未来のことはわからない、だから計画を立てても意味がない。ほんとうに、そうでしょうか? それでも計画を立てることには「メリット」がありますよ、というお話です。
未来のことがわからないのはあたりまえ。
突然ではありますが、物ごとを進めるにあたって計画は立てていますか?
ひとくちに計画と言ってもいろいろです。仕事に関する計画もあれば、プライベートに関する計画もあるでしょう。計画の対象期間は、長いものもあれば短いものもあるでしょう。
いずれにせよ、「計画をする」とは、なにかしらの物ごとを進めるにあたって、あらかじめ事前に、方法や手順などを筋道を立てて考えることを言います。
あなたは、そんな「計画」を立てていますか? というのが冒頭の問いです。 と聞くと、「どうせ未来のことなどわからないのだから、計画を立ててもしかたがない。意味がない。ムダだ」といった回答もありますが。
ほんとうにそうなのでしょうか? わたしは、できるだけ計画を立てるようにしています。計画の「緻密さ」は、内容によって・そのときどきで変わりはするものの、なにはともあれ計画を立てるようにしています。
たしかに、未来のことはわかりませんが、それでも計画を立てることには「メリット」があるからです。具体的にはこちら↓
- ズレの把握
- 集中できる
- 先読みできる
- 実行力が上がる
- コミットできる
これらのメリットについて、その大きさを理解すれば、「計画を立てよう・計画を立てたい」と心変わりするかもしれません。
それではこのあと、計画を立てるメリットそれぞれを、順番に確認していきましょう。
それでも計画を立てるメリット
ズレの把握
前述したとおり、未来のことは誰にもわかりませんから、計画を立てたとしても、多かれ少なかれ「実際とのズレ」が生じるものです。
そのズレを見て、「ほれ見たことか、どうせズレるのだから計画に意味はない」と言う人がいます。が、計画は「占い」ではありません。当たるかどうか? が重要なのではなく、ズレを把握することが重要なんだと、わたしは考えています。
ズレとは、計画と実際のズレであり。計画とは、いうなれば「理想」です。つまり、ここで言う「ズレ」とは、理想と現実のズレを意味します。
ズレを把握できるようになると、「軌道修正」できるのがメリットです。逆に、ズレを把握できないと、軌道が合っているのか・間違っているのかもわかりません。結果、間違えたまま進み続けることもあるでしょう。
ロケットが月に到達できたのは、「計画」があったからだと言われます。理想と現実のズレを把握し、軌道修正し続けることで、「偉業」を成し遂げることができたわけです。
目指す場所が遠くにあればあるほど、ズレは致命的にもなります。目指す角度が1度ズレたとして、1m先であれば到達点に大きな差はありませんが、1km先になると 20m近くも到達点に差が出てしまいます。では、10km先だったら…? 100km先だったら…?
だいぶ進んでしまってからズレに気づいたのでは、軌道修正するのもタイヘンです。早めに軌道修正できるよう、早めにズレを把握するためにも、計画があるとよいのではないでしょうか。
集中できる
計画を立てる段階では、「なにをやるか」を考えることになります。「なにをやるか」を考えることは、言い換えると「なにをやらないか」を決めることです。
やらないことがハッキリすると、ヒトは「集中」できるようになります。放っておくと、あれもこれもと手をつけてしまいがちですが、「やらない」と決めることで、それを防ぐことが可能です。
仕事にしても、プライベートにしても、与えられた「資源」は限られています。よく言われる表現だと、「ヒト・モノ・カネ」です。ほかにも、「時間」や「情報」などもあるでしょう。なんにせよ、資源は「限りあるもの」と考えれば、あれもこれも手をつけるわけにはいきません。
計画を立てずにいると、資源がいくらでもあるようにふるまいやすくなります。とくに、時間を過大評価しがちです。
たとえば、「まだ1ヶ月もあるからだいじょうぶだろう」と考える人がいます。ところが、1ヶ月のなかにスケジュールを落とし込む、さらには1日ごとのスケジュールを確認すると、それほど自由になる時間が残されていない… ということはあるはずです。
それでも、「1ヶ月」というまとまった時間のカタマリだけを見て、まだ時間はあると勘違いしてしまう。さらには「人生」というもっと大きなカタマリを見て、時間がいくらでもあるかのように勘違いしてしまうのは、「あるある」でしょう。
実際には、時間に限りがあるのですから、あれもこれもはできません。ゆえに、計画を通じて、「なにをやるか・なにをやらないか」を決めることが、「集中」に役立つものと考えます。
先読みできる
計画を立てるにあたっては、「先読み」が必要です。こんなことが起きるかもしれない、あんなことが起きるかもしれない。起きたらどうしようか? といったことを思案します。
言うなれば、「シミュレーション」です。そのシミュレーションが、さまざまな場面に対する予行演習になります。すると、実際になにか起きたときにも「場当たり(ぶっつけ本番)」ではなくなるため、よりスムーズに対応できるのはメリットです。
逆に、先読みができていないと、状況は常に「場当たり」となります。うまく対応できることはあるかもしれませんが、それは「ラッキー」と呼ぶべきものです。どちらかといえば、アタフタしたあげく、対応が遅れる・失敗することが多くなるのではないでしょうか。
わたし自身は、計画を立てる際には「プランB」も用意しています。もともとの計画を「プランA」とするのであれば、それがうまくいかなかった場合、問題が起きた場合の「バックアッププラン」としての「プランB」です。
その「プランB」もまた、先読みの1つだと言えます。そこまで考えて、プランBを使うことがなければ、計画を立てるのは時間のムダではないか? と言われるかもしれませんが。
なにが起きるかわからないのが、「現実」です。備えあれば憂いなし。それに、計画に時間をかけることで得られるメリットもありますよ、というのが次のお話です。
実行力が上がる
目標の達成率と、計画の有無にはどのような関係があるのか? この点で、計画を立てている人のほうが目標の達成率が高かった、という研究があります。
そのような結果になる理由は、ヒトは時間をかけて思案すればするほど、その内容が記憶に残りやすく、目標達成に向けた思考・行動量が増えるからだそうです。
つまり、時間をかけて「わざわざ計画を立てる」ことはムダとは言えず、結果的には、目標に対する実行力が上がるのだ、ということになります。ヒトの脳とは不思議なものですね。
また、計画の立て方にもコツがあり、「いつ・どこで・だれが・なにをする」のかをできるだけ具体的にすること、これが大切だと言われます。逆に、そのあたりが不明瞭だと、実行しづらくなってしまう… ということはイメージできるでしょう。
ところが、実際には「あいまい」な計画というものも少なくありません。とくに、「いつ」は重要です。行動の「タイミング」があいまいだと、結局はなにもしないまま… というのは、企業の経営計画でもわりとよく見られます。
ですから、とくに「いつ」に注意をしながら、計画を立てるようにしてみましょう。
コミットできる
計画を立てる過程で、「明文化」をすることになります。明文化とは、文字にすることであり、誰の目にも見えるカタチにすることです。
と言うと、「そんなことをせずとも、アタマのなかに入っている」とおもわれるかもしれませんが。じぶんのアタマのなかにあるものを、他人は見ることができないのが問題です。
仕事であれば、他人(上司・部下・同僚・取引先など)との関わりがあります。そのときに計画がなければ、各自が自分勝手な解釈をはじめてしまうことはあるものです。
いっぽうで計画があれば、「ほら、ここにこう書いてあるでしょ?」とすぐに認識合わせをすることができます。
なので、社長は「計画」を立て、「計画書」をつくり、それをみなと「共有」することで、みなに計画を「コミット(実行の約束)」をさせることができる。これもまた、計画のメリットです。
計画がなく、明文化されていなければ、コミットさせられる側は困惑してしまうでしょう。具体的に、なにをコミットすればよいのかわからないからです。
なおこの場合、社長が立てた計画は、他人にコミットさせるだけではなく、社長自身に対するコミットとしても機能します。明文化した以上、社長もまた守らねばなりません。
ところが、明文化されていないと、「そんなことは言っていない」とか「そんなつもりではなかった」などと言い訳をしやすくなるものです。
これは、社長に限った話ではなく、仕事に限った話ではありません。計画を立て、明文化するからこそ、他人との約束にすることができるし、じぶんとの約束にすることもできます。結果として、実行可能性が高まるというメリットもあるでしょう。
まとめ
未来のことはわからない、だから計画を立てても意味がない。という考え方があります。たしかに、未来のことはわかりませんが、それでも計画を立てることには「メリット」はあるものです。
そのメリットの大きさを理解すれば、「計画を立てよう・計画を立てたい」と心変わりするかもしれません。
- ズレの把握
- 集中できる
- 先読みできる
- 実行力が上がる
- コミットできる