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会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題

会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題

銀行から投資信託の購入を提案された… 会社はこれを受け入れるべきか否か。その判断材料として、提案を受け入れたときに起きる問題についてお話しします。

目次

銀行に恩を売れ。

会社が銀行から融資を受けていると、その銀行から「投資信託の購入」を提案されることがあります。これを受け入れるのも、選択肢のひとつです。

提案を受け入れれば、銀行に「恩」を売ることができる。いずれ融資を受けるときには、それが役立つかもしれないぞ、とか。銀行が勧めるくらいだから良い商品なのだろう、とか。

ところが、です。投資信託の購入という提案を受け入れたことで起きる問題があることも理解しておきましょう。具体的には、次のような問題です↓

会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題
  • ほかの銀行に対して不公平
  • 資金使途違反になる
  • 社長の資質を疑われる

それではこのあと、順番に見ていきましょう。

会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題

ほかの銀行に対して不公平

銀行には、それぞれ売りたいものがあります。融資しかり、定期預金しかり、投資信託や保険しかり、クレジットカードの作成しかり。どの銀行にも、それぞれ売りたいものがあるのです。

では、会社がいま、A銀行、B銀行、C銀行の3つとお付き合いがあるとして。もし、A銀行による投資信託購入の提案を受け入れたらどうなるでしょう?

それを知ったB銀行やC銀行は、「A銀行だけズルい。ウチだってなんか買ってほしい!」とおもいますよね。とはいえ、すべて買ってあげられるほど、おカネに余裕のある会社はないはずです。

結果、A銀行の提案だけを受け入れることになると、B銀行とC銀行との関係性を悪くするきっかけになりえます。それでも、A銀行がメインバンクとして今後もしっかり支えてくれればよいのですが。

A銀行にはそんなつもりはなく、いざ会社が困ったときには知らん顔… ということもありえます。そもそも、銀行の提案を受け入れたからといって、恩を売ることなどできません。

恩を売ったつもりの担当者や支店長はいずれ異動してしまいます。それに、投資信託を買ってくれたから融資審査を甘くしよう、などということもないわけです。

そういう意味では、投資信託に限らず、銀行からの提案を安易に受け入れるのは問題があります。

1つの銀行に対して受け入れれば、他の銀行に対しても受け入れざるをえなくなる。受け入れられなければ、銀行との関係を悪くする。だったらはじめから、どの銀行からの提案も受け入れない、という考え方もあるはずです。

もしかすると、「断りづらい…」とおもわれるかもしれませんが。その場で断りづらければ、説明だけは聞いたうえで、その場での回答は「保留」しましょう。「一度考えて、お願いするようであればこちらから連絡します」と伝えればOKです。

説明も聞かずに断ると、相手の気分を害してしまい、それこそ関係を悪くすることもあります。ヒト対ヒトなのですから、「気分」に対する注意は必要です。

資金使途違反になる

たとえば、B銀行から運転資金の融資を受けた直後に、A銀行から投資信託の提案を受け入れた場合。その投資信託の購入が、資金使途違反と見られる可能性があります。

B銀行からすれば、あくまで運転資金(仕入代金や経費を支払うおカネ)として貸したのに、投資信託を購入したとなれば、「おカネの使いみちがおかしい!」となるわけです。

資金使途違反となると、最悪、一括返済を求められたり、以後の融資が受けられなくなったりと、以後の資金繰り・資金調達に与える悪影響はけして小さくありません。

おカネに色はないのだから、だいじょうぶだろう。と、おもわれるかもしれませんが、資金使途違反かどうかを判断するのは「銀行」です。会社ではありません。ゆえに、銀行がそう判断したのであれば、弁解は困難であることを理解しておきましょう。

なお、投資信託を購入しても、すぐには気づかれないケースもあります。ところが、決算がおわり、税務申告書一式のコピーを銀行に提出した段階で気づかれるのです。

決算書を見れば、投資信託を購入したことはわかります。いつ購入したかも、勘定科目内訳明細書を見ればわかります。その結果、融資をしたタイミングから見て、資金使途違反かどうかを判断できるわけです。

と、あまり細かいハナシをせずとも、融資を受けたあとになにか買っていれば、融資のおカネで買ったと考えるのが「自然」だよね、というハナシでもあります。

投資信託の購入に限らず、資金使途違反を甘く考えている社長もいますが、銀行は厳しく見ているところですから、くれぐれも慎重な対応を心がけましょう。資金使途違反が原因で、銀行融資が受けられなくなる、受けづらくなるのでは本末転倒です。

社長の資質を疑われる

投資信託は、ていどの差こそあれ値動きのある商品です。もし、値上がりを狙って投資信託を購入していると見られると、しかも、その金額が大きい・購入頻度が多いとなると、社長の資質を疑われることもありえます。

銀行からすれば、「この社長、本業はどうなっているんだ?」ということです。社長の本業とは、もちろん「経営」であり、投資信託の購入は会社の事業とは無関係なはずです(投資運用業などでない限り)。

ときおり、会社の総資産から見て、大きな割合の投資信託を所有している会社があります。銀行からは、あまり良い目では見られないものと考えておいたほうがよいでしょう。たとえ、自己資金で購入していたとしてもです。

また、投資信託を所有しているうちに、値下がりをして損失が発生することもありえます。売却をすれば、決算書に損失を計上することになりますから、これまた、あまり良いものではありません。

会社の事業の足を引っ張るような投資信託を、なぜこの社長は買ってしまったのか? また買ってしまい、また損失を出してしまうのではないか? だったら、融資はしないほうがいい。と、銀行におもわれてもしかたありません。

売却をせずとも、銀行は決算書を見て投資信託があれば、その含み益・含み損を把握しています。含み損が大きければ、やはり同じことをおもうでしょう。

そうはいったって、投資信託を勧めたのは銀行じゃないか、ともおもわれるかもしれませんが。そのときはそのとき、です。銀行(員)の思惑も、時間がたてば、人が変われば変わります。投資信託のせいで、社長の資質を疑われるのではもったいない話です。

まとめ

銀行から投資信託の購入を提案された… 会社はこれを受け入れるべきか否か。その判断材料として、提案を受け入れたときに起きる問題についてお話ししてきました。

問題の大きさを考えると、よほどの理由がなければ、提案を受け入れないことをおすすめします。

会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題
  • ほかの銀行に対して不公平
  • 資金使途違反になる
  • 社長の資質を疑われる
会社が銀行から提案された投資信託を購入したときに起きる問題

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