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銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選

銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選

会社に対する融資であったとしても、銀行が見ているのは「人」。さらに言えば、「社長」です。というわけで、銀行が社長の資質・能力をはかるポイントを押さえておきましょう。

目次

銀行が見ているのは社長個人。

銀行には、「人を見て貸せ」という考え方があります。

よって、会社に対する融資であったとしても、銀行が見ているのはやはり「人」です。会社のなかにいるのは人であり、人がいてこその会社だからです。

また、銀行には「中小企業 = 社長」との見方もあります。事実、多くの中小企業では「社長 = 大株主」であり、経営と所有は一体、会社と社長個人は一心同体だと言ってよいでしょう。

ゆえに、銀行は会社に融資をする際、その会社の「社長個人」にも注目をしています。言い換えると、銀行は「社長の資質や能力」にも目を向けているということです↓

銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選
  1. リーダーシップ
  2. 情熱と冷静
  3. ビジネスモデル
  4. 計数管理
  5. 会社と個人の区分
  6. 人からの信頼
  7. 人への信頼
  8. 順法・誠実
  9. 心身の健康
  10. 家庭の環境

だとすれば、社長は「どこを見られているのか・どう見られているのか」を理解しておくのがよいでしょう。それではこのあと、それぞれのポイントについて、順番に確認していきます。

銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選

リーダーシップ

社長たるもの、リーダーシップがあったほうがよいのは言うまでもありません。たとえ、ひとり社長(社員はゼロ)であったとしても、じぶん自身を導く必要もあるでしょう。

そのうえで、グイグイ系のリーダーシップもあれば、理路整然と説き伏せる系のリーダーシップもあるわけですが。どちらが良いというわけではなく、あくまで「タイプ」の違いになります。

ですから、社長はまず、自身の「リーダーシップのタイプ」を把握しましょう。それができなければ、銀行に対して「リーダーシップ」をアピールすることもできないからです。

情熱と冷静

リーダーシップにタイプがあるのと同様に、情熱にもタイプがあります。メラメラと燃える炎が見えるかのうような情熱もあれば、ひとり静かに闘志を燃やす情熱もあるでしょう。

いずれにせよ、社長がいだく情熱は、会社・事業の持続・成長に必要な要素のひとつです。いっぽうで、客観的に物ごとを見る冷静さが必要になります。

とくに銀行は、「保守的」な考え方を持っていますし、「堅実」な社長を好むものです。情熱ばかりのイケイケドンドン社長と見られると、評価を落とすことになりかねません。銀行の前で、不満や怒りをあらわにするのは厳禁です。

ビジネスモデル

ここで言うビジネスモデルとは、言い換えると「商売」です。社長が自社の商売をわかっているかどうか? わかっているに決まっているかというと、そうでもありません。

自社の商品力や技術力を言語化できておらず、銀行に説明できない社長はいます。なお、言語化のポイントは、「同業他社との違い・類似商品との違い」をあきらかにできるかどうかです。

また、社長には「商売の創造力」も求められます。新型コロナによって、多くの企業で「従来のビジネスモデルの維持」が困難になりました。必要なのは、事業転換をはかる「創造力」です。

計数管理

ひとことで言えば、「数字で経営判断できるかどうか」です。これに対して、「勘・経験・度胸」だけで経営判断するような社長は、銀行から好かれません。

数字とはいうなれば、「唯一無二の客観的なモノサシ」ですから、これを扱えない社長はどうなのか?(問題があるだろう)という銀行の見方はもっともでしょう。

とはいえ、「数字(決算書や資金繰り表など)を読める」ようになるにも勉強は必要です。その勉強をしているか? ということも、銀行の視点には入っています。勉強熱心でありましょう。少なくとも、「数字が嫌い」ではいけません。

会社と個人の区分

会社のサイフと社長個人のサイフがごっちゃになっている社長がいます。つまり、会社のおカネで、個人的な欲求をみたそうとする社長です。

いわゆる「勘定科目」で言えば、交際費や旅費交通費、福利厚生費といったところにあらわれることが多く、それらの金額が多い会社を銀行は警戒しています。

また、会社が赤字になるほど社長が役員報酬をとっていたり、あるいは、社長が会社からおカネを借りていたり、というのもよくありません。会社と個人の区分ができていない、と言えるでしょう。

人からの信頼

人間ひとりのチカラは限られています。いざというときに助けてもらえる人が、周り(社員、取引先など)にいるかどうか。助けを得られるくらい、人からの信頼を得られているかどうか。

たとえば、銀行は会社に訪問した際、社長に対する社員の態度から「社長への信頼」をはかろうとしています。また、融資先からの情報収集によって、社長の評判を知ることもあります。

ですから、銀行の前だけで取り繕うことはできても、結局はボロが出ることは覚えておきましょう。壁に耳あり障子に目あり。社長は、いついかなるときでも「見られている」という自覚が必要です。

人への信頼

いましがた、「人からの信頼」という話をしました。この点で、一方的に人から信頼されることはないでしょう。人への信頼があってこそ、人からの信頼がある、ということです。

つまり、社長が他人を信頼していないようであれば、銀行は心配をすることになります。社長が、社員に横柄な態度や言葉遣いをしていないかどうか、などは視点のひとつです。

また、銀行に対する信頼もポイントになります。やはり、銀行の前で横柄な態度や言葉遣いをする社長もいるからです。結果として、銀行からの信頼が得られないのは言うまでもありません。

順法・誠実

順法、つまり、法を守るのは当然として。最近では「倫理」を守れるかどうか、にも銀行は注目しています。法に違反をしているわけではないが、倫理的に問題がある… ということもあるでしょう。

たとえば、性差別、主義・主張の強要、SNSでの不適切な発言など。銀行は、社長や役員などのSNS投稿をチェックしていることもありますので、じゅうぶんに注意が必要です。

余談ではありますが、ヒトはお酒を飲みすぎると、ついつい「本音」や「本性」が出るものでもあります。その本音や本性が問題になることもあるため、お酒を飲んだらSNSには触らないのがおすすめです。

心身の健康

冒頭、「会社 = 社長」という話をしました。だとすれば、社長が健康を害することは「会社の一大事」です。その自覚があるのなら、社長は健康管理につとめましょう。

もちろん、つとめていても病気やケガをしてしまうことはあるわけですが。暴飲暴食、不規則な生活など「不摂生」をしていては、自業自得と見られてもしかたありません。

ですから、銀行の前で不摂生にかかわるような話は控えるべきですし、不健康自慢(大病を患っているわけではないが、あちこち不調…みたいな)もよろしくありません。

家庭の環境

銀行は、「会社での社長」だけではなく、「家庭での社長」にも注目しています。家庭の環境が悪いと、前述した心身の健康に悪影響が出たり、商売に悪影響が出ることがあるからです。

たとえば、配偶者との不仲があれば、ストレスとなり、心身の健康を害することもあるでしょう。子どもとの不仲や、兄弟との不仲があれば、事業承継や相続で問題が起きることもあるでしょう。

銀行は、融資先の「さまざまな事例」を見ているだけに、創造力が豊かです。社長は「ちょっとした雑談」ていどに話をしたことでも、深刻に受け止められる可能性があります。

まとめ

会社に対する融資であったとしても、銀行が見ているのは「人」。さらに言えば、「社長」です。

だとすれば、社長は「どこを見られているのか・どう見られているのか」を理解しておくのがよいでしょう。

まずは、本記事で取りあげた「銀行が社長の資質・能力をはかるポイント」について、セルフチェックからはじめてみるのがおすすめです。

銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選
  1. リーダーシップ
  2. 情熱と冷静
  3. ビジネスモデル
  4. 計数管理
  5. 会社と個人の区分
  6. 人からの信頼
  7. 人への信頼
  8. 順法・誠実
  9. 心身の健康
  10. 家庭の環境
銀行が社長の資質・能力をはかるポイント10選

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