社長であれば気になるであろう、銀行融資審査のポイントについて。業績さえ良ければ借りられるはず! というのは、ちょっと違います。では、ほかにどのようなポイントがあるのか? というお話です。
業績さえ良ければ。
銀行から融資を受けている会社の社長にとって、「融資審査のポイント」は気になることの1つでしょう。どうしたら融資が受けやすくなるのか? なにが融資の決め手になるのか?
この点で、けして少なくはない社長が考えていることに、「業績さえ良ければ」が挙げられます。
つまり、融資審査のポイントは「業績」であり、業績が良ければ融資を受けられる、という考え方です。たしかに、業績は重要なポイントの1つです。が、それだけではありません。
ほかにも、見逃していると融資審査で大きなマイナス評価を受けるポイントもあります。というわけで、銀行融資審査の3大ポイントがこちらです↓
- 業績
- 実績
- 社長
このとおり、前述した「業績」のほかにも、「実績」と「社長」は融資審査の大事なポイントです。このあと、くわしく確認をしていきましょう。
銀行融資審査の3大ポイント
業績
冒頭でもふれた「業績」について。自社の業績の良さが、銀行融資審査でプラスになるのは間違いありません。むしろ、業績が良いことは「大前提」だと言えます。
このあと、2つのポイントについても話をしますが、それらが良ければ「業績は悪くても大丈夫」などということはありません。業績が良いに越したことはないのです。
ではなぜ、そこまで業績が重要なのか?
言うまでもありませんが、会社が借りたおカネの返済原資は「利益」だからです。利益がなければ返済はできない(いまはできても、いずれできなくなる)、というのが銀行の考え方になります。
そのうえで気をつけたいのが、「いつの利益なのか」です。業績というと、過去あるいは現在をイメージすることが多いでしょう。ところが、銀行が考える利益には「未来の利益」も含まれます。
たとえ、いま利益が出ているとしても、果たして1年後はどうなのか? 3年後、5年後はどうなのか? もし、未来の利益が出ないのだとしたら、貸したおカネを返してもらうことはできません。
ゆえに、銀行は「会社の将来性」にも注目をしています。その将来性を示す「書類」の1つが、経営計画書です。そこには、自社の理念や戦略、現状分析や経営課題が織り込まれることになります(織り込まれていなければ、経営計画書とは呼べません)。
にもかかわらず、経営計画書をつくっていない、つくろうとしない会社があるとすれば、銀行が将来性に不安を感じるのもムリはありません。
したがって、自社の業績(将来の利益を含む)を銀行にアピールしたいのであれば、経営計画書の作成・提示も重要であることを覚えておきましょう。
ちなみに、いま現在が「大赤字」となると、経営計画書で示す「将来の利益」は説得力を失います。だから、「いま利益が出ている」ことが必要にもなるのです。
実績
ここでい言う「実績」とは、「借入実績」です。A銀行から、過去に融資を受けた実績があれば、A銀行からの次の融資は受けやすくなります。いちど審査にクリアした実績があるからです。
その実績は、A銀行に対してだけではなく、B銀行やC銀行に対しても効果を発揮します。B銀行やC銀行から見れば、「A銀行の審査にクリアできるだけの会社」となるからです。
逆に、いままでまったく融資を受けたことがない会社や、ここしばらく融資を受けていない会社など、借入実績に乏しいと銀行融資は受けにくくなります。
いくら社長が「借入しなかっただけ」だと言っても、銀行は「借りたくても借りれなかった、銀行から断られていただけなのでは?」と考えるものだからです。
そんな実績がモノを言うのは、自社の業績が悪いときでしょう。前述したとおり、業績が悪ければ融資は受けにくくなります。そのうえ実績がなければ、もはや絶望的だと言っても過言ではありません。
であれば、業績が悪くなったときのことも考えて、業績が良いうちに実績をつくっておく(融資を受けておく)のは大事なことだとわかります。
加えて、もうひとつ。実績には、「借りた実績」とは別に「返した実績」も含まれます。「返した実績」に問題を起こさないように気をつけましょう。つまり、返済遅延をしない、ということです。
約束の返済日に返済できないとなると、銀行の信用を大きく失います。当然でしょう。結果として、以降の融資審査に悪い影響が生じることになります。
返済口座の残高不足で、引き落としができなかった… なんてことがないように。「返した実績」の重要性を理解して、きちんと「返した実績」を積み上げていきましょう。
社長
前述した「業績」と「実績」と、あともう1つ。「社長」もまた、銀行融資審査の大事なポイントです。会社に対する融資ではありますが、銀行は「社長」という個人もよく見ています。
なぜなら、「中小企業=社長」だからです。中小企業は「経営者=株主」であることも多く、社長と会社は一心同体。銀行は、そういう見方をしています。
よって、社長という「個人」に問題があると、「会社」の融資であっても受けにくくなるのです。
では、社長個人の問題とは? たとえば、誠実さに欠ける言動が見られるとか、カネ使いが荒いとか、親族間にトラブルを抱えている、心身の調子が良くないなど。
社長は、その一挙手一投足を銀行から見られているものと考え、慎重な発言・行動を心がけるべきだと言えます。うっかりクチを滑らせる、といったことがないようにしましょう↓
なお、社長個人のこととして、個人名義の資産も、会社の銀行融資審査に影響します。端的に言えば、個人で資産を持っているほど、会社の融資が受けやすくなる、ということです。
繰り返しになりますが、中小企業では社長と株主が一心同体。会社がピンチになれば、社長は個人の資産であっても会社に投入するケースがほとんどでしょう。
なので、社長個人が資産を持っているほど、その会社はいざというときにも安心だ、というのが銀行の見方です。
とはいえ、銀行が社長個人の資産をすべて把握できるわけでもありません。銀行から融資を受けやすくしたいのであれば、社長のほうから個人資産の情報を銀行に開示するようにしましょう。
そんなことをしたら、担保にとられるのではないか…? と、おもわれるかもですが。情報を開示することと、担保にとられることはイコールではありません。
もしも「担保に入れてほしい」と言われたら、「イヤだ」と言えばよいのです。
まとめ
社長であれば気になるであろう、銀行融資審査のポイントについて。業績さえ良ければ借りられるはず! というのは、ちょっと違います。
では、ほかにどのようなポイントがあるのか? というお話をしてきました。本記事で挙げた3つのポイントはどれも大事なものですから、どれも見逃さないようにしましょう。
- 業績
- 実績
- 社長