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決算書どこから見る?まずは「利益剰余金」を見よう!のナゼ

決算書どこから見る?まずは「利益剰余金」を見よう!のナゼ

決算書には、いろいろなことが書かれているけれど、いったいどこから見ればよいのか? 結論、まずは利益剰余金を見ましょう。その理由についてお話をしていきます。

目次

ぜんぶだいじなので、ぜんぶ見よう。

税理士という仕事をしていると、ときおり聞かれるのが「決算書の見方」です。決算書には、いろいろなことが書かれているけれど、いったいどこから見ればよいのか? いったいどこがだいじなのか?

結論、ぜんぶだいじなので、ぜんぶ見ましょう! というと、元も子もありませんから。極論、たった1箇所だけしか見ることができないとしたらココを見る! つまり、決算書はまずココを見よう! というお話をしてみます。

では、どこを見るのか? ずばり、利益剰余金です。

と聞いて、「利益剰余金」ってなに? とおもわれる人がいるかもしれません。数ある勘定科目のなかでみれば、利益剰余金はそれほどメジャーなものではないからです。

でも、だいじょうぶ。「利益剰余金とはなんなのか」も含めてお話をしていきます。この先の話をはじめる前に、自社の決算書を用意しておきましょう。

そのうえで、貸借対照表の「資産の部」を見ます。すると、「資本金」のちょっと下あたりに「利益剰余金」があるはずです。さぁ、どれだけの金額が掲載されていますか?

決算書はまず、利益剰余金を見る理由は次のとおりです↓

決算書はまず「利益剰余金」を見よう!のナゼ
  • 自社の収益力がわかるから
  • 債務超過までの余力がわかるから
  • ムダ使いしているかがわかるから

それではこのあと、順番に確認をしていきます。

決算書はまず「利益剰余金」を見よう!のナゼ

自社の収益力がわかるから

そもそも、利益剰余金とは。会社がはじまってから、いままでの「税引後利益の累計額」をあらわしています。したがって、黒字が続けば「プラスの金額」が積み上がり、赤字が続けば「マイナスの金額」が積み上がるということです。

実際には、黒字の年があったり、赤字の年があったりもするでしょうから、そのたびに利益剰余金は増減していることになります。では、そのうえで「いま、利益剰余金の金額はいくらなのか?」を確認してみましょう。

たとえばの話として。直前の決算書で確認をしたところ、3,000万円だとします。また、直前の決算期が「第 10期」だとすれば、「3,000万円 ÷ 10年」の計算により、自社の「平均的な年間利益」は 300万円だとわかります。

もし、直前の決算期の利益が「黒字 1,000万円」だとすれば、平均的な年間利益は 300万円なのですから、「突発的な黒字」が疑われるところです。逆に、「赤字 1,000万円」だとすれば、「突発的な赤字」が疑われるところです。

銀行もまた、このような見方をしていることを覚えておきましょう。利益剰余金から計算した「平均的な年間利益」と、直前の決算期の利益との差額が大きければ、その「原因」を銀行に伝えることが大切です。

たとえば、直前の決算期の黒字 1,000万円が、「事業改善の成果」であれば、翌期以降も同じくらいの黒字が見込めます。突発的な黒字と見られるよりも、銀行からの評価が上がるところです。

というように、利益剰余金を見れば、平均的な年間利益がわかります。つまり、「自社の収益力」をはかることができるという点で、決算書はまず、利益剰余金を見てみましょう。

債務超過までの余力がわかるから

債務超過とは、読んで字のごとく、債務が超過している状態をいいます。算式でいうと「資産 < 負債」です。つまり、貸借対照表の「資産の部」の合計額よりも、「負債の部」の合計額のほうが大きい状態をいいます。

資産をすべて売却して現金化しても、負債を完済できないのですから、危険であることがわかるでしょう。なので、債務超過になると、銀行から融資がとても受けにくくなります。銀行もまた、危険視している状態だということです。

ひるがえって、貸借対照表には「資産 = 負債 + 純資産(自己資本)」の関係があります。このとき、「資産 < 負債」であれば、「純資産」はマイナスになるのがポイントです。つまり、債務超過とは「資産 < 負債」かつ「純資産 < ゼロ」ということになります。

ではここで、貸借対照表の純資産のなかみを見てみましょう。多くの中小企業では、「資本金」と「利益剰余金」とで構成されています。算式でいうと、「純資産 = 資本金 + 利益剰余金」です。

利益剰余金が「税引後利益の累計額」であることは前述しました。利益剰余金は、プラスになることもあれば、マイナスになることもあります。もし、赤字続きの会社があれば、利益剰余金はマイナスです。

このとき、利益剰余金のマイナス金額が、資本金の額を上回るようだと、純資産はマイナスになります。これが債務超過です。

では、債務超過を避けるためにはどうしたらよいか? 利益剰余金のマイナスが、資本金の額を上回らないようにすればよい、とわかるでしょう。

仮に、資本金 300万円、利益剰余金が 500万円の会社があるとします。この場合、800万円の赤字が出ると債務超過に転じてしまう… ということです。言い換えると、債務超過まで 800万円の余力がある、ということでもあります。

自社について、危険な状態(=債務超過)までの余力をはかることができるという点で、決算書はまず、利益剰余金を見てみましょう。

ムダ使いしているかがわかるから

繰り返しになりますが、利益剰余金とは「税引後利益の累計額」です。税引後利益とは、税金を払ったあとの利益であり、税金を払ったあとに手元に残るおカネともいえます。

だとすれば、利益剰余金に相当するおカネ(預金)が残っているはずです。そこで、貸借対照表の預金の金額を確認してみましょう。結果、預金よりも利益剰余金のほうが多いこともあれば、その逆もあります。

では、預金よりも利益剰余金が多いとは、どういう状態なのか? おカネが、なにかしらの資産に変わっている(資産を買っている)ということです。そこで、貸借対照表の「資産の部」に並ぶ、資産と金額とを眺めてみましょう。

記載されている金額に見合うだけの価値があるかどうか? わかりやすい例でいうと、有価証券。貸借対照表には 100万円と記載されているけれど、いまの時価は紙切れ同然… だとすれば、結果的にはムダ使いをしたことになります。

また、棚卸資産 300万円が記載されているものの、実際には不良在庫で売れる見込みがない… だとすれば、やはりムダ使いをしてしまったといえるでしょう。

このように、利益剰余金の額と預金・資産の額とを見比べることで、ムダ使いをしているかどうかをはかることができます。会社は、おカネがなくなればおしまいなのですから、ムダ使いをしないことが大切です。

そのムダ使いの有無やていどを確認するためにも、決算書はまず、利益剰余金を見てみるとよいでしょう。

まとめ

決算書には、いろいろなことが書かれているけれど、いったいどこから見ればよいのか? 結論、まずは利益剰余金を見ましょう。その理由について、お話をしてきました。

ややもすると、利益剰余金はあまり知られていない勘定科目ではありますが。銀行も注目している勘定科目の1つですから、本記事の内容を押さえておきましょう。

決算書はまず「利益剰余金」を見よう!のナゼ
  • 自社の収益力がわかるから
  • 債務超過までの余力がわかるから
  • ムダ使いしているかがわかるから
決算書どこから見る?まずは「利益剰余金」を見よう!のナゼ

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