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損益計算書の基本「5つの利益」の見方・考え方

損益計算書の基本「5つの利益」の見方・考え方
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決算書の見方がよくわからない… という社長の悩みがありますが。損益計算書の基本として、「5つの利益」の見方・考え方についてお話をしていきます。

目次

決算書の見方がよくわからない。

税理士という職業柄、「決算書の見方」について聞かれることがあります。決算書の見方がよくわからない社長がけして少なくはない、ということです。

ひとくちに決算書といっても、見どころはいろいろありますから。一朝一夕にお伝えできるほど、決算書は底浅いものではありません。そこで、本記事では「なにか1つ」をお伝えしようということで、損益計算書の「利益」に注目をしてみます。

損益計算書には、「複数」の利益が記載されていることはご存知でしょう。それらの利益それぞれについての見方や考え方を知ることは、決算書の理解に役立つものと考えます。

では、損益計算書に記載されている利益とは…? ぜんぶで5つ、次のとおりです↓

損益計算書の基本「5つの利益」
  1. 売上総利益
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. EBITDA

それではこのあと、確認していきましょう。


損益計算書の基本「5つの利益」の見方・考え方

売上総利益

損益計算書を上から見ていくと、はじめに登場するのが「売上総利益」です。「売上高 ー 売上原価」で計算されます。売上原価とは、言い換えると「仕入」や「外注費」です。

仕入や外注費は、売上と「直接的に結びつく費用」だといえます。たとえば、「りんご1個を 70円で仕入れて 100円で売りました」というケース。「売上高 100円 ー 仕入 70円」で、売上総利益は 30円です。

よって、売上総利益の計算から、その会社の「ビジネスモデル(商売)をかいまみる」ことができます。

他社の決算書に関していえば、「なにを・だれに・どのように売っているか」まではわかりませんが。それでも、「売上原価に対して、どれくらいの利益をのせて売っているのか」はわかるでしょう。

この点で、「売上総利益率(売上総利益 ÷ 売上高)」という指標があります。一般には、高いほど稼ぐチカラがある、高いほどよい、といわれる指標です。

が、必ずしも、売上総利益率が高ければよいわけではありません。

売上総利益率が高いということは、外部のチカラ(仕入先・外注先)に頼らず、内部のチカラ(社内)で利益をつくりだすということです。稼ぐチカラが大きいいっぽうで、内部の資源(人手や時間)にも限界がありますから、売上を一定以上に上げるのは難しいものがあります。

これに対して、売上総利益率が低いということは、おもに外部のチカラを活用して、利益をつくりだすということです。よって、仕入や外注費を払えるだけのおカネがあれば、売上をどんどん増やすことができます。

つまり、売上総利益率が高いから良い、低いから良い、ということではありません。売上総利益率を通じて、それぞれの会社が「どのようなビジネスモデルを選んでいるか」の違いを知ることが大切です。

ビジネスモデルの異なる会社を並べて、売上総利益が多い・少ない、売上総利益率が高い・低いを論じることに意味はない、ともいえます。ビジネスモデルありきの売上総利益、と考えておきましょう。まずは、自社がどのようなビジネスモデルを選ぶのか、です。

営業利益

前述の売上総利益から、「販売費および一般管理費」を控除した金額が「営業利益」です。販売費および一般管理費とは、人件費や家賃、交際費、交通費などの諸費用をいいます。

いずれの費用も、会社が商売をするにあたって継続的に必要な費用であり、まさに必要経費です。そのように営業利益は、売上高から「売上に欠かせない売上原価と必要経費」を差し引いたあとの利益であることから、「本業から生み出される利益」ともいわれます。

だとすれば、「営業利益がマイナス」は、いかにマズい状況であるかがわかるでしょう。要は、「本業ではもうかりません」ということですから、「だったら、商売をやめたほうがよい」となってしまいます。

そのため、営業利益がマイナスになると、銀行からの融資が受けにくくなることは理解しておきましょう。会社がまず目指すべきは、「営業利益がプラス」です。

なお、営業利益を増やす方法のひとつに「コストカット」があります。販売費および一般管理費を減らして、営業利益を増やそうという考え方です。が、コストカットは「将来の売上」を減らしてしまうことがあるので気をつけましょう。

たとえば、人材採用・育成のための費用を削りすぎたり、新商品の開発費や、設備投資(消耗品費や減価償却費)を削りすぎたり。目先の利益は増えても、将来の売上・将来の利益を減らしてしまうことはあるわけです。

コストカットもだいじな視点ではありますが、なんでもかんでもカットするのではなく、「将来の売上に繋がるコストかどうか」を基準に考えるとよいでしょう。

経常利益

「営業利益 + 営業外収益 ー 営業外費用」で計算される利益が、「経常利益」です。営業外収益や営業外費用は、いわゆる「財務活動」から生じるものであり、「事業活動」から生じる営業利益とあわせて、経常利益は「会社の総合的な収益力をあらわす」といわれます。

よって、会社の持続力をはかるという点では、経常利益がもっとも適した指標だといえるでしょう。では、その経常利益がマイナスの場合はどう考えればよいのか?

もう少し具体的にいうと、営業利益はプラスなのに経常利益はマイナス、というケースです。よくあるのは「支払利息 > 営業利益」、つまり、借入にともなう支払利息が負担になっているのであり、会社の収益力から見ると「借りすぎ」だといえます。

この点で、「インタレスト・カバレッジ・レシオ」という指標があります。「営業利益 ÷ 支払利息」で計算される指標です。「支払利息 > 営業利益」だと、インタレスト・カバレッジ・レシオは「1未満」になります。

銀行も決算書の評価上、見ている指標であり、「1未満」の場合には融資が受けにくくなることを覚えておくとよいでしょう。

ちなみに、営業外収益とは、受取利息や雑収入などをいいます。いまは低金利ですから、預金から生じる受取利息はほとんどなく、営業外収益が大きな金額になることは少ないはずです。

税引前当期純利益

「経常利益 + 特別利益 ー 特別損失」で計算される利益が、「税引前当期純利益」です。税引前の、会社の最終的な利益をあらわします。

特別利益や特別損失とは、文字どおり、特別な利益や損失です。毎年発生するようなものではなく、今年たまたま発生するようなものをいいます。

ですから、税引前当期純利益が赤字であっても、経常利益が黒字であれば(=特別損失が多い)、それほど心配はありません。銀行も、そういった見方をしています。

逆に、税引前当期純利益は黒字でも、経常利益が赤字の場合はどうかというと。銀行は、経常利益の赤字のほうに注目しますから、「特別利益で利益を増やす」ことには大きな効果はないといえます。

このあたり、特別利益や特別損失の具体例も含めて、別記事にまとめましたのでご参考にどうぞ↓

なお、税金を減らしたいとの思いから、費用を増やして税引前当期純利益を減らそうとする社長がいます。ですが、銀行融資の観点からはおすすめできません。

費用を増やせば、利益が減ります。銀行は「利益=返済原資」と見ているので、利益が減れば、受けられる融資の額が減ることを理解しておきましょう。

1つの目安として、借りることができる金額は「(税引後利益+減価償却費)× 10」です。費用を増やせば、おのずと税引前当期純利益が減り、税引後利益も減ります。もしも、税引後利益を 100万円減らしたら、1,000万円の融資が受けられなくなるかもしれないということです。

節税も悪くはありませんが、過度な節税にはじゅうぶん気をつけましょう。

EBITDA

EBITDAとは、「Earnings Before Interest Taxes Depreciation and Amortization」の略。日本語でいうと、「利息の支払い前、税金の支払い前、減価償却費の控除前の利益」です。

いやいや、EBITDAなんて損益計算書にないだろう? いわれれば、そのとおりです。とはいえ、損益計算書から「カンタン」に計算できる利益であり、銀行も注目している指標であることを覚えておきましょう。

結論、EBITDAは「営業利益+減価償却費」で計算できます。これが、前述の「利息の支払い前、税金の支払い前、減価償却費の控除前の利益」にあたる金額です。

ちなみに、EBITDAは「イービットディーエー」とか「イービットダー」などと読まれます。ほかにも、イービッタ、エビータ、エビティーダとか、いろいろです。

ひるがえって、EBITDAの計算式である「営業利益+減価償却費」を見て、思い出したかもしれません。前述した、「(税引後利益+減価償却費)× 10」の算式です。このうち、「税引後利益+減価償却費」に似ています。

税引後利益+減価償却費は、返済原資の位置づけでした。EBITDAにも似たような見方があります。税引後利益よりも営業利益のほうが、より会社の純粋な収益力をあらわしますから(営業外収益や特別利益などが含まれていない)、より純粋な返済原資だといえるでしょう。

この点で、「EBITDA有利子負債倍率」という指標があります。「(借入金 − 現金預金)/(営業利益 + 減価償却費)」で計算される指標です。これにより、いまある借入金を、あと何年で返せそうかをはかることができます。

EBITDA有利子負債倍率は、銀行と会社の対話ツールである「ローカルベンチマーク」で採用されている指標のひとつです。こういったところからも、EBITDAが注目度の高い指標であることがわかります。損益計算書から計算できる利益として押さえておきましょう。


まとめ

損益計算書の基本として、「5つの利益」の見方・考え方についてお話ししてきました。決算書の見方がよくわからない… という社長の悩みがありますが。決算書の見どころはいろいろですから、少しずつ、ポイントを押さえていきましょう。

損益計算書の基本「5つの利益」
  1. 売上総利益
  2. 営業利益
  3. 経常利益
  4. 税引前当期純利益
  5. EBITDA
損益計算書の基本「5つの利益」の見方・考え方

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