いま目の前にいる銀行担当者は、デキる担当者なのか…? それを見極めるタイミングは、決算書を渡したときであり、見極めるポイントが3つありますよ。という、お話です。
タイミングは、決算書を渡したとき。
銀行から融資を受けている社長は、「どうせなら、デキる銀行担当者がいい」とおもうことでしょう。
つまり、銀行とお付き合いをしていると、自社の担当となる銀行員がつくものですが(つかないケースもあります)、その銀行員は優秀な人であってほしい。
なぜなら、融資の稟議書を書くのは銀行担当者であって、稟議書の出来不出来が、融資の可否を左右すると言えるからです。とはいえ、デキる担当者かどうかをいかに見極めればよいのか?
実は、見極めるのによいタイミングがあります。それは、決算書を渡すときです。毎年、決算がおわって税務署への申告が済むと、決算書(のコピー)を銀行に渡していることでしょう。
このとき、次に挙げる3つのポイントが、デキる担当者を見極める「目安」になります↓
- すぐにカバンにしまわない
- 前期以前との比較ができる
- 数字からは読み取れないことを尋ねてくる
これらのポイントについて、このあと説明をしていきます。
いくつかの銀行から融資を受けているのであれば、銀行担当者もそれぞれです。どの銀行担当者に融資を相談するのがよさそうか? と考える際に、3つのポイントを確認してみましょう。
デキる銀行担当者の見極めポイント
すぐにカバンにしまわない
銀行は、融資先の決算がおわり決算書ができあがると、そのコピーを受け取ります。決算書の内容をもって、融資先の格付をし、向こう1年の融資方針を決めるためです。
それはそれとして。決算書は「銀行担当者に、会社まで取りに来てもらっている」というケースもあるでしょう。このときに、1つめの見極めポイントがあります。
それは、銀行担当者が受け取った決算書を、すぐにカバンにしまうかどうかです。なにも言わずに、それどころか見もせずにカバンのなかにしまってしまう銀行員がいます。
が、それは、デキる銀行担当者とはいえません。いっぽうで、デキる担当者は、その場で書類の過不足を確認して(決算書類のいちぶを渡し忘れる、意図的に渡さない社長もいるので)、なおかつ、決算書の内容について「なにかしら」のコメントはするものです。
そもそも、銀行内では「社長をねぎらう言葉を述べるべし」みたいな教育をされていると聞きます。
まずは、「1年間おつかれさまでした」ということであり、「1年間の成果を拝見させていただきます」ということであり、「しっかり黒字を出されていますね」であったり、「赤字ではありますが、厳しい環境下でご尽力されたこととおもいます」であったりの言葉が大切だ、ということです。
たしかに、決算書は「事業の集大成」ともいえる大事な書類ですから、なにも言わずにカバンに突っ込む… というのは、ちょっとおかしなことだと言えるでしょう。
でも、おかしなことはそれなりに起きています。わたし自身、「銀行担当者がなにも言わずに決算書を持ち帰った…」という社長の嘆き、あるいは怒りを見聞きしているところです。
仮に、嘆きや怒りの感情はないとしても、銀行担当者が受け取った決算書をどう扱うか? については、見極めポイントの1つとして注目してみるとよいでしょう。
前期以前との比較ができる
銀行担当者に決算書を渡した際、その場で決算書の内容についてコメントをしてくれたとします。このとき、「前期以前との比較ができる」のであれば、それはデキる担当者でしょう。
これに対して、前期以前との比較はできず、今期の内容のみのコメントしかできない銀行員もいます。たとえば、「黒字(赤字)ですね」「利益率が高い(低い)ですね」など。
つまり、「見りゃあわかる」というハナシです。
ちなみに、決算書には前期以前の数字は掲載されていません。なので、銀行担当者がなんの「用意」もしていなければ、「見りゃあわかる」ことしか言えないのは当然です。
そこで、デキる担当者は、あらかじめ「用意」をしています。今期の決算書を受け取ったときに、前期以前と比較ができるように、前期以前の決算書の数字を事前に確認しているわけです。
そうすれば、決算書を受け取ったその場で「前期よりも売上が増えましたね」とか、「利益が増えましたね」「〇〇費が増えましたね」といった言葉をクチにすることができます。
これを聞いた社長としては、「あぁ、過去のことも覚えてくれているんだな」と嬉しい気持ちにもなるはずです。
また、前期との比較の話を「きっかけ」にして、売上が増えた(あるいは減った)理由や、利益が増えた(減った)原因、〇〇費が増えた(減った)原因を、社長からヒアリングしやすくなります。
このヒアリングができないと、銀行担当者は銀行に戻ってから前期以前との比較をすることになり、後日あらためて理由や原因をヒアリングしなければいけません。
社長としては、「いまさら…?」と感じるところでもあるでしょう。というわけで、決算書を渡したタイミングで、前期以前との比較ができる銀行担当者かどうか? にも注目してみましょう。
数字からは読み取れないことを尋ねてくる
前述した、「前期以前との比較」とは言うなれば、「数字」のハナシです。これとは別に、数字からは読み取れないこと、決算書を見ているだけではわからないこともあります。
たとえば、売上先はどこなのか・増えているのか? 販売方法は? 売っている商品は? 仕入先や外注先の品質は? 他社との違い・自社の強みは? 社員は定着しているか? 抱えている課題は? などなど。
これらは、決算書から直接読み取ることはできませんが、決算書の数字を「裏付ける(根拠)」として、たいへん重要なものです。
今後も黒字が続くのか、あるいは、赤字から脱却することができるのか。そういった検討をする際には、欠かせないものでもあります。
だとすれば、銀行がそれらを知らずして、融資先をじゅうぶんに評価できるのか? できませんよね、という話です。じゅうぶんに評価できなければどうなるか? 当然、融資しづらくなります。
会社にとっては、融資が受けにくくなるということです。
よって、デキる銀行担当者は、決算書の数字を「裏付ける」ために、数字からは読み取れないことまで尋ねてきます。もしかすると、「そんなことまで聞く?」とおもわれるかもしれませんが、それがデキる銀行担当者を見極めるポイントになる、ということです。
逆に、数字の話ばかりをしている銀行担当者には、注意しなければいけません。その場合、社長のほうから積極的に、数字からは読み取れないことも伝えられるとよいでしょう。
まとめ
いま目の前にいる銀行担当者は、デキる担当者なのか…? それを見極めるタイミングは、決算書を渡したときであり、見極めるポイントが3つありますよ。という、お話をしました。
いくつかの銀行から融資を受けているのであれば、銀行担当者もそれぞれです。どの銀行担当者に融資を相談するのがよさそうか? と考える際に、3つのポイントを確認してみましょう。
- すぐにカバンにしまわない
- 前期以前との比較ができる
- 数字からは読み取れないことを尋ねてくる