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社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ

社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ

社長が役員報酬を下げざるをえない… それはそれでやむをえないときもありますが。いろいろと注意点があるので気をつけましょう、というお話です。影響は、税金や社会保険、銀行融資にまで及びます。

目次

税金や社会保険、銀行融資にまで及ぶ。

業績の悪化により、社長が役員報酬を下げざるをえない… ということはあるでしょう。そんなときに気をつけるべきことが「いろいろ」とありますので、まとめてみます。

税金や社会保険に関する注意点もあれば、銀行融資に関する注意点もあります。おもなところでは、次のとおりです↓

社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ
  • 役員報酬を下げるタイミング
  • 銀行が見ているのは、利益+役員報酬
  • 代わりに役員貸付金が増える

あとになって、「そんなはずではなかった…」と後悔することがないように。それぞれの注意点を理解しておきましょう。

社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ

役員報酬を下げるタイミング

まずは、税金に関する話から。法人税法では、「役員報酬の減額は、原則、期首から3ヶ月以内」と決められています。好き勝手に、役員報酬を下げることはできないのです。

もう少し厳密に言うと、下げてもかまわないが「減額分は、法人税を計算するときの経費から除かれる」ことになります。わかりにくいところなので、事例で考えてみましょう。

3月決算の会社で、もともと月額 100万円の役員報酬を、9月から 30万円まで下げることにしたとします。すると、減額した金額は 70万円(100万円 ー 30万円)です。

結果、決算書では役員報酬 710万円(100万円 × 5ヶ月 + 30万円 × 7ヶ月)として記載されますが、法人税の計算をするときには 350万円(70万円 × 5ヶ月)は経費ではないものとされます。

よって、350万円の経費が除かれる分だけ、法人税が高くなってしまう… ということです。これを避けるためには、「原則、期首から3ヶ月以内」に減額する必要があります。

ただし例外として、著しい業績の悪化など、やむをえないと言える事情があるときには、そのタイミングで減額することが可能です。例外にあてはまるかどうかはケースバイケースなので、税理士にも相談することをおすすめします。

とにかく、役員報酬を下げるにもタイミングに注意が必要だ、ということを覚えておきましょう。

加えて、もうひとつ。社会保険(健康保険・厚生年金)についても注意が必要です。役員報酬を下げすぎると、社長が会社で社会保険に加入することができず、じぶんで国民健康保険・国民年金の支払をしなければいけなくなります。

そもそも、会社で加入する社会保険の保険料は、役員報酬の金額によって決まります。本記事の執筆日現在(2022年12月16日)、協会けんぽ・東京都の社会保険料は最低でも 11,372円です。

ですから極端なハナシ、社長の役員報酬を月額1万円まで下げたとすると、社会保険料を負担することはできませんから、年金事務所からは加入を断られてしまいます。

ときおり、社会保険料のことまでは考えずに、役員報酬をゼロにしてしまう社長もいますので注意しましょう。

銀行が見ているのは、利益+役員報酬

業績の悪化により、利益が減ったり、あるいは赤字になったりすると、会社は銀行融資が受けにくくなります。言うまでもなく、銀行は「危ない会社」への融資をしたがらないからです。

とはいえ、融資を受けられないのは困る! というわけで、じぶんの役員報酬を下げることで利益を増やそうとする社長がいます。

たしかに、役員報酬を下げれば、会社の利益は増えるのですが。銀行の見方は、単純ではありません。では、銀行の見方とは?

「利益 + 役員報酬」です。つまり、「役員報酬をマイナスする前の利益」を銀行は見ています。

具体的には、今回の決算の「利益+役員報酬」を計算する。同じように、前回や前々回の決算の「利益+役員報酬」も計算して比較してみる。これなら、役員報酬の増減による影響を取り除いて、利益を比べることができます。

したがって、役員報酬を下げて利益を増やしたとしても、銀行の評価は上がらないものと考えておきましょう。むしろ、「役員報酬を下げなければならないほど業績が悪いのか」という評価になります。

また、役員報酬を下げることで、あらぬ疑いをかけられる可能性もゼロではありません。極端なハナシ、役員報酬がゼロだとしたら「どうやって生活しているんだ?」となりますよね。

すると、「もしかしたら脱税をしているのではないか(会社の売上を隠している、とか)」といった疑いをもたれることはあるものです。銀行は「社会の公器」であり、脱税をするような会社に融資はできませんから、ものごとを悲観的に見る傾向があります。

ですから、役員報酬を大幅に下げるようなときには、「それでも生活できる」ということを銀行に説明するようにしましょう。

たとえば、社長個人名義の預金がいくらあるかをリストにして渡す、といった方法があります。また、社長個人で不動産所得など、役員報酬とは別に収入があるのならば、確定申告書の控えを渡して説明するのもよいでしょう。

代わりに役員貸付金が増える

たとえば、月額 100万円の役員報酬を 30万円まで減額したとします。いっぽうで、会社から社長への貸付金(=役員貸付金)が増えている… というケースには注意が必要です。

銀行は、役員貸付金の増加を「実質的な役員報酬」とみなします。つまり、役員報酬を下げた分を補うために、会社から社長におカネを貸し付けたに違いない、という見方です。

この場合、役員貸付金の増加は「利益の水増し」として、その分、決算書の利益を減額修正して見られることになります。

たとえば、役員貸付金の増加が年間 300万円、決算書の利益が 100万円だとしたら、「利益 100万円 ー 役員貸付金の増加 300万円」で、200万円の赤字… という評価です。

よって、役員報酬を下げて利益を増やしたとしても、役員貸付金が増えていれば、その利益は評価されないことを理解しておきましょう。

また、役員貸付金自体が、銀行融資には悪影響です。いちど、会社から社長個人に貸付をすると、その後、返済されないことはけして少なくありません。むしろ、貸付が増えていく。ということを、銀行は経験として知っています。

役員貸付金があるだけで、銀行融資が受けにくくなることを覚えておきましょう。実際に、役員貸付金を理由に、融資が断られることもあります。貸付しなければいけないほど、役員報酬を減らすのでは本末転倒です。

まとめ

業績の悪化により、社長が役員報酬を下げざるをえない… ということはあるでしょう。そんなときに気をつけるべきことが「いろいろ」とありますので、まとめてみました。

影響は、税金や社会保険、銀行融資にまで及びます。あとになって、「そんなはずではなかった…」ということがないように、それぞれの注意点を理解しておきましょう。

社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ
  • 役員報酬を下げるタイミング
  • 銀行が見ているのは、利益+役員報酬
  • 代わりに役員貸付金が増える
社長が役員報酬を下げるときの注意点いろいろ

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