コロナ後が見えつつあるいま、保証付き融資は借りにくい状態にあります。それでも、保証付き融資をスムーズに借りられる会社はなにが違うのか? についてお話ししていきます。
すでに貸しすぎ、すでに借りすぎ。
きょうは、2022年6月14日。長らく続くコロナも、ひとまずの沈静化を迎えつつあるいま、銀行融資におけるひとつの傾向として、「保証付き融資の借りにくさ」が挙げられます。
体感とは別に、データをしめすのであればこちらです↓
前年同月比 | 保証承諾の件数 | 保証承諾の金額 |
---|---|---|
令和3年11月 | 45.3% | 39.2% |
令和3年12月 | 44.5% | 41.5% |
令和4年1月 | 53.4% | 49.9% |
令和4年2月 | 38.6% | 30.9% |
令和4年3月 | 29.2% | 20.0% |
令和4年4月 | 41.6% | 28.3% |
上記のとおり、保証承諾の「件数」「金額」ともに、前年同月比で低い状態が続いています。さらに注目したいのは、件数と金額との「乖離」です。保証承諾の件数に対して、金額の落ち込みが大きくなっています。
これは、保証が承諾されたとしても、希望の融資額には届いていないケースが多い、ということでしょう。
このような状況になっているのは、ひとえに「コロナ禍で貸しすぎたから」です。コロナ以降、国の後押しがあったとはいえ、通常では考えられない金額の保証付き融資が実行されました。結果、すでに貸し過ぎであることから、いまは「貸し渋り」の状態にあるといってよいでしょう。
とはいえ、そのようななかでも、保証付き融資をスムーズに借りられる会社があるのも事実です。では、借りにくい会社とはなにが違うのか? おもなところでは次のとおりです↓
- キャッシュがある
- 返済原資がある
- 将来性を示している
それではこのあと、順番に見ていきましょう。
コロナ後も保証付き融資をスムーズに借りられる会社はなにが違うのか?
キャッシュがある
ここでいう「キャッシュ」とは、「預金残高」のことです。保証付き融資を申し込む段階で、キャッシュが少なすぎると、信用保証協会の保証を得にくくなります。会社がつぶれる可能性が高いからです。
融資を申し込むのは「キャッシュがあるとき」というのは銀行融資のセオリーであり、コロナ後の保証付き融資についても変わるところはありません。
前述したとおり、いまの信用保証協会は貸しすぎ(保証しすぎ)の状態にあるのですから、より慎重になっていることを理解しておきましょう。つまり、キャッシュに対する見方は厳しくなっているということです。
具体的な目安をしめすのであれば、平均月商2ヶ月分。これを下回ると、保証付き融資も受けにくくなっていくものと考えておきましょう。資金繰りを予測して、キャッシュが減りすぎる前に融資を申し込むことができるかどうかがポイントになります。
なお、コロナ禍で保証付き融資を受けていて、借りたおカネが目減りしているのであれば、「なににおカネを使ったのか」をあきらかにすることも大切です。
赤字補てんに使われたのか、コロナ後に向けた投資に使ったのか。マズいのは、事業以外のことにおカネを使っていた場合です。株式や不動産投資、社長個人に対する貸し付けなど。分不相応な社長車の購入なども似たようなものでしょう。
借りたおカネがなにに使われたのかが不明瞭であったり、事業以外のことに使われていたりすると、以降の融資が受けにくくなることはいうまでもありません。じゅうぶんに気をつけましょう。
返済原資がある
会社が借りたおカネの返済原資は、「利益」です。赤字補てんに充てるおカネや、将来の投資のために使うおカネは、利益のなかから返済しなければいけません。
コロナ後、そういったおカネを保証付き融資で借りるのであれば、信用保証協会が「利益は出ているのか?」に注目するのは当然です。
コロナ禍にあっては、「コロナの影響もあるのだから、利益が出ないのもいたしかたなし」との見方もありました。が、コロナ後となるとそうはいきません。「コロナの影響」という言い訳は通用しないのです。
この点で、現状、黒字の会社は保証付き融資が受けやすくなります。まだ、赤字の会社であっても、赤字が減少傾向にあれば、比較的融資は受けやすいといえるでしょう。
いずれにせよ、信用保証協会や銀行に対して、状況を説明するための「資料」が必要です。具体的には、「試算表」になります。毎月の試算表を作成したうえで、コロナ禍から現在までの、利益の回復・改善状況を伝えることが大切です。資料もなしに、口頭だけでは説得力がありません。
なお、返済が進んでいる会社であれば、保証付き融資は受けやすくなります。返済が進んでいるということは、それだけの返済力があるということであり、信用保証協会は「返済された分くらいは貸してもだいじょうぶだろう」と考えやすいところです。
これに対して、返済をずっと据え置きしているような会社は、融資が受けにくい状態にあります。よりいっそう、利益の回復・改善状況を伝える必要性が高まることを理解しておきましょう。
将来性を示している
前述した「キャッシュがある」「返済原資がある」に加えて、「将来性を示している」という会社は、さらに保証付き融資が受けやすくなります。
将来性を示すとは、「将来の利益を示す」ことです。返済原資は利益だという話をしましたが、その利益とは厳密にいえば、「将来の利益」であって、過去の利益ではありません。
つまり、たとえいま利益が出ていたとしても、将来には利益が出なくなってしまうのであれば、返済はできなくなってしまいます。ゆえに、信用保証協会や銀行は、将来の利益にも注目をしているのです。
そこで必要になるのが「経営計画書」です。会社が計画書でもって、将来の利益をしめすことができれば、銀行に対する説得力が高まります。
とくに、現状で赤字の会社や、利益が不十分な会社であれば、信用保証協会は「将来の利益」を不安視しますから、経営計画書の作成は必須だといってよいでしょう。にもかかわらず、決算書や試算表だけで融資を申し込むのは、みずから融資を受けにくくする行為です。
なお、経営計画書をつくりさえすればよいわけではありません。計画書というと、右肩上がりの楽観的に過ぎる計画を描く会社は少なくないものです。融資を受けたいばかりに、右肩上がりにしたくなる気持ちはわかりますが、やり過ぎれば融資を受けにくくしてしまいます。
信用保証協会や銀行から、評価をしてもらえる経営計画書については、こちらの動画も参考にどうぞ↓
まとめ
コロナ後が見えつつあるいま、保証付き融資は借りにくい状態にあります。それでも、保証付き融資をスムーズに借りられる会社はなにが違うのか? についてお話ししてきました。
いよいよこれからというときに、保証付き融資が受けられずに資金不足… といった事態にならないように。本記事でお話をした内容を押さえておきましょう。
- キャッシュがある
- 返済原資がある
- 将来性を示している