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銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?

銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?

社長が、銀行対応を税理士に手伝ってもらうことにはメリットもありますが、デメリットもあります。そのデメリットが生じるのはどんなとき? についてのお話です。

目次

メリットもあればデメリットもある。

会社が銀行から融資を受けるときには、いろいろな「銀行対応」が必要になります。銀行と面談をしたり、必要な書類を提出したり、質問に回答をしたり…

そういったことがタイヘンなので、あるいは、よくわからないので、顧問税理士に手伝ってもらう。ということも、方法としてはアリでしょう。とはいえ一方で、銀行対応に税理士が関わることにはデメリットもあります。

端的に言えば、「融資が受けにくくなる」というデメリットです。そのデメリットが生じるのはどんなときなのか? 次のとおりです↓

銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?
  • 税理士が銀行面談に同席
  • 書類準備を税理士に丸投げ
  • 判断を税理士任せ
  • 税理士が銀行対応を知らない
  • ブラックリスト税理士だった

それではこのあと、順番に確認していきましょう。

銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?

税理士が銀行面談に同席

融資を受けるときや、融資条件の交渉をするときには、銀行との「面談」が必要になります。このとき、「どのような話をすればよいかがわからない」「ひとりでは不安がある」ということで、顧問税理士に同席を求める社長もいるでしょう。

ですが、デメリットが生じる場面の1つであることを理解しておかねばなりません。では、どうしてデメリットが生じてしまうのか?

税理士が前面に出すぎて、社長以上に話をしてしまうからです。いうまでもなく、おカネを借りるのは社長(の会社)であって、税理士ではありません。ゆえに、銀行が聞きたいのは「社長の言葉」です。にもかかわらず、銀行が社長に質問をしても、答えるのは税理士というケースがあります。

誤解なきように申し添えますが、税理士の同席自体が悪いのではありません。悪いのは、税理士の「立ち位置」です。税理士はあくまでサポート役。銀行の言うことを翻訳して社長に伝えたり、逆に、社長の言うことを翻訳して銀行に伝えることが、望ましい税理士の姿だと考えます。

ですから、銀行面談の前に、社長は税理士と「役割分担」について確認をしておくとよいでしょう。役割分担がハマれば、むしろ銀行は税理士の同席を好感する、というのがわたしの経験則です。

書類準備を税理士に丸投げ

銀行対応にあたっては、書類の準備が欠かせません。その書類にもいろいろあります。決算書にはじまり、試算表、借入金一覧表、資金繰り予定表、経営計画書、などなど。

とはいえ、忙しい社長には書類を準備しているヒマはない。そこで、税理士に丸投げする会社があります。このときもまた、デメリットが生じることを覚えておきましょう。

まず、丸投げすることで、社長自身が書類の内容を理解していないケースがあります。書類について銀行から質問をされても、丸投げしていたがゆえに内容がわからず答えられない…

そこで、「税理士に確認してみます」というのでは、銀行からは「この社長、だいじょうぶかなぁ」と見られてしまうでしょう。

さらには、「税理士に直接確認してください」と言ってしまう社長もいますが、当然、問題です。社長の「不理解」と「他人任せ」な感じが、銀行の印象を悪くします。

また、書類の準備を丸投げをすることで、提出が遅れてしまうというのも問題です。たとえば、試算表。銀行から提出を求められても、自社ではつくれないので税理士しだい。

そこで、「いつ提出できるかは税理士に聞かないとわからない」などといっているようでは、やはり銀行の印象が悪くなってしいます。書類は会社のものであり、税理士のものではないからです。

税理士に手伝ってもらうにしても、「内容の理解」と「書類の管理」については社長がやらねばなりません。

判断を税理士任せ

銀行から、融資の提案をされることがあります。つまり、おカネを借りませんか? という話です。このとき、「税理士に聞いてみます」と答えるのも、デメリットが生じる場面の1つです。

なかには、「税理士」を持ち出したほうが、税理士との信頼関係を銀行に評価してもらえる、と考える社長がいるようです。また、融資の提案を断るにも、「税理士」を理由にしたほうが断りやすい、との思いもあるようです。

が、銀行からすれば「社長はだれなんだ? 社長はじぶんで判断できないのか?」となってしまいます。

税理士にアドバイスを求めること自体に問題はありませんが、銀行に対しては伝え方に気をつけましょう。なので、「検討して、のちほどご回答します」などと伝えるのがおすすめです。

もちろん、社長がじぶんで判断できるようになるのもだいじなことだといえます。いつも税理士が傍にいるわけではありませんし、すぐにアドバイスをもらえるかどうかもわかりません。

銀行融資は、中小企業の資金調達における「生命線」ともいえるものです。社長自身で判断ができるように、銀行融資・銀行対応について勉強もしておきましょう。

税理士が銀行対応を知らない

さきほど、税理士にアドバイスを求めること自体に問題はない、と言いました。この点で、もう1つ気をつけるべきことがあります。それは、税理士みなが銀行対応を知っているわけではない、ということです。

ゆえに、銀行対応を知らない税理士にアドバイスを求めた結果、見当違いの対応をしてしまい、融資が受けにくくなる可能性がゼロではありません。これもまた、デメリットが生じる場面の1つです。

ちなみに、銀行対応を知らない税理士がダメなのか? といえば。そういう話をしているのではありません。税理士もいろいろです。銀行対応に強い税理士もいれば、相続に強い税理士、〇〇業に強い税理士など。それに、税理士になるのに銀行対応の勉強が必須ではありません。

ですから、税理士に銀行対応のアドバイスを求めるのであれば、それができる税理士なのかどうかの見極めはあったほうがよいでしょう。もっとも、どうやって見極めればよいのか?

1つ目安を示すのであれば、ふだんから「銀行の視点」について話をする税理士かどうかです。自社の決算書について「銀行はこう見ている」とか、融資が受けやすいタイミングを知らせてくれるとか。銀行対応を知らない税理士であれば、積極的には話をしないところです。

ブラックリスト税理士だった

さいごに、もうひとつ。レアケースではありますが、ブラックリスト税理士だったときにもデメリットが生じます。

ちなみに、ここでいう「ブラックリスト税理士」とは。銀行対応で「やらかしてしまった」ことで、要注意税理士として銀行に警戒されている税理士をいいます。

たとえば、多くの顧問先の決算書に「粉飾」がある、それも悪質な粉飾があるとか。あるいは、銀行に対して、きわめて高慢・威圧的な言動があったとか。

そういったことをする税理士が顧問をしているだけで、その会社の融資が受けられなくなるケースもあると聞きます(とある銀行員の方から聞きました)。

ブラックリスト税理士かどうかを、傍から見極めるのも困難ではありますが。万一、粉飾を勧めるような税理士であれば気をつけるべきであり、銀行対応における言動にも注目をしておくのがよいでしょう。

まとめ

社長が、銀行対応を税理士に手伝ってもらうことにはメリットもありますが、デメリットもあります。そのデメリットが生じるのはどんなとき? についてのお話ししてきました。

税理士に手伝ってもらうこと自体に問題があるわけではありません。問題の「本質」を理解して、必要なことについては、税理士のチカラを借りるのもよいでしょう。

銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?
  • 税理士が銀行面談に同席
  • 書類準備を税理士に丸投げ
  • 判断を税理士任せ
  • 税理士が銀行対応を知らない
  • ブラックリスト税理士だった
銀行対応に税理士が関わるデメリットが生じるのはどんなとき?

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