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税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長の危うさ

税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長の危うさ

税金を払うと資金繰りが悪くなる。だから利益は出さないほうがいい、と言う社長がいます。が、その考え方には危うさがあるので気をつけましょう、というお話です。

目次

さいごはじぶんが決めること、だから否定はしない。

会社は「利益」を出すほど、「税金(法人税)」をたくさん支払わなければいけません。だからでしょうか、「税金を払うと資金繰りが悪くなる」と言う社長がいます。

いっぽうで、わたしは日ごろから「出せる利益はきちんと出しましょう」と話をしているわけですが。すると、「そんなことをしたら資金繰りが悪くなる! 利益は出さないほうがいい」とのご意見をいただくこともあります。

さいごはじぶんが決めることですから、それも否定はしませんが、「考え方」として危うさがあることは理解しておいたほうがよいでしょう。では、なぜ危ういのか?その理由は次のとおりです↓

税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長が危うい理由
  • 税引後利益が少なくなるから
  • 銀行に対する借入余力が減るから
  • 追加の税金が生じやすくなるから

それではこのあと、順番に確認していきましょう。


税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長が危うい理由

税引後利益が少なくなるから

たとえば、税引前利益 500万円を見込む会社があったとします。税率が 25%だとすれば、法人税は 125万円です(500万円 × 25%)。

これを見た社長が、「そんなに税金を払ったら、資金繰りが悪くなる。節税するぞ!」と考えたとします。ちなみに、節税の方法は「経費を 400万円使うこと」です。

これにより、税引前利益は 100万円となりますから(500万円 ー 400万円)、税金は 25万円に減ります(100万円 × 25%)。当初の税金 125万円と比べると 100万円も税金が減るので、社長は満足気です。

さて、これでよいのでしょうか?

実は、「資金繰りをみずから悪くしている」ことに気が付かなければいけません。もし、節税をしなければ、「税引前利益 500万円、税金 125万円」ですから、税引後利益は 375万円でした。

税引後利益とは、税金を支払ったあと「手元に残るおカネ」でもあります。つまり、節税をしなければ、375万円のおカネが残ったわけです。

いっぽうで、節税をした結果はどうなったのか。「税引前利益 100万円、税金 25万円」ですから、税引後利益は 75万円になります。つまり、手元に残るおカネは 75万円です。

さぁ、どうでしょうか。節税をしなければ 375万円のおカネが残ったのに、節税をしたがために 75万円のおカネしか残らない… 実に、300万円もの差が生じます。言うまでもなく、経費 400万円のおカネを使ったからです。

節税すれば、たしかに税金は減りますが、節税の方法によっては「手元に残るおカネ」が減ることもある。むしろ、税金を払ったほうが手元におカネが残ることもある。これを理解しておきましょう。

なお、いくら税引後利益が大きくても、売上入金や仕入・経費の支払いタイミングによっては、「納税時にはおカネがない」こともありえます。利益とおカネの動きは、必ずしも一致しないからです。

そのときに利用を検討したいのが、「納税資金の借入」になります。銀行から、納税のためのおカネを借りることは可能です。これにより、納税時の資金繰り悪化を避けることができます。

「借入をしてまで納税なんて…」と、抵抗を感じる社長もいるようですが。いずれは、税引後利益に相当するおカネが手元に残りますから、借りたおカネの返済に困ることもありません。

銀行に対する借入余力が減るから

さきほど話をしたとおり、税金を払わないようにするとは「利益を減らす」ということでもあります(注・利益を減らさない節税の方法はあります)。

利益が減ると、手元のおカネが減ることは前述したとおりですが、加えてもう1つ、利益が減ることで資金繰りが悪化する点に注意が必要です。それはなぜなのか?

ずばり、銀行に対する「借入余力」が減るからです。借入余力とは「あとどれくらい借りられるか?」ということであり、資金調達を必要とする会社であれば、借入余力は多いほどよいということになるでしょう。

結論として、銀行が考える借入余力とは「(税引後利益 + 減価償却費)× 10 ー いまの借入金残高」です。くわしい説明は別の機会に譲りますが、「税引後利益」を 10倍している点に注目してみましょう。

これは、税引後利益が多いほど借入余力は大きくなる、ということです。税引後利益を大きくするには? 当然、税引前の利益を大きくすることが必要になります。

逆に、税引前の利益が少なくなれば、税引後利益も少なくなりますから、借入余力は減少することになります。借入余力が減少すれば、会社はじゅうぶんな資金調達ができずに、資金繰りが悪化することになりかねません。

したがって、税金を払わないようにするというのは「借入余力を減らす行為」であり、さらには、前述したとおり「手元に残るおカネを減らす行為」でもあるのですから、資金繰りが大幅に悪化する可能性が高いことがわかるでしょう。

繰り返しになりますが、税金を払うと資金繰りが悪化するのではなく、税金を払わないほうが資金繰りが悪化しやすいのです。これを逆に考えないように気をつけましょう。

ダメ押しとして、さきほどの会社の事例で借入余力を考えてみます。節税前は「税引前利益 500万円、税金 125万円」、節税後は「税引前利益 100万円、税金 25万円」でした。

よって、節税前の税引後利益は 375万円(500万円 ー 125万円)、節税後の税引後利益は 75万円(100万円 ー 25万円)です。その差は 300万円であり、その 10倍にあたる 3,000万円が、借入余力の差になります。

節税をすれば、目先の税金は 100万円減りますが、銀行からの融資は 3,000万円ほど受けられなくなるかもしれないということです。それでも節税をしたいですか?

追加の税金が生じやすくなるから

さきほどから、「経費を使う」という方法の節税について話をしています。この点で、「追加の税金が生じやすくなる」という問題に注意が必要です。いったい、どういうことなのか?

経費を使うという発想がエスカレートすると、いわゆる「グレーゾーン」を攻めるケースが増えるものです。グレーゾーンとは「明確にアウトではないものの、明確にセーフとも言えない経費」が該当します。

グレーゾーンを攻めること自体が問題なのではありませんが、注意点が2つあります。ひとつは、グレーゾーンに対する準備はじゅうぶんか? もうひとつは、グレーゾーンを超えて脱税に及ぶことがないか? です。

まずは前者、準備がじゅうぶんか? とは。言うまでもありませんが、グレーゾーンは税務署にとっての関心事でもあります。ですからもし、税務調査となれば、追及される可能性は高くなるでしょう。

このとき、税務署を納得させられるだけの「説得材料」がなければ、会社が修正を迫られるケースも考えられます。結果として、追加の税金が発生することもあるわけです。

税務調査の準備に手間がかかった挙げ句、追加の税金でおカネが減ります。追加の税金となると、もともとの税金に加えて、ペナルティの税金も乗っかりますから、よけいに税金を払うことになるのです。

それから、グレーゾーンを超えて脱税に及ぶことについて。グレーゾーンを攻め続けている場合、税務調査がたまたまなくて、おとがめもないとなると、ついつい攻めすぎてしまうことはあるものです。

極端なケースでは、ほんとうは経費ではないのに経費だと偽ってしまう。こうなると、節税ではなくて脱税です。脱税はいずれ必ず見つかるものであり(遅いか早いかの問題)、そのときには追加の税金を免れることはできません。

脱税によるペナルティ(上乗せの税金)は、さきほどのグレーゾーンによるペナルティとは比較にならないほど多額です。脱税によるペナルティは重く、会社の資金繰りに致命的なダメージを与えることがあります。

しかも、脱税にともなう税金を払うためには、銀行もおカネを貸してはくれません。そもそも、脱税をするような会社に銀行は融資をしたがらないので、会社の資金繰りはやはり悪化します。


まとめ

税金を払うと資金繰りが悪くなる。だから利益は出さないほうがいい、と言う社長がいます。が、その考え方には危うさがあるので気をつけましょう、というお話をしてきました。

危うさの理由を理解すれば、「出せる利益をきちんと出す」ことも選択肢の1つになるはずです。むしろ、「利益を出し惜しむ」ことが、資金繰りの悪化に繋がることを覚えておきましょう。

税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長が危うい理由
  • 税引後利益が少なくなるから
  • 銀行に対する借入余力が減るから
  • 追加の税金が生じやすくなるから
税金を払うと資金繰りが悪くなる、と言う社長の危うさ

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