銀行が融資先の社会保険料について気にしていること

銀行が融資先の社会保険料について気にしていること

銀行が融資審査の際に気にしていることとして、融資先の社会保険料が挙げられます。では、具体的になにを気にしているのか? についてお話をしていきます。

目次

社会保険料も融資審査の対象になる

銀行が融資審査の際に気にしていることはいろいろありますが、実は、融資先の「社会保険料」も対象であることを知っているでしょうか?

銀行から融資を受けている、あるいは、融資を受ける予定がある会社の社長であれば、自社の社会保険料について注意が必要です。ではいったい、銀行はなにを気にしているのか? 具体的には次のとおりです↓

銀行が融資先の社会保険料について気にしていること
  • 未払いがあるか
  • 簿外負債があるか
  • 銀行以外の借金があるか

それではこのあと、順番に確認をしていきましょう。

銀行が融資先の社会保険料について気にしていること

未払いがあるか

融資先の社会保険料について、銀行が気にしていることの1つめは「未払いがあるか」です。

言うまでもありませんが、会社には社会保険料を支払う義務があります。その社会保険料に未払いがあったとしたらどうでしょうか?

銀行がまず考えるのは「資金繰りが厳しいのではないか」ということです。支払う義務があるにもかかわらず支払えないのは、そのあらわれ。だとすれば、融資をするのは危険だと考えます。

また、支払う義務があるものを払わないということ自体も問題です。社会の公器とも呼ばれる銀行が、そのような会社に融資をしてよいものか。よいはずがない、という見方もあります。

いずれにせよ、社会保険料の未払いがあると、融資が受けられない・受けにくくなる原因になることを理解しておきましょう。

とはいえ、銀行はどうやって社会保険料の未払いを把握するのか? と、おもわれるかもしれません。シンプルなところでは決算書です。貸借対照表に「未払金」が記載されていて、かつ、勘定科目内訳明細書に社会保険料の未払金であることが記載されているかどうかでわかります。

ただし、社会保険料の納付期限は「納付対象月の翌月末日」とされているので、決算月分の社会保険料は「未払金」として計上されるのは問題ありません。

また、決算月末が土日祝日である場合には、決算月支払い分は翌月初にズレ込むため、最大2ヶ月分の社会保険料が「未払金」として記載されることはありえます。

いっぽうで、2ヶ月分を超える金額の未払金となると、「払うべきものを払っていない」ということですから、銀行からは状況を確認されることにもなるでしょう。

したがってまずは、銀行が決算書で社会保険料の未払いを確認していることは、覚えておかねばなりません。

簿外負債があるか

だったら、未払いがあっても決算書に記載しなければよいのではないか? と、考える社長もいるでしょう。つまり、簿外負債にしてしまおうということです。

しかしながら、銀行も当然そのような方法を理解しています。なので、簿外負債がないかどうかのチェックをしています。

具体的には、損益計算書の「役員報酬」や「給料・賞与」の金額に、社会保険料率(おおむね15%)を乗じた金額が、「法定福利費」の金額に近いかどうかです。

もし、法定福利費の金額のほうが「だいぶ低い」ということになれば、計上すべき未払金を計上していない可能性がありますから、銀行は会社に状況を確認することになるでしょう。

この点で、「給料・賞与」と「法定福利費」とのあいだで金額を調整していた(利益は変わらない)、という会社のハナシを聞いたことがあります。これはもはや「詐欺行為」にあたりますから、当然してはいけないことです。

とはいえ、社会保険料の未払いはどうしたらよいのか? 1つの方法は、社会保険料が未払いになる前に融資を受けることになります。

社会保険料が未払いになってしまえば、銀行融資が受けられなくなるのであれば、未払いになる前に受けるしかありません。ところが、未払いになる前には融資を受けようとせず、未払いになってから融資を受けようとする社長がいます。

さらに言えば、銀行への返済よりも社会保険料の支払いが先です。銀行への返済を優先するあまり、社会保険料が未払いになっている会社もあります。新規融資は受けられないうえに、社会保険料の厳しい取り立て(差し押さえ)となれば、困ってしまうでしょう。

なので、ほんとうに資金繰りが厳しいのであれば、先に銀行への返済を止めることです。つまり、リスケジュール(返済の猶予・減額)を銀行に依頼して、社会保険料を支払う原資を確保することが大切になります。

銀行以外の負債があるか

話を戻して、銀行が融資先の社会保険料について気にしていることが「銀行以外の借金があるかどうか」です。

具体的に言えば、ノンバンクやカードローン、消費者金融など。銀行から融資を受けるよりも「お手軽」だからと、会社あるいは社長個人がそういったところからおカネを借りてきて、社会保険料の支払いをしているケースがあります。

会社で借りた場合には、決算書には「借入金」が記載され、勘定科目内訳明細書を見れば、ノンバンクなどからの借入金であることがわかります(会社が正直に記載していれば)。

また、社長個人が借りた場合には、決算書に「役員借入金」として記載されることでしょう。これを銀行が「怪しい…」と考えれば、役員借入金の原資を社長に確認することがあります。

怪しいとおもわれるかどうかは、社長の収入(役員報酬や個人の不動産賃貸収入など)と個人資産の状況しだいです。収入も資産もそれほどないとおもわれるのに、役員借入金が増えていると怪しまれるようになります。

いずれにせよ、銀行はノンバンクなどからの借入を嫌うものであることは理解しておきましょう。

銀行から借入できなくなった会社(業績・資金繰りが悪い会社)が、ノンバンクなどに頼る傾向があるから、という理由がひとつ。もうひとつは、ノンバンクなどの金利は高く、返済をするのにいっそう業績・資金繰りが悪化をするからです。

なお、ノンバンクなどからの借金があるかどうかは、銀行が「個人信用情報」を確認すればわかります。必ずしも、銀行が個人信用情報を確認するわけではありませんが、わかってしまう可能性があることも理解しておきましょう。

銀行から融資を受けたいのであれば、ノンバンクなどからの借金はしないことです。したがって、ノンバンクなどから借金しなければならないほど資金繰りが厳しいのであれば、先に銀行の返済を止めるということになります。

まとめ

銀行が融資審査の際に気にしていることとして、融資先の社会保険料が挙げられます。では、具体的になにを気にしているのか? についてお話をしてきました。

銀行の「視点」の1つとして、理解しておくようにしましょう。

銀行が融資先の社会保険料について気にしていること
  • 未払いがあるか
  • 簿外負債があるか
  • 銀行以外の借金があるか
銀行が融資先の社会保険料について気にしていること

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