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「自社の身の丈に合った銀行選び」とは何なのか?

「自社の身の丈に合った銀行選び」とは何なのか?

自社の身の丈に合った銀行選びをしましょう、と言われますが。「身の丈に合った」とは何なのか? 実はあまり理解されていないこともあるので気をつけましょう、というお話です。

目次

あまり理解されていないこともある

銀行から融資を受けるにあたっては、「自社の身の丈に合った銀行選びをしましょう」ということが言われています。ここで言う「身の丈に合った銀行選び」とは何なのか?

おおむね理解されていることもあれば、あまり理解されていないこともふまえて、このあとお話をしていきます。具体的には、次のとおりです↓

自社の身の丈に合った銀行選びとは?
  • 規模感が合っている
  • 方向性が合っている
  • 目的が一致している

銀行選びを間違えると、銀行からの融資が受けにくくなってしまうのは問題です。また、銀行選びは間違えていなくても、その意味(=身の丈に合った銀行とは?)がわからずにいると、結局は融資が受けにくくなってしまいます。

というわけで、「身の丈に合った銀行選び」の意味について、理解を深めていきましょう。

自社の身の丈に合った銀行選びとは?

規模感が合っている

まずは、自社の規模と銀行の規模とが合っていることです。これについては、よく知られているところでしょう。

大きい会社は、大きい銀行と。小さい銀行は、小さい銀行とお付き合いするのがよい。そういうことです。端的に言えば、大きい銀行のお客さまは大きい会社だから、というのが理由になります。

大きい銀行(最たるものは都市銀行)にはネームバリューがありますから、放っておいても、たくさんの会社が集まるものです。

だとすれば、銀行は大きい会社(より安心・安全な会社)におカネを貸せばいい。小さい会社(より不安・リスクがある会社)にまで、わざわざおカネを貸す必要がありません。

ですから、小さい会社が都市銀行から融資を受けようとすることは、この理屈に反していることになります。融資の難易度をみずから上げていることを理解しておきましょう。

この点で、規模感から見た銀行選びの目安を示すと次のとおりです↓

  • 都市銀行 → 自社の年間売上高が 10億円以上
  • 地方銀行 → 自社の年間売上高が1億円以上
  • 信用金庫・信用組合 → 自社の年間売上高が1億円未満

なお、年間売上高が5億円未満の会社は、上記の民間金融機関に加えて、公的金融機関である「日本政策金融公庫(の国民生活事業)」からも融資を受けておくのがおすすめです。

日本政策金融公庫は、「民間金融機関を補完する」のが役割であり、赤字のときなど民間金融機関からの融資が難しいときにも柔軟に対応してもらえる可能性があります。

ふだんから融資を受けておき、日本政策金融公庫とのお付き合いを深めておくことが大切です。

年間売上高が5億円以上になったら、日本政策金融公庫の「中小企業事業」や、商工中金(半官半民の金融機関)からの融資も検討してみましょう。より資金調達額を増やすことができるはずです。

方向性が合っている

すごく大雑把に言えば、都市銀行は「全国展開」という方向性があり、地方銀行や信用金庫・信用組合(以下、地域金融機関)には「地域展開」という方向性があります。

実際に、都市銀行は全国に支店がありますが、地域金融機関の支店は特定のエリア限定です。とくに、信用金庫はエリアが狭いことに特徴があります。

いっぽうで、会社の方向性はどうでしょう? 大きい会社は小さい会社に比べれば、全国展開の方向にあることが多く、小さい会社は大きい会社に比べれば、地域展開の方向にあることが多い、と言えます。

この点で、小さい会社と小さい銀行は「相性」がよいのです。

たとえば、地域に根ざした商売をしている小さな会社があったとします。その地域に展開する信用金庫があれば、その信用金庫もまた地域に根ざした商売をしていますから、方向性は同じです。

では、大きい会社と小さい銀行だったらどうでしょう。会社は全国展開の方向性にありますが、信用金庫は地域限定ですから、全国展開を支援することができません。ミスマッチです。

また、小さい会社と大きい銀行にもミスマッチがあります。小さい会社による地域展開の商売は、大きい銀行からすると、物足りないのです。

地域展開の商売となれば、全国展開の商売よりも小さくなります。会社が必要とする資金量も小さくなるものですから、大きなおカネを貸して稼ぎたい都市銀行には見合いません。

このあたりは、前述した「規模感」の話にもつながるところです。いずれにせよ「身の丈に合った銀行」とは、「方向性が合っている銀行」と置き換えることができます。

目的が一致している

会社にしても、銀行にしても、その目的をひとことで言えば「利益を出すこと」です。これだと、あまりに身も蓋もないので、もう少し解像度を上げてみましょう。

すると、地域金融機関の目的は「地域活性化により利益を出すこと」だと言えます。地域金融機関は、地域に根ざした金融機関です。だとすれば、地域にある会社が利益を増やすことで、地域金融機関は貸し出しが増えて、利益を増やすことができるでしょう。

この点で、地域の中小企業が「利益を出す」という目的と、地域金融機関が「地域の中小企業を支援する(その先に地域活性化があり、銀行の利益も増える)」という目的は一致します。

よって、中小企業であれば、都市銀行よりも地域金融機関を選ぶほうが、融資は受けやすくなるわけです。

また、地域金融機関のなかでも、自社の地域により根ざした地域金融機関を選ぶほうが、融資が受けやすくなります。自社の近くにある信用金庫などは、その典型です。

なお、会社の事業が「地域貢献」や「地域活性化」に関わるものであれば、地域金融機関はさらに支援しやすくなります。会社の目的と、銀行の目的とがより重なるからです。

したがって、地域貢献・地域活性化を掲げる会社は、銀行に対して説明・アピールをするとよいでしょう。融資がより受けやすくなるはずです。

まとめ

自社の身の丈に合った銀行選びをしましょう、と言われますが。「身の丈に合った」とは何なのか? 実はあまり理解されていないこともあるので気をつけましょう。

銀行選び自体は間違えていなくても、その意味(=身の丈に合った銀行とは?)がわからずにいると、結局は融資が受けにくくなってしまいます。

    自社の身の丈に合った銀行選びとは?
    • 規模感が合っている
    • 方向性が合っている
    • 目的が一致している
「自社の身の丈に合った銀行選び」とは何なのか?

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