぎる本社(建物や備品など)、豪華すぎる社用車、オーバースペックな機械設備などが例として挙げられます。増えた固定資産については、それぞれの利益をあらためて確認してみましょう。

場合によっては、見切りをつけて売却する。その売却代金で借入金を返済して圧縮する、というのもひとつの方法になります。

有価証券

続いて、貸借対照表に記載されている「有価証券」を見ていきましょう。具体的には、株式や債券、投資信託などです。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の有価証券が 500万円増えている。いっぽうで、借入金は 1,500万円増えている。であるならば、1,500万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 500万円は有価証券に置き換わっていると考えることができます。

そもそも、値上がり目的の有価証券購入は、対銀行という面ではよろしくありません。値上がり目的とは「投機(投資ではなく)」であり、そんなことにおカネは貸せないと考えるのが銀行です。

ところが、結果的に有価証券を購入していると見られれば、以降の融資が受けにくくなることを覚えておきましょう。銀行からは、「また、借りたおカネを投機に使うのでは?」と疑われるからです。

なお、買った有価証券が「値下がり」している場合には、さらに問題となります。売却をすれば、おカネは目減りするわけですから、借入だけが残ってしまう。これは、問題以外のなにものでもありません。

会社は事業で成長するものであって、投機はしない。少なくとも、借りたおカネで投機はしない。すでに投機におカネを使ってしまったのなら、できるだけ早く処分(売却)をすることを考えましょう。

貸付金

続いて、貸借対照表に記載されている「貸付金」を見ていきましょう。さきほどの「有価証券」と同様に、銀行からは問題視をされるのが「貸付金」です。

そもそも銀行は、「会社が使うおカネ」を貸しています。けれども、その会社がおカネをだれかに貸しているとなると、間接的ではあれ、銀行が「会社以外のだれか」におカネを貸していることになってしまう。銀行としては困ります。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の貸付金が 500万円増えている。いっぽうで、借入金は 1,500万円増えている。であるならば、1,500万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 500万円は貸付金に置き換わっていると考えることができます。

こうなると銀行は、融資をすれば「また、借りたおカネを貸し付けてしまうのでは?」と疑うものです。結果として、融資が受けにくくなってしまいます。貸し付けの相手が、社長であれ社員であれ、取引先であれ、銀行にとって貸付金は好ましいものではないことを理解しておきましょう。

すでに貸し付けをしているのであれば、できるだけ早く回収をすることです。

利益剰余金

さいごに、貸借対照表に記載されている「利益剰余金」を見ていきます。利益剰余金は、「純資産の部」のなかにある勘定科目のひとつです。

利益剰余金とは、カンタンに言うと、「税引後利益の累計額」にあたります。会社が創業してから現在までの税引後利益の累計額です。その利益剰余金を、コロナ以前と現在とで比べてみましょう。

たとえば、コロナ以前と比べて現在の利益剰余金が 2,000万円減っている。いっぽうで、借入金は 3,000万円増えているという場合。3,000万円増えた借入金のうち、借りたおカネの 2,000万円は利益剰余金に置き換わっていると考えることができます。

言い換えると、利益剰余金が 2,000万円減ったとは「赤字が 2,000万円増えた」ということであり、その赤字の補てんとして、借りたおカネの 2,000万円が使われたということです。当然、これは良くない借入にあたります。

いまなお、赤字が続いているようであれば、経営改善を急ぐ必要があり、場合によってはリスケジュール(返済の減額・猶予)が必要にもなるでしょう。利益剰余金のマイナスをともなう借入金の増加は、問題ありです。


まとめ

新型コロナをへて、銀行からの借入が増えている会社が多いようだとの背景から、「コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める」というテーマでお話をしてきました。

借入が増えること自体は、必ずしも問題ではありません。借入の良し悪しを見極める目を持ちましょう。

コロナ後の借入増加の良し悪しは貸借対照表で見極める

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